口臭は男女ともに抱えやすいお悩みです。
とりわけ女性の場合は、妊娠・出産・生理などによるホルモンバランスの影響を受けて口臭が強くなることがあります。
実際に口臭に悩んでいる女性の声はこちらです。
【40代女性の声】 「月に1度ホルモンバランスが崩れた時、口臭が強くなり、仕事等で近くで会話をする時、口臭が気になり、口を手で塞いだり、マスクをしたり、身体をとおざけて話したりしていました」 出典:2019年 わかもと製薬自社アンケートより |
こちらの女性のように、口臭が気になると日常生活にも支障がでてくる可能性があります。
そこで今回は、口臭が気になる女性に向けて、口臭確認方法や女性ならではの口臭原因、口臭対策やケア方法などを詳しく解説します。
まずは口臭度合いを確認!
口臭が気になるときは、自分の口臭度合いを確認してみましょう。
口臭の確認方法は主に下記の5つです。
- 唾液のニオイを嗅いでみる
- 舌の表面の色を確認してみる
- ビニール袋やコップを使用してニオイを嗅いでみる
- デンタルフロスのニオイを嗅いでみる
- 市販の口臭チェッカーを使用してみる
該当項目がないか、ひとつずつ確認してみてください。
唾液のニオイを嗅いでみる
手をよく洗ったあと、指を口の中に入れて歯や歯茎の間、舌の上を優しく触ります。
指についた唾液のニオイを嗅いで、臭いと感じる場合は口臭の可能性が高いです。
舌の表面の色を確認してみる
舌表面の色を確認して、白っぽいコケ状のものが多く付着しているなら口臭の可能性があります。
これは舌苔(ぜったい)と呼ばれるもので、食べカスや剥がれ落ちた粘膜などが溜まったものです。
舌苔は細菌(悪玉菌)が堆積しているため、口臭の原因のひとつとなります。
ビニール袋やコップを使用してニオイを嗅いでみる
ビニール袋やコップに息を吹き込み、一度蓋をしたあとにニオイを嗅いでみましょう。
嫌なニオイを感じたなら口臭の可能性があります。
ビニール袋やコップ自体にニオイがあると口臭との区別がつかないので、必ず無臭のものを使って確認しましょう。
デンタルフロスのニオイを嗅いでみる
歯と歯の間の汚れを除去するデンタルフロスを使って、ニオイを確認する方法もあります。
デンタルフロスを使用したあとにニオイを嗅いで、臭いと感じたら口臭の可能性があります。
市販の口臭チェッカーを使用してみる
客観的に口臭度合いを把握したい場合は、市販の口臭チェッカーを使用してみましょう。
ドラッグストアや家電量販店では、口臭を確認できる口臭チェッカーが販売されています。
口臭チェッカーに息を吹きこむと、口臭の原因物質である「揮発性硫黄化合物」を測定でき、ニオイレベルを数値で示してくれます。
持ち運びしやすいサイズもあるので、外出先で口臭を確認したいときにも便利です。
次のようなことも口臭の原因となるケースがあります
次の項目の中で当てはまるものが多い場合も、口臭の可能性が考えられます。
- 1日1回しか歯を磨かない
- いつも口呼吸している
- 人と話す機会が少ない
- 口の中が粘つくことが多い
- 口の中が乾くことが多い
- 喫煙習慣がある
- 毎日お酒を飲む
- ストレスや緊張を感じることが多い
- 食べカスが歯に挟まりやすい
- 口内炎ができやすい
口臭があると感じている人は原因を理解し、原因別にケアをしていきましょう。
次章では、女性ならではの口臭原因について詳しく説明していきます。
女性ならではの生理的口臭の原因
例えば起床時・空腹時・緊張時は唾液分泌量が減少しやすいので、口臭を強く感じやすいです。
このように、誰にでも起こる口臭は「生理的口臭」といいます。
その中でも、女性はホルモンバランスの変化など特有の原因によって口臭が生じることもあります。
ここからは、女性ならではの生理的口臭の原因を確認してみましょう。
思春期
思春期は生理の周期が不安定になりがちです。
このようなホルモンバランスの乱れが口臭の原因となるケースがあります。
また、性機能の発達に伴ってエストロゲンの分泌量も増加。
エストロゲンが増加すると歯周病のリスクが高まり、口臭が強くなる可能性があるのです。
生理前や生理中
女性の卵巣で作られている「エストロゲン」という女性ホルモンは、唾液の分泌と関係があります。
そのため、エストロゲンの分泌が低下する生理前・生理中には唾液分泌量が減少して、口臭が強くなる傾向があるのです。
また、生理前・生理中のイライラやストレスが続くと、交感神経が優位になり、唾液分泌量が減少して口臭を感じやすくなることもあります。
ダイエット
女性がやりがちな無理なダイエットも、口臭が強くなる原因のひとつです。
ダイエット中に食事をする機会が減ると、咀嚼による唾液分泌量が減少して口臭が起きやすくなります。
