歯磨きや食事をしている際に、歯ぐきから出血があって悩んでいる人は少なくありません。
歯ぐきからの出血を防ぐには、原因に合わせて適切に対処することが大切です。
今回は、歯ぐきからの出血の原因や出血を防ぐために気をつけるべきこと、対処法などについて詳しく紹介します。
歯茎(歯ぐき)から血が出るのは『歯周病』が原因?!
歯ぐきの出血は、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌などの塊が歯の周辺や表面に溜まり、歯ぐきに炎症が起きることで引き起こされます。
歯磨きや食事をしている際に歯ぐきから出血する場合、その原因は歯周病であることがほとんどです。
歯周病は歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目)に歯垢や歯石が溜まることで歯周病菌が増殖し、歯ぐきに炎症を起こしたり歯を支える骨(歯槽骨)を破壊したりする病気です。
歯周病は進行度によって、歯肉炎、軽度歯周炎、中度歯周炎、重度歯周炎に分けられており、歯ぐきの出血は初期段階から起こります。
※歯周病は、歯周炎(歯槽膿漏)・歯肉炎の総称です
段階別の主な症状は以下の通りです。
歯肉炎になると歯ぐきに炎症が起きて、腫れや出血といった症状が現れます。
歯肉炎の段階で正しい口内ケアを行えば、症状を改善することも可能です。
しかし、そのまま対処せず歯周病まで進行してしまうと、炎症が拡大してやがて歯槽骨や歯根膜といった歯周組織まで影響を与えます。
歯周病は「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」と呼ばれており、重症化するまで自覚症状が少ないのが大きな特徴です。
歯ぐきの出血があるときは歯周病の可能性を疑って早めに歯科医師に相談しましょう。
歯茎(歯ぐき)から出血する歯周病以外の原因
ここでは、歯周病以外で歯ぐきから出血する原因を6つ紹介します。
歯磨きやフロスの間違った使い方
ゴシゴシと力を入れて歯磨きをすると、歯ぐきが傷つき出血する場合があります。
硬めの歯ブラシを使っているときや新しい歯ブラシに替えたときも、すり傷による出血が起こりやすいです。
また、フロスを歯間に無理に通したり、歯ぐきに強く当てすぎたりするフロスの間違った使い方も歯ぐきを傷つけて出血が起こる原因として挙げられます。
歯ぎしり・噛み合わせの問題
歯ぎしりをする癖があったり噛み合わせが悪かったりすると、歯や歯ぐきに大きな負担がかかります。
負担がかかった状態が続くと歯がぐらつき、歯ぐきに炎症が起きて出血することがあります。
歯ぐきの出血の原因が歯ぎしり・噛み合わせの問題と考えられる場合は、マウスピースを装着する、噛み合わせの調整をするといった治療を受けることをおすすめします。
ホルモン量の変化
女性の場合、月経や思春期、妊娠期、更年期といったホルモン量が変化する時期は、血流の増加や免疫力の低下によって歯ぐきから出血しやすくなります。
また、歯周病菌の一種である「プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)」は女性ホルモンが増えると増殖する傾向があります。
ホルモンバランスが変化する時期は、歯周病のリスクが高まるので注意が必要です。
薬の服用によるもの
心筋梗塞や脳梗塞などの治療に使われる抗凝固剤には血液をサラサラにして固まりにくくする作用があります。
そのため、抗凝固剤を服用しているときは、歯ぐきが傷つくと出血がなかなか止まらないことがあります。
他にも、抗てんかん薬・カルシウム拮抗薬・免疫抑制剤は、歯と歯の間の歯ぐきが腫れる薬物性歯肉増殖を引き起こすことがあり、歯ぐきの出血の原因になる場合があります。
ドライマウス
ドライマウス(口腔乾燥症)は唾液の分泌量が減って口の中が乾燥した状態です。
唾液には自浄作用や抗菌作用といった働きがあり、口の中をきれいに保つために欠かせません。
ドライマウスになると食べかすや歯垢が口の中に残りやすくなり、細菌の増殖による炎症や歯ぐきの腫れ、出血を引き起こすことがあります。
ドライマウスになる要因は以下が考えられます。
薬の副作用、ストレス、加齢、喫煙、不規則な生活、口呼吸、シェーグレン症候群(自己免疫疾患)、糖尿病など |
ドライマウスは歯周病や虫歯、口臭、味覚障害などの原因となるため、症状があるときは医師に相談しましょう。
生活習慣の乱れによるもの
睡眠不足や疲労などのストレスによって免疫力が低下すると、歯ぐきからの出血が起こりやすくなります。
また、タバコに含まれる有害物質は血行不良や免疫力の低下、唾液分泌の低下を招くため、歯ぐきの腫れや出血を引き起こします。
歯ぐきからの出血を防ぐには、『規則正しい生活』『ストレス解消』『禁煙』を心がけることが大切です。
歯茎(歯ぐき)から出血する原因は歯周病以外の病気である可能性も!
