生理前にお腹が張る原因は?生理中、生理が来ないときにお腹が痛いのはなぜ

生理前にお腹の張り(腹部膨満感)を感じる人はいませんか?

また、生理が始まると今度はお腹が痛いなどの不調が起こるという女性も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、生理前や生理中、生理が来ないときなどに起こるお腹の不調の原因や対処法をまとめて紹介します。

 

生理前にお腹が張るのはPMSの症状かも

生理前にお腹が張るのは、PMSで起こる症状の可能性があります。

PMSの特徴やお腹が張る理由、症状を確認してみましょう。

 

PMS(月経前症候群)とは

PMS(Premenstrual Syndrome)は月経前症候群とも呼ばれ、生理開始の3〜10日前から現れ、生理が始まると軽減したり治まったりする、身体的・精神的な症状を指します。

PMSの症状は実に200〜300種類にのぼるといわれ、その現れ方や程度は人それぞれです。

そのため、生理前に起こる不調がPMSと気づいていない方も多いでしょう。

 

PMSでお腹が張る理由

PMSの症状で多いのは、イライラやのぼせ、下腹部膨満感(お腹の張り)などです。

PMSでお腹が張るのは、ホルモンバランスの変化によって腸のぜん動運動が低下することが原因だと考えられています。

女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があり、生理周期のうち排卵後から生理が始まるまでの期間(黄体期)は主に黄体ホルモンが分泌されます。

黄体ホルモンは子宮に栄養や水分を溜め込み、妊娠を維持しやすい状態にするのが役割です。

この黄体ホルモンの働きによって腸がむくんだり、膨張した子宮に腸が圧迫されたりすると、腸の機能が低下してガスが溜まりやすくなります

その結果、お腹の張りが起こりやすくなるのです。

 

また、腸の機能低下によって便秘になると、本来、便と一緒に体外に出されるガスが排出されにくくなります。

すると、お腹が張るだけではなく、ガスが無理矢理外に出ようとするので、おならが出やすくなるケースもあります。

 

お腹の張り以外のPMSの症状

お腹の張り以外のPMSの症状には、以下のようなものがあります。

【身体症状】

便秘・むくみ・吐き気・めまい・寒気・冷え・下腹部痛・頭痛・乳房痛・乳房の張り・肩こり・肌荒れ・眠い・食欲が増す・体重が増える・身体が重い・動悸など

【精神症状】

イライラする・怒りやすい・涙もろい・集中できない・疲れやすい・孤独を感じる・判断力が低下する・感情の起伏が激しくなる・気分が落ち込むなど

生理前になるとこれらの症状が3ヵ月以上繰り返し起こり、日常生活に支障が出ているならPMSの可能性があります

症状が重い場合は我慢せずに、婦人科医に相談しましょう。

 

お腹の張りをやわらげる方法7選

お腹の張りがつらいときは、症状をやわらげる方法を試してみましょう。

ここでは、お腹の張りをやわらげる7つの方法を紹介します。

 

食事を調整する

生理前は、お腹の張りをやわらげる食事になるよう調整しましょう。

お腹の張りをやわらげる食事とは、以下のポイントをおさえたものです。

 

【カリウムを摂る】

カリウムには体内の過剰な塩分を排出する働きがあるため、むくみの解消になり、お腹の張りをやわらげることにもつながります。

 

【タンパク質を摂りすぎない】

タンパク質を摂取し過ぎると、消化しきれなかった分が腸内の悪玉菌のエサになります。

すると悪玉菌が増殖して、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが乱れるため、おなかの張りやガス溜まりの原因になることがあります。

 

【ガスの原因になる食品を避ける】

ブロッコリー・芽キャベツ・カリフラワー・キャベツなどのアブラナ科の野菜や豆類は腸内にガスを発生させる原因になります。

お腹が張っているときは避けるようにしましょう。

 

