デリケートゾーン(陰部)のできもの|ニキビ・しこり・イボなどの原因を解説

吹き出物・おでき・しこりなど、デリケートゾーン(陰部)にできものがあると原因や対処法がわからず不安になることがあります。

また、デリケートゾーン(陰部)のできものは何科で受診してもらえばいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はデリケートゾーン(陰部)のできものの考えられる原因・対応してくれる診療科について紹介します。

 

デリケートゾーン(陰部)のできものの原因

デリケートゾーン(陰部)にできものができる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

症状や一般的な対処法とあわせて確認してみましょう。

※ここで挙げる病気・生理現象がすべてではありません。
また、症状には個人差があるため、自己判断による対処は避け、気になる症状があればまずは病院で受診しましょう。

 

ニキビ

ニキビは、毛包(毛穴)に、皮脂がたまることで起きる慢性皮膚疾患です。

正式名称は、尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)です。

【主な症状】
ニキビは進行度合いによって白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビと呼ばれることがあります。それぞれの状態における主な症状は以下の通りです。

・白ニキビ
いわゆる白ニキビとは閉塞面皰(へいそくめんぽう)の状態です。

毛穴が閉塞し、毛穴に皮脂がたまることで、皮膚表面が小さく盛り上がった状態です。

炎症は伴っていません。盛り上がりの先端は白色がかって見えることがあります。

 

・黒ニキビ
いわゆる黒ニキビとは、解放面皰(かいほうめんぽう)の状態です。

閉塞面皰の状態から更に毛穴が開いた状態です。炎症は伴っていません。

皮脂の酸化やメラニン色素により、毛穴のあたりが黒色がかかって見えることがあります。

 

・赤ニキビ
いわゆる赤ニキビとは、紅色丘疹 (こうしょくきゅうしん)の状態です。

毛穴でアクネ菌などが増殖したために、炎症が起きている状態で、皮膚の盛り上がりが赤色に見えます。

痛みを伴う場合もあります。

 

・黄ニキビ
いわゆる黄ニキビとは、膿疱(のうほう)の状態です。

膿疱は、膿がたまることで皮膚が盛り上がっている状態です。

皮膚の盛り上がりの先端が膿で黄色に見えます。

黄色に見える部分の周りは、炎症のため赤色に見えます。

【主な原因】
古い角質や皮脂が硬くなったものなどで毛穴が詰まることで、ニキビが起こります。
蒸れ、こすれ、不衛生などにより悪化することがあります。
【一般的な対処法】
まずは患部を清潔に保ちましょう。病院では、一般的に毛穴の閉塞を防ぐ薬(塗り薬)、抗菌薬(塗り薬・飲み薬)、抗炎症薬(塗り薬)などでの治療が行われます。市販薬には、抗菌薬や抗炎症薬などを含んだ塗り薬があります。
自然治癒する場合もありますが、悪化して治りにくくなったりニキビ跡が残ったりする可能性もあるので注意が必要です。
とくに、ニキビに目立つ膿やひどい腫れ又は痛みがあるときは、早めに病院で受診することをおすすめします。

 

毛嚢炎(毛包炎)

