おりものの量が多いと「病気かも…」と不安になる女性もいるのではないでしょうか。
今回は、おりものの量が多くなる原因、要注意なおりものの量・時期、体の変化、おりものに変化が起こる代表的な病気について詳しく紹介します。
「おりものの量ってどのくらいが正常なの?」「どのくらいが多いんだろう?」と疑問に感じている女性は確認してみましょう。
おりものの量が多くなる原因
おりもの量が多くなる原因は、生理周期・年齢・妊娠・病気が考えられます。
それぞれの原因について詳しく解説します。
※おりものの量が急に増えたときはさまざまな原因が考えられます。自己判断せず病院で検査を受けましょう。
生理周期が原因でおりものの量が増える
おりものと女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)は大きく関わっており、生理周期に合わせておりものの量・状態は変化します。
【卵胞期】 |
生理が終わった直後の卵胞期前半のおりものは、量が少なくさらさらした状態です。 経血がおりものと混ざりやすいため、茶色っぽい色になることがあります。 卵胞期後半になると、おりものの量が増えてきます。 |
【排卵期】 |
排卵期は、もっともおりものの量が多くなる時期です。 色は透明で、とろみがあって伸びるおりものが出ます。 排卵日近くに分泌されるおりものは、精子が膣から子宮へスムーズに入り込むように受精をサポートする役割があります。 |
【黄体期】 |
黄体期になると、おりものの量は徐々に減っていきます。 粘り気のある白く濁った状態になり、下着に付着すると酸化して黄色っぽく見えることがあります。 |
【生理直前】 |
生理直前になると、減っていたおりものの量がやや増えてきます。 粘り気のある白く濁った状態で、ニオイを強く感じやすいです。 生理が近づいてくると、少量の経血が混ざってピンク色や茶色のおりものが出ることもあります。 |
エストロゲンの分泌量が多くなると、おりものの量も増えます。
そのため、エストロゲンの分泌量が多くなる卵胞期後半〜排卵期、生理直前に一時的におりものが多くなるなら正常の範囲といえるでしょう。
年齢が原因でおりものの量が変化する
年齢によるエストロゲン分泌量の変化に伴い、おりものの量も変化します。
【初潮~10代】 |
エストロゲンの分泌量が多くなり、はじめての生理を迎えるとおりものの量も増えてきます。 初潮〜10代はエストロゲンの分泌が不安定な時期なので、おりものの量も不安定になりやすいです。 |
【20~30代】 |
エストロゲン分泌量のピークは20代後半〜30歳前半です。 この頃になると、おりものの量がもっとも増加します。 |
【40代】 |
40代になるとエストロゲンの分泌量は少なくなりはじめます。 エストロゲンの分泌が少なくなることでおりものの量が減り、生理が安定しなくなるなどの変化も感じやすいです。 |
【更年期・閉経後】 |
更年期(閉経の前5年間・後5年間の計10年間)を迎えるとエストロゲンの分泌量は急激に少なくなるため、おりものの量も一気に減ります。 更年期から閉経後にかけて徐々におりものの量が減っていき、閉経後2〜3年程度でおりものはほとんど出なくなる傾向があります。 |
妊娠が原因でおりものの量が増える
妊娠するとお腹の中の赤ちゃんを細菌から守るために、おりものの量が増加します。
通常、卵胞期が過ぎるとエストロゲンの分泌が減るため、おりものの量は減少します(生理直前にやや増えることはあります)。
しかし、妊娠中はエストロゲンの分泌が続いて、おりものの量が増えるのが一般的です。
生理予定日を過ぎても生理が始まらず、おりものの量も多くなったと感じたら、妊娠している可能性があるでしょう。
病気が原因でおりものの量が増える
生理周期・年齢・妊娠でおりものの量が増えるのは正常なことですが、病気が原因でおりものの量が増えている場合もあります。
おりものの量が多いだけでなく、ニオイ・色の変化、他の症状もある場合は注意が必要です。
おりものの量が多くなる病気については、後ほど詳しく解説します。
おりものの量はどのくらいが正常?多すぎる量は?
おりものの量には個人差があり、量が多いと感じる度合いも人によって異なります。
そのため、おりものの正しい量の基準はありません。
しかし、以下のような状態になっているときは、早めに婦人科・産婦人科に相談することをおすすめします。
おりものシートでは足りず生理用ナプキンが必要
一般的な判断基準として、おりものシートで足りているときは正常の範囲内といえるでしょう。
しかし、おりものシートを何度も替えなければならなかったり、生理用ナプキンが必要になったりするくらいの量が出ている場合は要注意です。
ズボンまで染みる
おりものが下着から漏れてしまい、ズボンまで染みるほどの量が出ている場合も体に異変が起きている可能性があるでしょう。
【要注意】おりものが多い時期・体の変化も確認!
