生理に次いで女性の体と切っても切り離せないのが「おりもの」の存在です。
おりものの量や色、においは女性の体調によって変化しやすいため、よくない兆候があったとき早急に対応できるよう、特徴についてよく知っておくことが大切です。
この記事では、生理前や妊娠初期のおりものの状態や注意すべきおりものの特徴について解説します。
まず確認!「おりもの」とは
おりものとは、漢字で「下り物」と表記され、女性の体から「おりてくるもの」という意味から来ています。
専門用語では帯下(たいげ)です。
そもそも「おりもの」とは何のためにあるのでしょうか。
おりものはベタついたり下着を汚したりで、厄介なものだと思っている女性もいるでしょう。
ですが、おりものは女性の体にとって、なくてはならないものなのです。
まずはおりものの役割について、詳しく見ていきましょう。
【役割1】自浄作用で膣内を守る
おりものとは、
- 子宮や膣からはがれ落ちた古い細胞
- 子宮や膣からの分泌物
このようなものが混ざったものです。
おりものが常に流れ出ることにより、細菌などが膣内へ侵入することを防いでいます。
おりものは、体が成熟しはじめる10歳~15歳頃(いわゆる“初潮”が訪れる年齢)から分泌量が増え始め、子宮や膣内を雑菌などから守っているのです。
【役割2】受精を手助けする
おりものには受精の手助けをするという重要な役割もあります。
排卵日近くに分泌されるおりものは、精子が膣から子宮へスムーズに入り込むために欠かせません。
排卵日が近づくと、透明でよく伸びるおりものが増えるのはこのためです。
量は20代後半~30代前半がピーク
おりものの量には女性ホルモンの一種である「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が大きく関わっています。
おりものの量がもっとも増加する年齢は、卵胞ホルモンの分泌量がピークとなる20代後半〜30代前半です。
30代後半は、おりものの変化など自覚症状は少ないものの、卵胞ホルモンの分泌は徐々に減り始めます。
40代以降は、卵胞ホルモンの分泌が減少していくにつれて、おりものの量も徐々に減り、おりものの変化の周期性が不規則になることもあります。
閉経後は、卵胞ホルモンの分泌量が大きく減るため、おりものの量も一気に減少します。
生理周期で変わる!おりものの特徴
おりものの量や色は生理周期の影響を受けます。
おりものの量だけ見てみても、上記のように大きく変化するのが分かります。
いつもとは違うおりものだと不安になるかもしれませんが、生理周期による一時的な変化である場合もあります。
生理周期によっておりものがどのように変化するのか、具体的に確認しておきましょう。
【生理直後~卵胞期】さらっとしていて量が少ない。茶色いことも
生理(月経)直後〜卵胞期のおりものは量が少なく、さらっとしています。
生理が終わった直後は、残りの経血と混じって茶色っぽくなるのはよくあることです。
卵胞期後半になると、卵胞ホルモンの増加にともない、おりものの量も増えていきます。
【排卵期】量が多い、透明でよく伸びる
排卵期の2、3日は、おりものの量がもっとも増える時期です。
透明で良く伸びるという特徴があり、ニオイはあまり強くありません。
また、排卵日前後は、排卵の際にごく少量の出血を起こす「排卵期出血」によって、ピンクや茶褐色のおりものが出ることがあります。
【黄体期】白濁ドロッと
黄体期に入ると、おりものの量は落ち着いてきます。
しかし、白濁してドロッとした状態になるため下着に付くと目立ちやすく、粘性もあるので一番不快に感じる時期と言えるでしょう。
おりものの変化の他に、基礎体温が上がることもあります。
【生理前】白濁ドロッと、強い酸っぱいニオイ
生理前のおりものも、白濁してドロッとしています。
さらに量が増え始めて酸っぱいニオイも強くなるため、おりものの存在が気になってしまう人も多いでしょう。
また、生理直前にはおりものに少し血液が混じることもあります。
【妊娠初期のおりものの変化】粘り気なし。白い塊が出ることも
おりものの変化は、妊娠初期症状のひとつとしても起こります。
基本的には粘り気がなく、さらっとしたおりものになり、量が増えることも多いです。
人によっては、白濁したりドロッとした白い塊が出たりすることもあります。
生理1週間前頃に起こる場合がある妊娠超初期症状として、着床出血で血液が混じって薄ピンクや茶色っぽいおりものが出る場合もあり、妊娠初期のおりものは個人差も大きいです。
酸っぱいニオイがきつくなるため、生理直前のおりものと勘違いしやすいですが、以下のような普段と違う体調変化が見られるなら、妊娠の可能性があります。
- 予定どおり生理がこない
- 微熱が続く
- 胸の張りを感じる
- 腰痛や倦怠感がある
- 生理痛より軽い痛みがある