【乳酸菌を摂り入れる】

乳酸菌を摂り入れると腸内の善玉菌が増えて、腸内環境が整いやすくなります。

便秘やお腹の張りの解消につながるので、乳酸菌を含む漬物などの食品を積極的に摂るようにしましょう。

ただし、ヨーグルトなどの乳製品に含まれるラクトースを分解しづらい体質の方は、かえってお腹が張る可能性があるので注意が必要です。

 

【FODMAPを多く含む食べ物を控える】

オリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオールの4種類の発酵性の糖質をまとめて「FODMAP(フォドマップ)」と呼びます。

FODMAPは大腸の腸内細菌によって分解されるとお腹が張る原因となるガスを発生させるので、FODMAPを多く含む食べ物は控えましょう。

FODMAPを多く含む代表的な食べ物は以下の通りです。

 

カフェイン・アルコール・喫煙を避ける

カフェインやアルコールを過剰に摂取すると、利尿作用によって体内の水分が不足し、便秘になってお腹の張りを引き起こす可能性があります。

喫煙は血流を悪くしてホルモンバランスに悪影響を与えるので、お腹の張りといったPMSの症状を悪化させる原因になります。

そのため、生理前はカフェインを含む飲食物・アルコール・喫煙を避けるようにしましょう。

 

炭酸飲料を避ける

炭酸飲料には炭酸ガスが含まれているので、お腹が張っているときに飲むと症状が悪化する可能性があります。

生理前は炭酸水は避けて水分補給するようにしましょう。

 

睡眠をしっかりとる

腸のぜん動運動は自律神経によってコントロールされており、副交感神経が優位になる睡眠中はぜん動運動が活発になるといわれています。

睡眠不足になると腸の機能が低下して便秘やお腹の張りを引き起こすため、しっかりと睡眠をとりましょう。

 

適度な運動やマッサージをする

生理前のお腹の張りを抑えるには、軽い運動やマッサージで腸に刺激を与えるのもおすすめです。

PMSの症状をやわらげるにはウォーキングやヨガ、ストレッチなど有酸素運動が効果的といわれています。

PMSは運動不足が原因になる場合もあるので、適度に体を動かしましょう。

 

ガスを解消する消泡剤配合の整腸薬を活用

セルフケアをしてもお腹の張りが治まらないときは、溜まったガスを解消する消泡剤配合の整腸薬を活用する方法もあります。

お腹の張りの改善効果が期待できる整腸薬には消泡成分「ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)」の他に、乳酸菌や消化酵素、ビタミンなど腸内環境を整える成分が配合されている商品もあります。

どの整腸薬が自分に合うかわからないときは、かかりつけの医師や薬剤師、登録販売者に相談してみましょう。

 

腸内環境を整える胃腸薬(乳酸菌・消化酵素)

お腹の張りをやわらげる対策として、腸内環境を整えることも効果的です。

腸内環境を整えるには善玉菌を摂取して、お腹の張りの原因となる悪玉菌の増殖を抑えることが大切です。

胃腸薬の中には、乳酸菌などの善玉菌を配合した、整腸作用が期待できるものもあります。

お腹の張りが気になる場合は、このタイプの胃腸薬を選びましょう。

 

また、腸に残ると悪玉菌のエサになる脂質やタンパク質をきちんと消化することも重要になります。

脂質やタンパク質の消化をサポートする消化酵素が配合された胃腸薬なら、より効果的にお腹の張りを抑えられる可能性があります。

腸内環境をより効率的に整えて、お腹の張りをやわらげるには、整腸作用と消化作用の両方を合わせ持ったタイプの胃腸薬を選ぶのがよいでしょう。

 

整腸作用と消化作用の2つを兼ね備えた胃腸薬のひとつに、「強力わかもと」があります。

「強力わかもと」は、腸の調子を整える「乳酸菌」と、タンパク質の消化を助ける消化酵素を生み出す「麹菌」が配合されている胃腸薬です。

お腹の張りが気になる方は、「強力わかもと」のような指定医薬部外品を使用するのもひとつの方法です。

 