おりものの量が増えたことに不安を感じるときは、おりものの量が多い時期・体の変化についても確認してみましょう。
以下のような状態になっているときは、早めに婦人科・産婦人科へ相談することをおすすめします。
思春期以前なのにおりものが多い
エストロゲンの分泌が始まる時期は人によって異なりますが、一般的に8・9歳頃から分泌され、卵巣や子宮が発達していきます。
エストロゲンの分泌量が増えると白や黄色っぽいおりものが出るようになり、やがて初潮を迎えます。
おりものがほとんど分泌されない思春期以前(※)なのに、急におりものが多くなった場合は何かしらの異変が起きている可能性があるでしょう。
※思春期…8~18歳頃までの間
更年期・閉経後におりものの量が増える
エストロゲンの分泌量は更年期に急激に少なくなっていき、閉経後にはほとんど出なくなる傾向があります。
本来はエストロゲンの分泌量の減少に伴って、おりものの量も減っていきます。
そのため、更年期・閉経後におりものの量が増えている場合は、異常が起きている可能性があるでしょう。
生理周期に関わらず大量のおりものが毎日出る
「おりものが毎日出るのは大丈夫なの?」と、おりものの頻度が多くて心配という人もいるのではないでしょうか。
おりものは、細菌などが膣内に侵入するのを防いでいます。
おりものが出る頻度は個人差がありますが、毎日出ていても正常の範囲内といえます。
ただし、生理周期に関わらず、大量のおりものが毎日出ている場合は注意が必要です。
おりもののニオイ・色がおかしい
おりものの量が増えるとともに、おりもののニオイや色がおかしいと感じるときは病気の可能性が考えられます。
膣の中では「乳酸桿菌」が乳酸などを分泌することにより、膣内はpH3.8〜4.5の酸性の環境を保っています。
おりもののニオイの感じ方は個人差がありますが、ほぼ無臭または少し酸っぱいニオイがするのが一般的です。
生理前は酸っぱいニオイが強くなることもあります。
注意したいのは、魚が腐ったようなニオイや生臭いニオイなどの悪臭がするときです。
いつもと違うニオイを感じたら、早めに病院に相談しましょう。
通常、おりものは透明・乳白色で、下着に付着して時間が経つと黄色く見えることがあります。
生理前後・受精卵着床時は、血液が混ざってピンク色や茶色になる場合もあります。
しかし、ピンク色や茶色のおりものが2~3日でおさまらず長く続く場合、病気や流産などの可能性もあるので、早めに病院へ相談しましょう。
他にも、黄緑色など通常とは違う色をしているときは、早めに病院に相談することをおすすめします。
ニオイ・色以外にも、水っぽくなるというようなおりものの異変を感じたときは病気の可能性があります。
おりものは女性の健康のバロメーターの一つですので、量・ニオイ・色・状態をしっかりと確認しましょう。
おりもの以外にも体調の変化がある
おりものに変化があり、さらに他にも体調の変化がある場合は、健康面でのトラブルが起きている可能性があります。
たとえば、おりものに異変があり、以下のような症状があるときは病気が疑われます。
- 外陰部にかゆみや痛みがある
- 発熱している
- 腹部に痛みがある
- 性交時・排尿時に痛みがある
- 倦怠感がある
病気の中には、自覚症状が少ない状態で進行していくものもあります。
少しでも体調がおかしいなと感じたら、早めに病院に相談することが大切です。
おりものの量が増える・水っぽくなる病気
ここで挙げる病気がすべてではありませんが、おりものの量が増える・水っぽくなるなどの症状が出る代表的な病気を確認してみましょう。
おりものが増えた+痛い「性器クラミジア感染症」かも
さらさらとした水っぽいおりものが大量に出て、性行時や排尿時に痛みがある場合は「性器クラミジア感染症」の可能性があります。
性器クラミジア感染症になると、他にも以下のような排尿時・性交時の痛みが出ることがあります。
- 骨盤痛
- 頻尿
人によっては自覚症状がなく、感染に気づかないことも少なくありません。
性器クラミジア感染症は、女性でもっとも多い性感染症といわれています。
放置すると卵管炎や腹膜炎を引き起こしたり、子宮外妊娠や不妊を招いたりする恐れがあり、妊婦の場合、流産・早産などが起こる恐れがあるので要注意です。
カップルのどちらかが感染している場合は性交渉によって相手にうつしてしまい、何度もうつしあうピンポン感染が起こることもあります。
そのため、性器クラミジア感染症と診断された場合は、パートナーも検査を受けることをおすすめします。