おりものの変化とあわせて、上記のような症状が見られたら、妊娠検査薬での検査や産婦人科への相談をおすすめします。
おりものが不快!おすすめ対策
おりもので下着やボトムスが汚れてしまうのは嫌なものです。
おりものが女性の体にとって大切なものだとしても、不快感はなるべく少ない方が嬉しいですよね。
ここでは、すぐに実践できるおりもの対策をご紹介します。
おりものシートを使う
おりものに対処する手軽な方法として、おりものシート(パンティライナー)の使用があります。
おりものが下着に付くと、黄色く変色して落ちづらくなるため、おりものシートであらかじめカバーしておきましょう。
おりものが気になるときは、おりものシート(パンティライナー)で清潔を保つのがおすすめです。
おりものシートをこまめに取り換えれば肌の清潔が保たれ、かゆみやニオイの予防にもなります。
ショーツを変える
おりものシートがわずらわしい場合、ショーツ自体を変えてみる方法もあります。
現在は、吸水・抗菌・防臭効果などを持つ「機能性ショーツ」が増えています。
機能性ショーツなら、おりものが増えたときだけでなく、生理直前の心配な時期や尿もれの不安がある場合にも、状態によってはショーツのみで対応が可能です。
【これはNG!】膣内まで洗う
おりものが気になるからといって、自分で膣内まで洗ってはいけません。
おりものを落とそうと膣内まで洗浄してしまうと、膣内環境を乱してしまうからです。
膣内にはデーデルライン桿菌(かんきん)と呼ばれる乳酸菌が住み着いています。
善玉菌であるこの菌が酸をつくり出すことによって、他の細菌や真菌の増殖を抑え、膣内環境を良好に保つことに役立っています。
膣内まで洗ってしてしまうと、膣内環境が乱れ、デーデルライン桿菌が減り、膣内で細菌や真菌が異常増殖してしまい、デリケートゾーンのかゆみやニオイ、おりものの異常の原因になってしまいます。
おりものが気になっても、洗うのは外陰部までに留めておきましょう。
調子が悪いなと思ったら膣内環境を乳酸菌で整えてみる!
腸の調子を整えるために、乳酸菌を摂取して腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌が増えるのを抑えるという方法は聞いたことがある方も多いでしょう。
実はこの方法、膣の調子を整えるのにもおすすめなんです。
腸と同じように、膣内にも様々な細菌が住み着いています。
前述のようにその中でもデーデルライン桿菌と呼ばれる乳酸菌は、酸をつくりだし、膣内を酸性に保って悪玉菌が増えるのを抑制しています。
抗菌剤の使用、加齢等によるエストロゲンの低下、ストレスや過労、睡眠不足、膣の洗いすぎなどによってデーデルライン桿菌が減ると、悪玉菌が増殖し、膣にトラブルが起こりやすい状態になってしまいます。
予防策としては、ストレスや疲れをためないこと、睡眠をきちんと取ること、膣を洗いすぎないことなどが重要ですが、忙しい生活の中、思い通りにならないこともあるでしょう。
そんなときは、新しいデリケートゾーンのケア、つまり女性の膣内フローラを整えることをサポートするために開発された乳酸菌「UREXTM(ユーレックス)」がおすすめです。
UREXは生きたまま膣まで届き、膣内環境を整えます。
膣内環境が気になる方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
こんなおりものが出たら要注意!
前述のように、おりものの状態は生理周期によって変化するので、気にしなくて大丈夫な場合もありますが、中には病気が原因となっているものもあります。
ここでは、要注意のおりものの特徴をご紹介します。
ニオイがあるなら「細菌性膣症」かも
外陰部から生魚のような生臭さがある、といった症状は「細菌性膣症」の可能性があります。
細菌性膣症は、膣内の細菌どうしのバランスが崩れ、自浄作用などが低下することによって起こります。
原因としては、
- 性器や膣の洗いすぎ
- 性器部分の蒸れ
- タンポンの間違った使用法
- 免疫力の低下やストレス
- 性交渉による膣内環境の変化
などが考えられます。
そのまま放置すると、子宮内膜炎、卵管炎あるいは骨盤腹膜炎を引き起こす危険もあるので、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
白い塊がポロポロ+かゆい「膣カンジダ症」かも
おりものに白い塊が混じり、ポロポロとした状態で、性器にかゆみがあるなら「膣カンジダ症」かもしれません。
膣カンジダ症は、膣でカンジダ菌が増殖することにより生じる感染症です。
膣内から外陰部にかけて強いかゆみや灼熱感があったり、白い塊のおりもの(カッテージチーズや酒粕に似ている)が出たりするのが特徴です。
発症する原因は、
- 抗菌薬の服用
- 風邪、疲労、ストレスなど、日常生活での免疫機能の低下
- 糖尿病
- 免疫抑制剤の投与
- 通気性の悪い下着の着用