毛嚢炎(毛包炎)は、毛包(いわゆる「毛穴」)に細菌が感染することにより炎症が起きる皮膚疾患です。

毛嚢炎は、ニキビと症状が似ていますが、ニキビは毛穴のつまりが原因で、毛嚢炎は毛穴への細菌感染が原因です。

【主な症状】
毛嚢炎では、毛穴の箇所に紅色丘疹や膿疱ができます。
毛嚢炎が進行すると「せつ」という病名で呼ばれる状態になります。
せつとは、いわゆる「おでき」です。
せつになると、硬いしこりになり、赤み・痛み・熱感をより強く感じるようになります。さらに、悪化すると「よう」という病名で呼ばれる状態になります。
ようは、隣り合うせつがつながって、膿が溜まった状態です。
ようになると、赤み・痛み・熱感の局所症状のほかにも、発熱・倦怠感などの全身症状が現れることがあります。
【主な原因】
デリケートゾーン(陰部)の剃毛・皮膚を掻く・衣類による擦れなどによって皮膚が傷ついたり、ステロイド外用薬の使用や糖尿病によって免疫力が下がったりしたときに、毛包(毛穴)に細菌(主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)が感染して発症します。
【一般的な対処法】
まずは患部を清潔に保ちましょう。
病院では、原因や症状に合わせて抗菌薬(塗り薬・飲み薬)、抗真菌薬(塗り薬・飲み薬)などによる治療が行われることが多いです。「せつ」や「よう」になっている場合は、皮膚を切開して膿を排出する処置を要します。
市販薬には、抗菌薬を含む塗り薬があります。
症状が軽い場合、自然治癒することが多いですが、患部を清潔に保っても症状が治まらないときは早めに病院で受診しましょう。

 

尖圭コンジローマ

尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こるウイルス性感染症です。

【主な症状】
デリケートゾーン(陰部)に、イボのようなものができます。
イボはピンクや褐色で、大きくなったり、数が増えてカリフラワー状や鶏冠状の形になったりすることがあります。
【主な原因】
性行為によって感染することが多いです。
【一般的な対処法】
病院では塗り薬による治療や凍結療法・電気メス・レーザーなどによる外科的治療を行います。
尖圭コンジローマの市販薬はありません。パートナーへ感染させる恐れがあり、不妊になったりHIV感染の危険性が高まったりすることもあるので病院で受診することをおすすめします。

 

バルトリン腺嚢胞・膿瘍

膣口の左右には、粘液を分泌するバルトリン腺があります。

このバルトリン腺の開口部が詰まって粘液が溜まり、嚢胞(のうほう)・膿瘍(のうよう)ができる病気です。

【主な症状】
嚢胞は無症状なことが多く、嚢胞が大きくなると膣口付近に腫れが生じたり違和感を覚えたりする場合があります。
嚢胞が感染を起こすと膿瘍と呼ばれ、強い痛み・腫れ・赤み・熱といった症状が現れます。
立ち座りなど、日常的な動作に支障をきたすことがあります。
【主な原因】
バルトリン腺の開口部が詰まる原因ははっきりとしていません。
【一般的な対処法】
病院では、症状に合わせて、針穿刺(はりせんし)・抗菌薬の経口摂取・カテーテルによる膿の排出・嚢胞の切除といった治療が行われます。
軽症(しこりが小さく痛みがない)場合は、経過観察になることが多いです。
ただし、40歳以上の場合は悪性腫瘍の可能性があるため、必ず病院で受診しましょう。

 

粉瘤

粉瘤は、良性の皮下腫瘤(皮膚の下にできるしこり)で、皮膚の下にできた袋状の組織に角質や皮脂が溜まったものです。

【主な症状】
数mm〜数cmの大きさで、中央に黒い開口部がある半球上のしこりができます。
痛みはなく、圧迫するとドロドロとしたものが出てくることがあります。
ただし、細菌に感染すると、赤く腫れて強い痛みが伴います。
【主な原因】
粉瘤ができる原因ははっきりとしていません。
【一般的な対処法】
病院では、症状に合わせて嚢腫の摘出といった治療を行います。
セルフケアで治せないため、粉瘤の可能性を感じたら早めに受診しましょう。

 

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型または2型の感染によって起こる感染症です。

【主な症状】
症状が出ない人もいますが初感染では、デリケートゾーン(陰部)に小さな水疱や複数の浅めの潰瘍などができ、強い痛みを伴うことがあります。
発熱・倦怠感・便秘といった症状が現れる人もいます。再発では、症状が軽いことが多いです。
【主な原因】
性行為(オーラルセックスを含む)によって感染します。
【一般的な対処法】
病院では、抗ウイルス薬の飲み薬や点滴・抗炎症剤・鎮痛剤などで治療を行います。
月経時・疲労時・妊娠中に再発しやすいです。
パートナーに感染させている可能性がある場合は、一緒に受診することをおすすめします。

 