生理中はお腹が張るというよりも痛む

生理中は、お腹が張るというよりも生理痛が起きやすくなります。

それは子宮を収縮させて経血を排出する働きのある「プロスタグランジン」という物質が分泌されることによるものです。

プロスタグランジンが過剰に分泌されると子宮の収縮も強くなるため、生理痛特有の下腹部や腰の痛みを感じることがあります。

また、血行が悪くなるとプロスタグランジンが骨盤内で滞るため、体の冷えが生理痛を引き起こしているケースもあります

 

生理痛がひどいなら月経困難症

生理痛の程度は個人差がありますが、寝込んでしまったり日常生活に支障が出たりするほど強い痛みがあったりする場合は「月経困難症」かもしれません。

月経困難症とは、生理期間中に生理に伴って起こる病的な症状を指します。

月経困難症には病気と関連がない「機能性月経困難症」と、子宮や卵巣の病気が関連している「器質性月経困難症」があります。

 

月経困難症の症状

月経困難症の主な症状には、以下のようなものがあります。

下腹部痛・腰痛・頭痛・吐き気・お腹の張り・吐き気・疲労感・脱力感・食欲不振・イライラ・下痢・便秘・貧血

寒気や発熱を伴う場合や、経血量が多い、生理期間が長いなどの異常を感じることもあります。

症状が重いときは、早めに産婦人科や婦人科に相談しましょう

もしかしたら病気が隠れているかもしれません。

月経困難症は痛みを抑える対症療法、卵巣や子宮に働きかけるホルモン療法、原因となっている病気の治療などを行うことで改善する場合があります。

 

生理中は下痢になりやすい

生理が始まる頃には、黄体ホルモンの分泌量が減ってくるため、生理前になると現れるお腹の張りや便秘などの不調は自然と改善されます。

しかし、黄体ホルモンが減少することで腸の動きが活発になり、さらにプロスタグランジンが腸管を強く収縮させるので、生理中は下痢になりやすくなります。

また、生理中はホルモンバランスの変化によって精神が不安定になるため、ストレスから下痢を引き起こすケースも少なくありません。

 

生理痛・下痢の対処法

生理痛や下痢を抑えたいときは、以下のような対処法を試してみましょう。

 

【体を温める】

体を温めて血行を良くすることで痛みがやわらぎ、下痢症状も治まりやすくなります。

肌の露出を控えて、カイロや腹巻で下腹部や腰を温めるようにしましょう。

 

【安静にして心身を休める】

生理痛や下痢症状があるときは、できるだけ安静にして心身を休めましょう。

リラックスすることは、ストレスが引き起こす不調を抑えることにもつながります。

 

【鎮痛薬を使う】

生理痛があるときは、市販の鎮痛薬を使って症状を抑える方法もあります。

以下のような成分が配合されている鎮痛薬を選ぶと、生理痛をやわらげる効果が期待できます。

  • ロキソプロフェン
  • イブプロフェン
  • アスピリン
  • エテンザミド
  • アセトアミノフェン

使用年齢が制限されている成分もあり、症状や体質によって合わないケースもあります。

どの鎮痛薬が自分に合うのかわからないときは、薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。

 

生理が来ないのにお腹が痛む・張るなら妊娠の可能性も

妊娠初期症状は生理前〜生理中に起こる不調によく似ているため、生理による痛みやお腹の張りだと思っていたら妊娠していたというケースもあります。

妊娠初期の痛みやお腹の張りは、妊娠して子宮が大きくなり、子宮を支える靭帯が引っ張られることが原因です。

また、妊娠中は黄体ホルモンが分泌されるので、腸の機能が低下して便秘やガス溜まりによるお腹の張りが起きやすくなります。

性交があり、生理予定日を1週間以上過ぎても生理がこない場合は妊娠している可能性が考えられます

妊娠の可能性を感じたら、産婦人科医の診断を受けましょう。

 

閉経後でもお腹が張る理由

閉経した後でも、生理前のようなお腹の張りを感じることがあります。

閉経後にお腹が張る理由を確認してみましょう。

 