また、食事制限によって体が飢餓状態になると、血中に「ケトン体」という物質が増えて甘酸っぱく腐ったニオイが口から生じることもあります。
妊娠中
妊娠中は不規則な食生活や悪阻(つわり)の影響を受けて、口腔内の清掃が十分にできないことが口臭の原因になります。
また、女性ホルモンの分泌が増える妊娠中は歯周病や歯肉炎、口内炎、虫歯などが進行して口臭が強くなるケースもあります。
歯周病菌の中にはエストロゲンを栄養にして増殖するものも存在しているため、妊娠中は特に注意が必要です。
閉経前後(更年期)
閉経前後5年間の約10年間を更年期と呼びますが、更年期になると女性ホルモンの分泌量が大きく減少してホルモンバランスも乱れやすくなります。
ホルモンバランスの乱れは唾液の分泌を調節する「自律神経」の乱れを引き起こします。
その結果、唾液の分泌量が減少して口臭が起こりやすくなるのです。
また、更年期を迎える頃から加齢によって唾液が出にくくなり、口臭が強くなることも珍しくありません。
病気が原因となっている場合
口臭には生理的口臭の他に、病気が原因となっている「病的口臭」があります。
ここでは、病的口臭の原因を紹介します。
歯周病
歯周病は歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)の歯垢や歯石に集まった歯周病菌が増殖し、歯肉に炎症を起こしたり、ひどくなると歯を支える骨を溶かしたりしてしまう病気です。
進行すると歯槽膿漏となりひどい口臭を引き起こすこともあります。
虫歯
虫歯はミュータンス菌という細菌が産生する酸によって歯のカルシウムが溶け出し、もろくなって歯の表面が黒くなったり穴が空いたりする病気です。
歯に穴ができると食べカスが詰まりやすくなり、細菌が増殖して口臭が起こることがあります。
虫歯が進行すると神経を腐らせて膿が溜まり、強い口臭を放つ原因にもなります。
唾液の減少
唾液には口の中の食べカスや歯垢を洗い流す作用や抗菌作用などがあるため、唾液が減少すると口臭の原因となります。
唾液が減少して口の中が乾燥する状態を「ドライマウス(口腔乾燥症)」といい、女性に多い症状のひとつです。
ドライマウスが進行すると虫歯や歯周病にかかりやすくなり、口臭を引き起こす場合もあります。
また、ストレスや薬の副作用、口呼吸、他の病気の影響なども、ドライマウスの原因となります。
鼻や喉の病気
口臭の原因の多くは口腔内の悪玉菌の増殖によるものですが、鼻や喉の病気によって生じる分泌物が口の中に流れて口臭が強くなる場合もあります。
口臭の原因になる鼻や喉の病気は、副鼻腔炎(蓄膿症)・慢性鼻炎・扁桃炎・咽喉頭がんなどがあります。
呼吸器・消化器系の病気
気管支炎・気管支拡張症・肺がん・肺膿腫などの呼吸器系の病気、胃炎・胃潰瘍、胃下垂、胃がん・食道がんなどの消化器系の病気が原因で口臭を引き起こすこともあります。
たとえば、腐った卵のニオイがするときは、胃炎や胃潰瘍など胃腸の病気の可能性もあります。
糖尿病
糖尿病になると、体内でアセトンのようなケトン体が作られて、甘酸っぱいニオイの口臭がすることがあります。
アセトンは血液に混ざって全身に運ばれるので、汗や尿、体臭も甘酸っぱく感じたときは注意が必要です。
今日からできる!口臭の治し方
病的な口臭を改善するには、原因に合わせた適切な治療が必要です。
病気による口臭の可能性を感じたら、早めに医師に相談しましょう。
一方、生理的口臭の場合は、日頃の口腔内ケアを徹底することで口臭予防が可能です。
今日からできるセルフケアの方法を紹介しますので、生理的口臭の原因に当てはまる人は実践してみましょう。
歯磨き方法の見直し
口臭を予防するためには毎日の歯磨きを正しく行い、食べカスや歯垢をしっかり取り除きましょう。
歯磨きは1日3回毎食後に行うことが理想です。
隅々まで届きやすい小さなヘッドの歯ブラシを使って丁寧に磨きましょう。
【正しい歯磨きの方法】
- 歯ブラシに歯磨き粉を1cm程度つけます。
- 歯ブラシを軽い力で小刻みに動かして、歯の表面・歯の裏側・奥歯・前歯と順番に20秒程度1〜2本ずつ磨きます。
- 全体を磨いたあと、歯垢が残りやすい歯と歯茎の境目・歯と歯の間・奥歯の噛み合わせ・歯並びが乱れている部分をさらに重点的に磨きましょう。
- 最後に歯と歯の間の汚れを歯間ブラシやデンタルフロスを使って取り除きます。
舌の表面を専用ブラシで磨く
舌の表面に舌苔(ぜったい)が付着している人は、専用の舌ブラシで取り除きましょう。
舌苔は時間帯や体調によっても付着度合いが異なります。
朝起きたら鏡で舌の状態を確認してみましょう。
舌苔がついてたら取り除くことが効果的です。
【舌磨きの方法】
- 水や舌磨き用のジェルで舌全体を湿らせます。
- 舌苔は舌の奥に多く付着しているので、鏡を見ながら舌を大きく前に出します。
- 舌ブラシを湿らし、舌の奥から手前に向けて磨きます。
