胃腸の不調(便秘)が原因で口臭からうんち臭やドブ臭?関係性や対策を解説

口臭は口腔内のトラブルが大きく関係していますが、体調不良によって強い口臭が起こることもあります。

便秘のような胃腸の不調もそのうちのひとつで、うんち臭・ドブ臭といった口臭の原因となる場合があるのです。

今回は、口臭を確認する方法や胃腸の不調で口臭が起こるメカニズム、便秘が原因となる口臭の対策を紹介します。

口臭が強いときは、便秘の他に原因がある場合も少なくありません。

後半では、便秘以外の口臭原因も紹介しますので、一緒に確認してみましょう。

 

自分の口臭を確認する方法

まずは自分の口臭を確認してみましょう。

口臭を確認する方法は下記の5つです。

  • ティッシュを使って確認する
  • コップを使って確認する
  • 手の甲を舐めて確認する
  • 舌の表面の色から確認する
  • 市販の口臭チェッカーを用いて確認する

ひとつずつ解説していきます。

 

ティッシュを使って口臭を確認する方法

ティッシュを四つ折りにして、舌の奥から手前に向けて軽く拭き取ります。

1分程度おき、ティッシュのニオイを嗅いでみましょう。

不快なニオイがしたら、口臭の可能性があります。

 

コップを使って口臭を確認する方法

大きなコップの中に息を吹き込んで蓋をします。

少し時間をおき、蓋を取ってコップの中のニオイを嗅いでみましょう。

不快なニオイがしたら、口臭の可能性があります。

 

手の甲を舐めて口臭を確認する方法

自分の甲を舐めて、唾液が乾いたらニオイを嗅いでみましょう。

不快なニオイがする場合は、口臭の可能性があります。

 

舌の表面の色から確認する方法

鏡で舌の表面の色を見て、白っぽいものが付着しているか確認してみましょう。

舌の表面についた白っぽいものは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれ、食べカスや粘膜、細菌などでできています。

口臭がない人でも舌苔はありますが、厚く溜まっている場合は口臭が強くなっている可能性があります。

 

市販の口臭チェッカーを用いて確認する方法

家電量販店やドラッグストア、通販サイトなどでは、口臭を確認できる市販の口臭チェッカー(口臭測定器)を購入できます。

口臭チェッカーに息を吹きかけると、自分の口臭度合いが表示されます。

不快な口臭だけを測定することはできませんが、客観的に口臭を確認したい人におすすめです。

 

胃腸の不調(便秘)が原因で口臭を引き起こすメカニズム

便秘になると、なぜ口臭が発生するのでしょうか。

ここでは、便秘が口臭を引き起こすメカニズムを紹介します。

 

排泄物が腸に長くとどまり腐敗物質が発生

摂取した食べ物は胃や腸で消化分解され、栄養素は主に小腸で吸収されます。

残ったカスは大腸に送られ、腸内細菌の善玉菌や悪玉菌によって分解され排泄物となります。

便秘になると排泄物が腸に長くとどまることにより、腸内細菌のバランスが乱れ悪玉菌が増えてしまうのです。

悪玉菌が増えると、インドール・スカトール・メチルメルカプタン・硫化水素・アンモニアなどの腐敗物質(ガス)が腸内に多く発生します。

 

腐敗物質が血液中に溶け出す

腸内で発生した腐敗物質は、通常は排泄物と一緒に体外に排出されます。

しかし、便秘になると腸内にある腐敗物質は腸壁から吸収され、血液中に溶け出して全身へと運ばれていきます。

 

腐敗物質が肺に運ばれて口臭の原因となる

血液中に溶け込んだ腐敗物質は肺へと運ばれ、呼気に混ざることでうんち臭やドブ臭といった口臭を発生させます。

腐敗物質は血液中に溶け込んで全身を巡るため、体臭に影響が及ぶケースも珍しくありません。

 

