食べ物や飲み物には、口臭の原因になるものがある一方、口臭対策になるものもあります。
また、口臭ケアをするなら、口臭の原因の大部分を占める舌のケアをするべきです。
この記事では、口臭の原因となるものやケアする方法を紹介します。
口臭の原因になる食べ物
口臭の原因になる食べ物は、メジャーなものから意外なものまでさまざまです。
その一部を紹介します。
ニンニク・ニラ・玉ネギ・ネギ類
口臭の原因になる食べ物の代表といえば、ニンニク・ニラ・玉ネギ・ネギ類でしょう。
これらの食物のニオイのもとになるのが「アリシン」という成分です。
疲労回復や血糖値上昇の抑制効果が期待できる成分ではありますが、強烈なニオイが気になるところです。
ところで、ニンニク自体にはアリシンはそこまで含まれていません。
ですが、刻んだり潰したりしてニンニクの細胞が破壊されると、アリシンが作られてしまい、ニンニク特有のニオイが発生します。
また、ニンニクや生の玉ネギは硫黄を含むため、分解時に発生した硫黄ガスが体内に吸収されて、肺に送られると、臭い息となって排出されます。
卵・乳製品
卵や乳製品も硫黄を多く含有します。
どちらも体に良い成分を多数含みますが、食べ過ぎは口臭の原因にもなるため注意しましょう。
脂っぽい肉類
脂質は体内で分解される際、悪臭を放ちます。
それが血流に乗って肺までいき、口臭の原因になる可能性があります。
口臭が気になるなら、ササミや赤身の多い牛肉など、脂身が少ない肉を選びましょう。
キャベツ・小松菜・ブロッコリー
ニンニクやネギ類以外の野菜はどちらかというと口臭を防ぎそうなイメージがありますが、アブラナ科は別です。
キャベツや小松菜、ブロッコリーといったアブラナ科の野菜に含まれる「インドール」という成分は、食べかすが残っていると口内で発酵し、野菜が腐ったような悪臭を放ちます。
ですが、インドールはがん予防に効果が見込める成分でもあります。
積極的に摂ると同時に、食後は口の中に残った食べかすはしっかり取り除くよう、歯磨きやフロス・歯間ブラシの使用を徹底しましょう。
納豆
納豆の独特なニオイの元はアンモニアです。
大豆に含まれるタンパク質を納豆菌が分解する際にアンモニアが生成されます。
ゴマ油などの油を混ぜるとアンモニア臭が軽減されるので、ぜひお試しください。
砂糖の入ったお菓子
砂糖を多く含む甘いお菓子は、食べると口内の細菌が活発になり、虫歯や歯周病を進行させるため、結果的に口臭の原因になり得ます。
炭酸飲料やエナジードリンクはお菓子よりも砂糖を多く含む場合もあるので、飲み過ぎに注意しましょう。
なお、糖分を摂らないよう徹底し過ぎても口臭の原因になる可能性があります。
糖分が不足すると、代わりに脂質を燃やすことでエネルギーを得ようとするのですが、その際に体内でケトン体が増え、果物が腐ったようなニオイが口臭として発生します。
口臭を防ぐためには、ほどほどの量の砂糖を含む飲食物を選ぶようにして、歯磨きなどのケアをきちんと行いましょう。
口臭ケア・対策に役立つ食べ物
口臭の原因になる食べ物がある一方、口臭ケアや対策になる食べ物もあります。
家にあるものやコンビニで買えるものもあるので、知っておくといざというときに役立ちます。
リンゴ
リンゴはリンゴポリフェノールという成分を含みます。
リンゴポリフェノールは、口の中の細菌が発生させる悪臭ガス「メチルメルカプタン」の生成を抑制するといわれています。
リンゴポリフェノールは皮に多く含まれているので、できれば丸ごとかじりましょう。
よく噛むと、口臭を軽減する唾液の分泌も盛んになるのでおすすめです。
ごぼう・レタス
ごぼうやレタスといった繊維質の多い野菜は、咀嚼することで唾液の分泌が促進されます。
歯の表面も掃除できるので、積極的にサラダなどで摂りましょう。
レモン・梅干し
レモンや梅干しを食べると唾液がたくさん出ます。
そのため、口臭の軽減が期待できます。
実際に食べなくても、画像を見るだけで、酸っぱい記憶が蘇って唾液が出るので、口臭が気になるときは、スマホでレモンや梅干しの画像を見ると改善されるかもしれません。
ちなみに、レモンや梅干しを食べたり見たりすると唾液が出るのは、歯を酸から守ろうとする作用が働くためです。
歯は酸にさらされると溶けてしまいます。
それを避けるために唾液の分泌量を増やしてアルカリ性にしようとするわけです。
パイナップル・キウイ
詳しくは後述しますが、口臭の原因の約6割は舌にできる舌苔(ぜったい)だとされています。
舌苔は食べかすや剥がれ落ちた細胞などから成るタンパク質の汚れです。
パイナップルやキウイはタンパク質を分解する酵素を豊富に含むため、食べると口臭を抑えられる可能性があります。