おりものが増えた+生臭い「膣トリコモナス症」かも
おりものが増えて、生臭いような強い悪臭がする場合は「膣トリコモナス症」かもしれません。
膣トリコモナス症になると、他にも以下のような症状が起こることがあります。
- 黄白色・黄緑色で泡状のおりもの
- 膣のかゆみ
- 排尿時の痛み
- 性交時の痛み
- 膣の痛み
症状は人によって異なり、これらの症状が起こらずに発症に気づかないことも少なくありません。
膣トリコモナス症は、膣トリコモナス原虫が膣内や子宮頚管に感染することで起きます。
性交により感染することが多いですが、タオルの共有、不特定多数の人が利用する浴槽・トイレの便座の使用などにより感染することもあります。
パートナー同士でうつしあうピンポン感染が起こりやすいため、膣トリコモナス症と診断されたら、パートナーも検査を受けることをおすすめします。
おりものが増えた+イボ「尖圭(せんけい)コンジローマ」かも
おりものが増え、性器周辺にイボができているときは「尖圭コンジローマ」の可能性が考えられます。
尖圭コンジローマは性行為が主な原因で、ヒトパピローマウイルスが感染してイボができる病気です。
尖圭コンジローマの潜伏期間は3週間〜6ヶ月程度で、痛みやかゆみがない場合が多いのでイボが成長してから気づく人も少なくありません。
【イボができる主な部位】
- 外陰部
- 膣
- 子宮頸部
- 尿道口
- 肛門内
- 肛門周辺
イボの形は鶏冠(とさか)状・カリフラワー状などで固くザラっとしているのが特徴です。
また、イボが急に成長すると、痛みやかゆみが出たり傷ついて出血したりすることもあります。
おりものが増えた+白い塊「膣カンジダ症」かも
おりものが増え、カッテージチーズ・酒粕・ヨーグルトのようなポロポロとした白い塊が混ざっているときは「膣カンジダ症」が疑われます。
また、膣内から外陰部にかけて、かゆみ、灼熱感またはズキズキする痛みといった症状が現れることもあります。
膣カンジダ症は、一部の女性の膣内に常在しているカンジダ菌が、何らかのきっかけで増殖した場合に症状が現れる病気です。
発症の原因は以下のようなものがあります。
- 抗菌薬や免疫抑制剤の使用
- 免疫機能の低下(風邪・睡眠不足などのストレスによる)
- 糖尿病
- 通気性の良くない下着の着用
- 膣内の不適切な自己洗浄
- 妊娠
- 性行為によるカンジダ菌感染
初めて膣カンジダ症を発症した場合、まずは婦人科・産婦人科を受診するようにしましょう。
また、膣カンジダ症になるとパートナーに感染することもあるので、完治するまでは性行為は控えたほうがよいでしょう。
おりものが水っぽい+生臭い「細菌性膣症」かも
おりものが水っぽくて魚のような生臭いニオイがするときは、「細菌性膣症」かもしれません。
細菌性膣症になると、他にも以下のような症状が現れることがあります。
- 白色・濃い黄色・灰色がかったおりもの
- 下腹部痛
- 不正出血
細菌性膣症は膣内の細菌バランスが崩れ雑菌が異常繁殖している状態です。
以下のような原因で発症することがあります。
- 性器や膣の過剰な洗浄
- 陰部の蒸れ
- 免疫力の低下(ストレス・疲労など)
- タンポンの誤った使い方
- 性行為
などが原因として考えられ、膣内で異常増殖した細菌が、さらに子宮内膜炎、卵管炎または骨盤腹膜炎を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
おりものが水っぽい+不正出血「子宮頸がん」かも
おりものが水っぽかったり生理周期に関わらずピンク色や茶褐色のおりものが出る不正出血のある場合、「子宮頸がん」の可能性があります。
子宮頸がんになると、他にも以下のような症状が現れることがあります。
- 濃い茶色や膿のようなおりもの
- 下腹部痛
- 腰痛
- 性交時の出血
- 排尿や排便時に血が混じる
子宮頸がんは子宮の入り口にあたる子宮頸部にできるがんのことで、早期には自覚症状が少ないのが特徴です。
進行すると症状が現れる傾向があるので、少しでも異常を感じたら婦人科・産婦人科を受診しましょう。
まとめ
おりものの量は生理周期や年齢などの影響を受けるため、量が増えても一概に病気とはいえません。
しかし、生理用ナプキンが必要だったりズボンに染みるほど大量に出ていたりするときは注意が必要です。
また、「臭い」「色がおかしい」など、色・ニオイに変化があるときも体に異変が起きている可能性があります。
少しでもいつもと違う気になるおりものが出たら、早めに病院を受診しましょう。