- 舌全体を磨き終わったら、うがいをしてしっかりと汚れを洗い流します。
舌は傷つきやすく、味を感じる味蕾(みらい)も傷つけてしまう可能性があるので、強い力で磨いたり1日に何度も舌磨きをしたりすることは避けましょう。
また、普段使っている歯ブラシでは舌を傷つける可能性があるため、必ず専用の舌ブラシを使用しましょう。
唾液腺マッサージを行う
唾液の分泌が増えると細菌が増殖しにくくなり、口臭予防につながります。
唾液は口の中にある耳下腺(じかせん)・顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)という3つの唾液腺から出ています。
唾液分泌を増やすために、唾液腺をマッサージしましょう。
【唾液腺マッサージのやり方】
①耳下腺マッサージ
耳の前の頬に指を揃えて当てて、後ろから前へ円を描くようにやさしくマッサージします。
②顎下腺マッサージ
耳の下の顎の骨の内側に親指を当てて、顎先に向かって5ヶ所程度に分けてやさしく押してマッサージします。
③舌下腺マッサージ
顎の下に左右の親指を当てて、舌を突き上げるようにやさしく押してマッサージします。
こまめな水分補給と食生活の見直し
口の中の乾燥を防ぐには、こまめな水分補給も大事です。
糖分を含む飲み物は虫歯の原因となるので、なるべく水を飲むようにしましょう。
食事はよく噛んで食べること、根菜や玄米など歯ごたえのあるものを摂取することを意識すると、唾液の分泌が増えて口臭予防となります。
また、無理なダイエットや栄養の偏りはホルモンバランスの乱れを引き起こします。
ホルモンバランスを整えるためも、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
【理想的な食事の組み合わせ例】 ・米やそばなどの穀類・・・「主食」 ・肉や魚などのタンパク質・・・「主菜」 ・たっぷり野菜やきのこ、海藻・・・「副菜」 ・味噌汁やスープ・・・「汁物」 |
適度な運動を取り入れストレスを溜めない生活を心がける
ホルモンバランスを整えるには、ストレスを溜めないこともポイントです。
ストレッチやヨガなど適度な運動を行う・趣味に没頭する時間を作るなどの方法で、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
歯ブラシ、舌ブラシ、マッサージ以外の口臭対策!おすすめのケア方法
前で述べた方法以外の口臭対策をしたい人は、日常的にできるケアを行ってみてはいかがでしょうか。
おすすめの方法は以下の4つです。
- はちみつで舌苔ケア
- デンタルリンスを使用する
- マウススプレーを使用する
- 「生きた乳酸菌(善玉菌)」を取り入れる
それぞれ詳細を見ていきましょう。
はちみつで舌苔ケア
舌苔はタンパク質を多く含んでいるのですが、タンパク質を分解する酵素を含むはちみつを舐めると舌苔ケアに効果がある、という説もあります。
スプーン1杯のはちみつを舌の上にのせて、全体に行き渡らせるように舐めましょう。
はちみつに含まれる有機酸などは殺菌効果も期待されているため、純度100%のはちみつならば食べることで虫歯予防が期待できます。
生きた乳酸菌(善玉菌)を取り入れる
口臭原因の多くは人に悪影響を与える歯周病菌や歯周病などの悪玉菌の増殖によるものです。
そのため、善玉菌である「WB21」のような生きた乳酸菌を補給することで、口臭のもととなる悪玉菌の増殖を抑えることが期待できます。
デンタルリンスを使用する
デンタルリンス(液体歯磨き)は口の中を洗浄し、口臭を防ぐために活用される口臭ケア商品です。
殺菌成分を配合した商品もあるので、普段の歯磨きに加えて使用すると口臭予防効果を高めることができます。
ただし、殺菌成分は善玉菌も減らしてしまうので、使い過ぎには注意しましょう。
マウススプレーを使用する
外出先で口臭が気になるときは、マウススプレーを使用するのがおすすめです。
殺菌作用があるマウススプレーを使えば、口臭発生菌の増殖を抑えることができます。
口が渇きやすい人は、保湿作用もある商品を選ぶとよいでしょう。
こちらも、殺菌作用があるものは善玉菌も減らしてしまうので、使い過ぎには注意しましょう。
まとめ
思春期・生理前〜生理中・妊娠中・更年期など、ホルモンバランスの変化が起こりやすい時期は女性ならではの生理的口臭が起こりやすくなります。
生理的口臭をなくすには、歯磨きや舌ケア、生活習慣の見直しなどを行い、口臭リスクを低くすることが大事です。
それでも口臭が改善しないときは、歯周病・虫歯など口内の病気や身体の病気が関わっている可能性があります。
最近では医療機関に口臭治療(口臭外来)もあるので、セルフケアを行っても口臭の改善が見込めない場合は医師に相談しましょう。