- 膣の不適切な自己洗浄
などです。
加えて、膣カンジダ症は再発しやすいため、注意が必要です。
また、パートナーにカンジダ菌をうつしてしまうこともあるので、膣カンジダ症が治るまではパートナーとの性行為は控えたほうがよいでしょう。
増量+痛い「性器クラミジア感染症」かも
おりものの量が増え、排尿時や性交時の痛みがある場合は「性器クラミジア感染症」が考えられます。
クラミジア・トラコマチス菌が原因となる性感染症で、放置すると感染が広がります。
その他にも、下腹部痛、頻尿などの症状が出る場合もありますが、無症状のことが多いです。
おりものの変化のほかに、腹痛、性交痛といった症状が出る場合もありますが、自覚症状がない人も多いです。
パートナーとのピンポン感染(お互いに何度もうつしあう)が起こることもあります。
女性側が性器クラミジア感染症と診断された場合は、パートナーに症状が出ていなくても、パートナーも病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
黄色+ニオイ+かゆい「膣トリコモナス症」かも
黄色くて悪臭のあるおりもの、強いかゆみといった症状がある場合は「膣トリコモナス症」の可能性があります。
膣トリコモナス症の原因は、膣トリコモナス原虫の性器への侵入です。
性行為で感染することが多いですが、タオルの共有、不特定多数の利用する公衆浴場の椅子・浴槽などを介して感染することもあります。
かなりキツいニオイで、黄色いおりものが特徴的です。
パートナーとのピンポン感染が起こることもあります。
女性側が膣トリコモナス症と診断された場合は、パートナーに症状が出ていなくても、パートナーも病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
増量+不正出血「淋菌(りんきん)感染症」かも
おりものの増加や不正出血がある場合は「淋菌感染症」の可能性があります。
女性の場合は症状が軽く、初期段階では気づかないことが多いです。
放置すると、子宮内膜炎や卵管炎、骨髄腹膜炎、肝周辺炎を引き起こし、不妊症や異所性妊娠、慢性骨盤痛などの原因となるため、早めの治療が大切です。
パートナーとのピンポン感染が起こることもあります。
女性側が淋菌感染症と診断された場合は、パートナーに症状が出ていなくても、パートナーも病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
黄色+悪臭「萎縮性膣症」かも
閉経後に黄色や悪臭のするおりものがある場合は「萎縮性膣症」の可能性があります。
萎縮性膣症とは、
- 加齢にともなう卵巣機能低下
- 卵巣摘出による卵胞ホルモン(エストロゲン)の欠乏
といった身体の変化によって膣に生じる変化です。
おもな症状としては、
- 乾燥
- かゆみ
- 灼熱感
- 性交痛
- 黄色や悪臭のするおりもの
- 違和感
などがあります。
卵胞ホルモンの分泌が減少すると、膣内の酸性度が弱まり、膣の自浄作用が低下します。
それによって膣や尿路の感染が起きて細菌性膣症になり、黄色や悪臭のするおりものが出ることがあるのです。
膣が薄くなって弾力を失い、縮むことで性交痛が見られるのも、萎縮性膣炎の特徴です。
性交時や性交後に出血する場合もあります。
ピンクor茶褐色+排卵期以外+長引く「子宮がん」かも
生理の直前・直後や排卵日の前後に、血が混じってピンクや茶褐色のおりものが出ることがあります。
しかし、それ以外の時期にピンク色や茶褐色のおりものがある場合は「子宮がん」が隠れている可能性があります。
生理周期に関係なく不正出血が続いたり、ピンク・茶褐色のおりものがしばしば見られたりするようであれば、一度、病院で受診したほうがよいでしょう。
おりものが気になったら早めに病院へ!
いつもの生理周期による変化とは明らかに異なるおりものが出た場合、婦人科を早めに受診することが大切です。
婦人科検診に慣れていないと内診に抵抗があるかもしれませんが、医師が必要と判断した場合は検査したほうがよいでしょう。
おりものの異常だけでなく、かゆみや痛みなどの症状がある場合や、パートナーが性感染症にかかったときにも、早めに婦人科で受診しましょう。
まとめ
「おりもの」は下着が汚れる、ニオイが気になるなど、女性にとって悩みの種になることもあるでしょう。
しかし、膣内の自浄作用や受精の手助けなど重要な役割を持っていることも確かです。
自分の健康を守ってくれているのだとポジティブに受け止め、体調の変化と同じようにおりものの変化も日々チェックすることをおすすめします。
普段と違うおりものには、感染症や子宮の病気が隠れている可能性があるため、おりものの色、量、ニオイなど気になる症状があれば、早めに病院を受診することが大切です。
おりものと上手くつきあって、より快適な生活を目指してくださいね。