どうすれば改善できる?便秘の治し方

便秘による口臭は、原因となっている便秘を解消することが一番の改善方法です。

便秘が原因となる口臭対策を確認してみましょう。

 

食物繊維の多い食べ物や乳酸菌を多く摂取する

まずは対策として、食物繊維の多い食べ物を積極的に摂取してみましょう。

食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、それぞれに以下のような便秘への効果が期待できます。

どちらの食物繊維も腸内で善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える効果も期待できます。

ただし、食物繊維を過剰に摂取すると、便秘が悪化したり下痢を引き起こしたりする場合もあるので注意しましょう。

また便秘を解消したいときは、乳酸菌が多い食べ物を摂取するのもおすすめです。

乳酸菌は善玉菌のひとつで、腐敗物質を作り出す悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整える働きがあります。

 

乳酸菌が多い食べ物は、以下のようなものがあります。

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 味噌
  • 漬物(ぬか漬け・キムチ・ザワークラウトなど)

さまざまな食品に含まれているので、毎日の食事に加えてみましょう。

 

水分を1日1.5〜2ℓ飲む

便秘を改善するには日頃の水分補給が大切です。

水分の摂取量が少ないと便が硬くなり、排便しにくくなります。

1日1.5〜2ℓを目安に、こまめに水分補給をしましょう。

とくに、朝の起床時にコップ1杯分の水分を補給すると、腸が刺激されて排便しやすくなります。

お茶やコーヒーに含まれているカフェインには利尿作用があるので、便秘解消には水や白湯を飲むのがおすすめです。

 

適度な運動をする

運動不足の人は、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど適度な運動を取り入れましょう。

運動をすることで腸のぜん動運動が活発になり、便秘解消にもつながります。

腹筋が弱くなると排便しにくくなるため、全身運動と併せて腹筋トレーニングも行うとより効果的です。

 

生活リズムを整える

生活リズムが乱れていると、自律神経の乱れを招いて便秘の原因になります

生活リズムを整えるには、

  • 毎日同じ時間に起きる
  • 朝食をとる
  • 昼間は適度に体を動かす
  • 夕方からは活動を抑える
  • お風呂は就寝90分前までに入る

などの方法がおすすめです。

 

また、ストレスも自律神経の乱れを引き起こします。

ストレスを感じたら、

  • ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
  • 好きな音楽を聴く
  • 散歩をする
  • 休息をとる

など、自分にあった方法でストレスを解消し、リラックスする時間を作りましょう。

 

十分な睡眠時間を確保できるように心がける

自律神経は夜間やリラックスした状態のときに優位に働く「副交感神経」と、日中やアクティブなときに優位に働く「交感神経」があります。

睡眠中は副交感神経が優位になり、腸のぜん動運動が活発になる時間です。

そのため、睡眠時間が足りなかったり眠りが浅かったりすると、睡眠中にも交感神経が優位になり便秘を招きやすくなります

十分な睡眠時間を確保できるように心がけて、リラックスして眠れる睡眠環境を整えましょう。

 

質の良い睡眠をとるポイントは以下の通りです。

  • 夕食後はカフェインを含む飲食物(コーヒー・緑茶・チョコレートなど)の摂取は避ける
  • お酒は適量を就寝3〜4時間前までを目安に楽しむ(適量の目安:体重60kgの人で日本酒1合またはウイスキーシングル1杯またはビール中瓶1本程度)
  • 就寝前はストレッチやアロマの香りなどでリラックスする
  • 朝起きたら日の光を浴びる
  • 早寝早起きを心がける
  • 昼寝をするなら15時までにし、睡眠時間は20~30分程度にする

 

便秘解消マッサージを取り入れる

排便を促すには、便秘解消マッサージを取り入れるのもおすすめです。

【便秘マッサージのやり方】
①仰向けに寝そべり、手のひらをおへそに当てる
②「の」の字を書くようにして、お腹全体を時計回りにマッサージする(30回程度)

腸の中にある排泄物を流すように意識して、ゆっくりと行いましょう。

 

上記の方法でも改善できない人は便秘薬を服用する方法も!