原因は自律神経の乱れ

閉経前後5年間の計10年間は「更年期」と呼ばれ、卵巣機能が低下して女性ホルモンの分泌量が急激に減少します。

これによって自律神経が乱れやすくなり、さらに加齢による腸の機能低下が原因でガスが溜まりやすくなります。

そのため、生理がなくてもお腹が張ることがあるのです。

 

お腹の張りを抑える方法

お腹の張りがあるときは、栄養価が高く、脂質が少ないものや食物繊維が豊富なものを食事に取り入れることがおすすめです。

不溶性食物繊維ばかり摂るとお腹の張りが強くなったり便秘になったりすることがあるので、水溶性食物繊維も摂るようにしましょう。

お腹の張りを抑えるには、体を冷やさないことも大切です。

栄養バランスのとれた食事を意識しつつ、体を温める食材を取り入れてみましょう。

また、ストレスがたまると自律神経の乱れにつながります

疲れたときはゆっくり休んで、リラックスする時間を作りましょう。

 

お腹が張る主な病気

お腹の張りは病気の症状のひとつとして現れることもあります。

ここでは、お腹の張りの原因になる代表的な病気を紹介します。

 

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腸に病変や内分泌異常などが見つからないのにもかかわらず下腹部痛・腹部膨満・便秘・下痢などの症状が数カ月以上続く病気です。

ストレスや不規則な生活、消化管の知覚過敏などによって腸のぜん動運動に異常が起きることが発症の原因だと考えられています。

 

過敏性腸症候群は、排便状況により便秘型、下痢型、混合型(便秘と下痢を繰り返す)、分類不能型に分類されます。

また、排便状況とは別に、ガスが腸内にたまってお腹が張ったり、臭いの強いおならが出たりする症状が現れたりする場合、ガス型と言われることがあります。

不眠、頭痛、吐き気など腹部以外の症状を伴うこともあるので、症状が長引き、生活に支障が出ている場合は、消化器内科や胃腸科の医師の診断を受けましょう。

 

子宮内膜症

子宮内膜症は、卵巣・卵管・腹膜・腸など子宮以外の部位に子宮内膜ができる病気です。

強い生理痛(下腹部痛)が起こることが特徴で、進行するとお腹の張り・便秘・吐き気・頭痛などを伴うケースもあります。

また、月経が終わっても生理痛が続いたり、腰痛や性交痛、排便痛が起こったりする場合もあるので、気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。

 

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮の筋肉の中に子宮内膜のような組織ができる病気です。

子宮内膜症と同様に強い生理痛に見舞われるほか、経血量も過度に多くなります

子宮が大きくなるため、腹部膨満感があるのも特徴です。

月経が来る度に激しい生理痛やナプキンからすぐに溢れるほどの経血量があるなら、婦人科医の診察を受けましょう。

 

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮の筋肉部分に良性の腫瘍ができる病気です。

生理痛のほか経血量が多いことも特徴で、痛みがひどく動けなかったり、ナプキンを1時間に1回取り替えても漏れてしまったりする場合もあります。

貧血・腰痛・頻尿などの症状を伴う場合があることも特徴です。

筋腫が大きくなるとポッコリおなかになり、張りを感じることもあります。

治療をしないで放置すると手術が必要になる場合もあるので、思い当たる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。

 

大腸がん

大腸がんは大腸内の粘膜に発生するがんで、飲酒・喫煙・運動不足・野菜や果物の摂取不足など生活習慣が原因と考えられています。

初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行するとお腹の張り・腹痛・血便・便秘・下痢などの症状が起こることがあります。

 

まとめ

生理前にはお腹の張り、生理中はお腹の痛みと、生理の際は不調が現れやすいものです。

また、生理が来ないときや閉経後にお腹の張りが起こることも珍しくありません。

軽度の場合はセルフケアで改善することもありますが、病気が関わっているケースもあります

 

症状の現れ方や程度、症状が現れる時期などによって考えられる原因はさまざまです。

まずは症状を把握して、自分に合った対処法を実践してみましょう。

心配な症状がある場合はためらわず医療機関に早めに相談することをおすすめします。