梅毒

梅毒は梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる感染症です。

【主な症状】
感染部位にしこり・ただれができ、感染してから時間が経つと手のひらや足の裏などに発疹が現れます。
治療しなくても一旦症状は消えますが、潜伏期間を経て数年〜数十年後に、全身の皮膚・筋肉・骨にゴムのような腫瘍ができたり、心臓・血管・神経に異常が起きたりすることがあります。
【主な原因】
オーラルセックスを含む性行為によって感染します。母子感染もします。
【一般的な対処法】
病院では、抗菌薬の飲み薬・点滴などで治療を行います。
自然治癒することはなく、進行すると重篤な症状が出る恐れがあるので早めに受診しましょう。

 

フォアダイス

フォアダイスは主に男性に見られ、デリケートゾーン(陰部)の皮膚の下に皮脂が溜まって脂肪の塊ができる生理現象です。

尖圭コンジローマと間違えられることも多いです。

【主な症状】
1~3mmほどの小さなイボやブツブツのようなものができます。
【主な原因】
原因ははっきりとしていません。
【一般的な対処法】
病気ではないため、基本的に治療の必要はありません。
気になる場合は、レーザーや電気メスによる除去が可能です。

 

真珠様小丘疹

真珠様小丘疹は、デリケートゾーン(陰部)に、繊維や血管が盛り上がることで、小さなイボができる生理現象です。

尖圭コンジローマと間違えられることも多いです。

【主な症状】
男性の場合は亀頭の根元に、女性の場合は膣前庭から小陰唇にかけて、左右対称に表面が滑らかな乳頭状の小さなブツブツが多発します。
【主な原因】
原因ははっきりしていませんが、不衛生な状態が影響するといわれています。
【一般的な対処法】
病気ではないため、基本的に治療は必要ありません。
気になる場合は、レーザーや電気メスによる除去が可能です。

 

性器伝染性軟属腫(水いぼ)

性器伝染性軟属腫、いわゆる「水いぼ」は、ポックスウイルスによるウイルス性皮膚疾患です。

小児で多くみられます。

【主な症状】
大きさは2〜5mm程度で、ピンク色または白色の中心にくぼみがあるイボが多発します。
つまむと乳白色の粥状のものが出ます。
【主な原因】
成人では、性行為やスキンシップによって感染します。
感染力が強く、タオル・スポンジなどを介して感染することもあります。
【一般的な対処法】
多くは自然治癒しますが、他の人に感染させないために治療が必要です。
病院では、電気メスやレーザーによる外科的治療・塗り薬・凍結療法などの治療を行います。

 

疥癬(かいせん)

疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫)という小さなダニが皮膚に寄生することで起こる皮膚疾患です。

【主な症状】
デリケートゾーン(陰部)に赤いブツブツが多発し、激しいかゆみを伴います。
また、湿疹やしこりが現れることもあります。
【主な原因】
長時間のヒゼンダニとの直接接触によって感染します。
性行為の他、衣類や寝具などを介して感染することがあります。
【一般的な対処法】
病院では、ヒゼンダニを殺すための飲み薬・塗り薬などで治療を行います。
他人に感染させる恐れがあるため、疥癬の疑いがあるときは早めに病院で受診しましょう。

 

デリケートゾーン(陰部)のできものは何科で受診?

デリケートゾーン(陰部)にできものができたときは、以下の診療科で受診できます。

 

婦人科・産婦人科

女性の場合、デリケートゾーン(陰部)にできものができた場合、婦人科・産婦人科で受診するのが一般的です。

外陰部だけでなく、膣内の診察も可能なため、幅広く対応できます。

 

皮膚科・形成外科・泌尿器科

デリケートゾーン(陰部)にできものができたとき、皮膚科・形成外科・泌尿器科で受診することもできます。

男性の場合は、皮膚科・泌尿器科で受診するのが一般的です。

 

まとめ

デリケートゾーン(陰部)にできものができる原因には、さまざまな可能性があります。

生理現象で治療が不要な場合もありますが、感染症によるできものの場合、他人にうつす恐れもあるので注意が必要です。

また、深刻な病気の場合もあるため、痛い・かゆいといった症状がなくても、放置せずに早めに病院で受診するようにしましょう。