生活習慣や食事の改善、マッサージなどを行っても改善できない場合は、便秘薬を服用して排便を促す方法もあります。

便秘薬にはさまざまな種類が存在しますが、代表的なものは下記の3つです。

  • 便を柔らかくしたりカサを増やしたりして排便を促す「機械性下剤
  • 腸を刺激して排便を促す「刺激性下剤
  • 自然排便に近い作用が期待できる「膨張性下剤

便秘の症状によって適した便秘薬は異なりますので、医師や薬剤師に相談の上、自分に合った便秘薬を使用しましょう。

 

便秘以外が原因で口臭から便臭のようなニオイがする可能性も!

口から便臭のような不快なニオイがするのは、便秘以外の可能性も考えられます。

どのような原因があるのか確認してみましょう。

 

生理的原因

お腹が空いているときや朝起きたとき、緊張したときなど、唾液の量が減るタイミングは口の中の細菌が増殖して口臭が起こりやすくなります。

他にも、女性のホルモンバランス変化や加齢によって唾液量が減少して、口臭が起こることもあります。

このように誰にでも起こる口臭は「生理的口臭」といい、舌の上に付着した「舌苔(ぜったい)」が主な口臭の原因になります。

悪玉菌が堆積している舌苔は、生ゴミのようなニオイや卵が腐ったようなニオイの「揮発性硫黄化合物」やうんち臭である「スカトール」などを発生させます。

また、一時的に口臭がする場合は、タバコやお酒などの嗜好物・ニオイの強い食べ物の影響も考えられるでしょう。

 

心理的原因

口が臭いわけではないのに、自分には口臭があると思い込んでしまう場合もあります。

このような症状は「自臭症(じしゅうしょう)」や「口臭恐怖症」と呼ばれており、口臭を指摘された経験が引き金になりやすいです。

神経質な人や責任感が強い人にも生じやすいため、心理的原因の可能性を感じたら精神科や心療内科の医師に相談してみましょう。

 

病的原因

口臭はなんらかの病気が原因となっている場合もあります。

口臭の原因となる代表的な病気は以下の通りです。

【歯周病(歯肉炎・歯周炎)】

歯と歯茎の間に溜まった歯垢に細菌が住み着き、歯肉に炎症を起こしたり歯を支える骨を溶かしたりする病気です。

強い口臭の他に、歯ぐきの出血・赤み・腫れなどが起こります。

 

【虫歯】

歯に付着した歯垢の中でミュータンス菌が増殖し、歯を溶かして穴を開ける病気です。

空いた穴に食べカスが詰まり、細菌が増殖して腐敗したような口臭を起こすことがあります。

 

【ドライマウスによる唾液の減少】

ストレスや口呼吸、薬の影響などで唾液が減少し、口の中が乾燥している状態をドライマウスといいます。

ドライマウスになると細菌が増殖して、口臭が強くなることがあります。

 

【口腔ガン】

舌ガン、歯肉ガンなど口腔ガンができると、口の中の清掃不良や組織の腐敗によって強い口臭がすることがあります。

 

【鼻や喉の病気】

扁頭炎や蓄膿症などの鼻や喉の病気になると、血液や膿が口腔内に入り、強い口臭がすることがあります。

他にも、胃炎・胃潰瘍・胃がんなど消化器系の病気、糖尿病・尿毒症・肝硬変など代謝系の病気が口臭の原因となっているケースがあるので注意が必要です。

病的原因の可能性を感じたら、専門分野の医師に相談してみましょう。

 

病的原因の場合は病院へ!その他の原因は自ら対策できる

心理的原因や病的原因による口臭は医療機関での専門的な治療をおすすめします。

病気と関連性のないその他の原因による口臭は、日常的な対策で口臭予防ができます。

ここでは、自らできる口臭対策の方法を紹介します。

 