口内炎やインプラント周囲炎、歯肉癌といった口の中の病気によって歯ぐきから出血する場合もあります。
また、以下のような全身の病気も、歯ぐきからの出血を引き起こす原因になります。
更年期障害、ビタミンC欠乏症、糖尿病、白血病、再生不良性貧血、血小板減少性紫斑病、血友病など |
歯ぐきに出血があるときは思わぬ病気が隠れている可能性があるため、気になる症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
歯茎(歯ぐき)からの出血を防ぐために気を付けるべきこと
歯ぐきからの出血を防ぐには、日頃のデンタルケアや生活習慣の見直しを行うのがポイントです。
歯ぐきから血を出さないために気をつけるべきことを確認してみましょう。
正しく歯ブラシ・フロスを使う
歯磨きをするときは、歯ぐきを傷つけないように優しく磨きましょう。
歯ブラシは鉛筆のように持つと、余計な力が入らずに歯ぐきへのダメージを抑えられます。
毛の硬さはふつうが基本ですが、歯ぐきが傷ついているときはやわらかめを選ぶのがおすすめです。
【正しい歯磨き方法】
①表側の歯は歯と歯ぐきの間に歯ブラシを当てて、マッサージするように小刻みに動かして優しく磨く
②前歯の裏側は歯ブラシを縦に当てて、歯垢を掻き出すようにして磨く
③奥歯の裏側は斜めに45度の角度で歯ブラシを当てて、小刻みに動かして磨く
歯と歯のすき間や歯ぐきの境目、奥歯の溝、歯並びが悪い部分などは歯垢が残りやすいので、小刻みに歯ブラシを動かして丁寧に磨きましょう。
【正しいフロスの使い方】
- フロスを40cm程度の長さにカットし、左右の中指に巻きつける。このときフロスの長さは10cm~15cm程度にしておく
- フロスを伸ばした状態で、歯と歯の間に差し込む
- 歯の表面に沿わせながら、フロスを前後に動かして歯垢を掻き出す
- 汚れたら、フロスを綺麗な部分に替えてケアする
フロスを歯と歯の間に差し込む時に力を入れすぎてしまうと歯ぐきを傷つけてしまうので、無理やり差し込んだり激しく動かしたりしないようにしましょう。
歯周病予防に効果が期待できる歯みがきを使用する
歯ぐきの出血を防ぐには、正しいデンタルケアで歯垢を除去して、健康な口内環境を保つことが大切です。
そのためには、日頃から歯垢を除去する働きがある歯みがきを使用するのがおすすめです。
薬用歯みがきアバンビーズ® グランは生きた乳酸菌「WB2000乳酸菌」を清掃剤として配合しており、歯周病の原因となる歯垢を落としてくれます。
さらに、歯周病予防への効果が期待できる3つの有効成分も配合されています。
成分 | 作用 |
塩酸ピリドキシン | 歯ぐきの炎症・腫れを抑える(歯周炎予防) |
β-グリチルレチン酸 | 歯ぐきの腫れを抑え、歯周炎・歯肉炎を予防する |
ゼオライト | 歯石の沈着を防ぐ・口臭を予防する |
正しいブラッシングを実践し、歯周病予防に役立つ歯みがきを毎日のデンタルケアに取り入れましょう。
健康的な生活と正しい食習慣
歯ぐきの出血は生活習慣の乱れや栄養の偏りが原因になる場合もあるため、健康的な生活と正しい食習慣を意識しましょう。
歯ぐきの出血を防ぐには、
- 質の良い睡眠をとる
- ストレスを減らすようにリフレッシュする時間を作る
- 喫煙を控える
といったことを心がけるのがおすすめです。
歯ぐきを丈夫にしたり出血を止めたりするのに役立つ栄養素には、カルシウム、タンパク質、ビタミンC、ビタミンP、ビタミンKなどがあります。
これらの栄養素を積極的に取り入れて、バランスの取れた食事をとるようにしましょう。
定期的に歯医者で歯科検診を受ける
歯ぐきから出血しないようにケアするには、定期的に歯科検診を受けることも大切です。
歯科検診では歯周病の検査、専門器具で歯垢や歯石を取り除くスケーリング、歯のクリーニング、ブラッシング指導などが受けられます。
定期的に歯科検診を受けると歯や歯ぐきに異常があったときに早期発見・早期治療ができるので、3〜6ヶ月を目安に歯科検診を受けるのがおすすめです。
歯茎(歯ぐき)から出血したときの対処法
歯ぐきから出血があった場合は、やわらかめのブラシで優しくマッサージするように磨きましょう。
歯周病により歯ぐきが炎症して出血しているときは、細菌を排除するために免疫細胞が戦っている状態です。
出血があるからといって歯みがきをおろそかにすると、さらに歯垢が蓄積し症状が悪化してしまいます。
出血があるときはやわらかめの歯ブラシでブラッシングをして、歯周病菌が棲みつく歯垢や炎症部分に溜まった血を取り除きましょう。
そうすると歯ぐきの血流が良くなり、新陳代謝が促されて2〜3日くらいで落ち着いてくることがほとんどです。
それでも頻繁に歯ぐきから出血があるときは、歯周病が進行している可能性が高いです。
その場合、外科治療が必要となることもあるので、早めに歯科医院を受診しましょう。
まとめ
歯ぐきからの出血は、歯周病や過度な歯みがき、ホルモンバランスの変化、生活習慣の乱れなどが原因として考えられます。
歯ぐきからの出血や歯周病のリスクを下げるには、日頃から正しいブラッシングを実践し、歯周病予防に役立つ歯みがきを毎日のデンタルケアに取り入れることが大切です。
歯周病は重症化するまで自覚症状が少ないため、歯ぐきから出血があった場合は安易に考えず、早めに適切な対応をとることが重要です。
頻繁に歯ぐきから出血がある場合は、速やかに歯科医師に相談するようにしましょう。