舌磨きで舌苔をケア

舌苔は口臭の大きな原因となるため、舌苔が厚く溜まっている人は舌磨きでケアをしましょう。

舌は傷つきやすいので、上記のような舌専用の器具で1日1回程度ケアするのがおすすめです。

【舌苔ケアの方法】

  1. 舌を十分湿らせる
  2. 鏡を見ながら舌を前に出す
  3. 湿らせた舌ブラシを舌に当てて、奥から手前に優しく引いて舌苔を除去する
  4. 最後にうがいをしてきれいに汚れを流す

舌苔ケアをする際は、舌専用の掃除用品ではなく、ガーゼを用いても行うことができます。

ガーゼを使用する場合は、指にガーゼを巻き付けて行ってください。

 

歯磨き方法の見直し

歯磨き不足や磨き残しは、細菌を増殖させて口臭の原因となります。

歯磨きは1日3回行うのが理想です。

【歯磨きの方法】

  1. 歯磨き粉を歯ブラシに1cm程度つける。
  2. 歯ブラシの毛先を歯の表面に当て、歯の表面・歯の裏側・奥歯・前歯の順で小刻みに1~2本ずつ磨く(一箇所につき20秒程度)
  3. 歯と歯茎の境目・歯と歯の間・凸凹歯並び部分は重点的に磨く
  4. 磨き終わったら、歯間ブラシやデンタルフロスなどのケアグッズも使って、しっかりと口の中の汚れを落とす

 

生活習慣を整える

生活習慣を整えることは、生理的口臭対策に効果的です。

暴飲暴食を避け、栄養バランスの良い食事を規則正しく摂るようにしましょう。

また、タバコは唾液の分泌量の減少を引き起こし、口臭を悪化させる原因になります。

タバコ自体も口臭のもとになるため、禁煙をすると口臭対策になるでしょう。

 

唾液腺マッサージを行う

唾液の分泌量が増えると口臭が起きにくくなるため、口の中にある唾液腺を刺激するのもおすすめです。

唾液腺は、耳下腺(じかせん)・顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)があります。

【唾液腺マッサージのやり方】

①耳下腺マッサージ
耳の前の頬に指を揃えて当てる
後ろから前へ円を描くようにやさしくマッサージする
②顎下腺マッサージ
耳の下の顎の骨の内側に親指を当てる
顎先に向かって5ヶ所程度に分けてやさしく押す
③舌下腺マッサージ
顎の下に左右の親指を当てる
舌を突き上げるようにやさしく押す

 

こまめにうがいを行う

こまめにうがいをして、口の中の食べカスや細菌を洗い流しましょう。

20~30ml程度の水を口に含み、ブクブクと口全体に水を動かすのがポイントです。

口臭対策にはマウスウォッシュ(洗口液)も活用できますが、アルコールを含むマウスウォッシュは口内が乾燥する原因になったり、口内環境を整えてくれるのに必要な善玉菌まで除菌してしまったりする可能性がありますので使いすぎには注意しましょう。

また、マウスウォッシュは歯磨き粉の代わりに使うデンタルリンスとは異なる商品です。

歯磨きをした後に使うものなので注意しましょう。

 

まとめ

清掃不足や唾液量の減少などによる口臭があるときは、正しい歯磨きや舌ケア、生活習慣の改善などで予防・対策することができます。

ただし、便秘によって口臭が出ているときは、まずは原因を解消することが大切です。

スムーズな排便は健康維持に不可欠なもので、便秘になると肌荒れや腹痛、食欲不振などの症状を起こす原因にもなります。

「もしかして便秘による口臭なのかな・・・」と感じたら、今回紹介した対策方法を参考にしてケアを始めてみましょう。

長期間便秘が解消されない・セルフケアをしても口臭が治らないという場合は、早めに医療機関に相談することをおすすめします。