食後に舌の上で30秒くらいパイナップルやキウイを転がすとよいでしょう。
ですが、酵素は熱に弱いため、加熱処理された缶詰のパイナップルでは効果は期待できません。
チョコレート
チョコレートには虫歯のイメージがある方が多いかもしれませんが、それは糖分が高い場合で、ビターチョコレートなら逆に虫歯を防げる可能性があることがわかっています。
なぜなら、チョコレートが含む「カカオ・ポリフェノール」には、虫歯菌に対する抗菌作用があるからです。
さらに歯周病菌への殺菌作用や歯周病の原因になる歯垢をつきにくくする効果も期待できます。
歯垢は口臭の原因にもなるので、それがつきにくいということは口臭の抑制にもなるわけです。
ガム
ガムは、噛むことで唾液の分泌を促すほか、舌苔の除去効果も期待できます。
ミント味など香りが強いガムなら、口臭を一時的に覆い隠す「マスキング効果」も得られるでしょう。
ただ、糖類0gのものを選ばないと、口の中の細菌の活動を活発化させてしまい、口臭を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
虫歯予防効果で知られるキシリトールが配合されている場合は50%以上の含有量のものを選ぶようにしましょう。
ヨーグルト
腸内環境の乱れによって便秘になると、腸内に有害物質が溜まります。
それが血流に乗って肺に届き、息に混ざると悪臭を放ちます。
ヨーグルトには善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整えることに役立ちます。
口臭の原因になる飲み物
口臭の原因になる飲み物は、ご自身の体験をもとにご存じの方も多いはずです。
口臭の原因となる理由を確認しておきましょう。
コーヒー
コーヒーは以下の3つの理由から口臭の原因になりやすいです。
- カフェインの利尿作用で口内が乾く
- 酸味成分で口の中が酸性になり、細菌が増える
- コーヒー豆の微粒子が舌に残りやすい
朝起きてすぐに目覚めのコーヒーを飲む人がいます。
ですが、起きた直後は、ただでさえ口内が乾燥していて、空腹のため口内が酸性になっている状態です。
そのため、誰にでもある「生理的口臭」が強まっているのですが、そこでコーヒーまで飲んでしまうと、口臭が悪化します。
コーヒーを飲むなら、朝食後の方がよいでしょう。
そして、飲んだ後は口臭対策として水を飲むことをおすすめします。
水分を補い、汚れを落とすことで口臭の改善が期待できるからです。
歯磨きをしてすっきりしようと思う人もいるかもしれませんが、うがいをすることで、かえって口内が乾燥する可能性があります。
お酒
ビールをごくごくと飲むと、水分補給をしている気分になりますが、コーヒーと同様、アルコールには利尿作用があるため、口の中が乾きます。
それにアルコール臭も加わって、飲むほどに口臭はひどくなります。
そのため、水を飲んで本当の水分補給をしながら、お酒を飲むことをおすすめします。
また、お酒を飲む人は歯周病リスクが上がるというデータもあるので、お酒の量はほどほどに、飲んだ後はしっかり歯を磨くようにしましょう。
口臭ケア・対策に役立つ飲み物
口臭は、家に必ずあるものやコンビニで絶対売っている飲み物でケアすることが可能です。
水
水を飲むことは口内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌も促せる簡単な口臭対策です。
朝食前、午前中、午後、歯磨き後の寝る前に、それぞれ300ccほどを目安に飲むようにするとより効果的でしょう。
緑茶
緑茶が含む茶カテキンには殺菌や消臭効果が認められているため、口臭予防にも効くとされています。
ただし、カフェインを含むため、利尿作用で口が乾燥し、交感神経が優位になり唾液の分泌も抑えられてしまうので、飲み過ぎに注意です。
牛乳
ニンニクを含むものを食べた後に牛乳を飲むと口臭を抑えられるとされています。
ニンニクが含む「アリルメルカプタン」といった成分が口内に残ると口臭を引き起こしますが、これを牛乳の乳脂肪分が洗い流してくれます。
持ち運びたい!簡単口臭ケアアイテム
外出先で歯磨きやうがいができないときのために、簡単に口臭ケアができるアイテムを持ち運びたいですよね。
そこで、ドラッグストアで手に入る人気の口臭ケア商品を紹介します。
マウスウォッシュ
口臭ケア商品として必ず挙がるマウスウォッシュ(洗口液)ですが、いろいろなタイプがあります。
口臭予防におすすめなのは、塩化セチルピリジニウム(CPC)といった口臭の原因を作る細菌を殺菌する薬用成分が配合された、成分評価の高い医薬部外品です。
ほかにも、病的口臭の原因になる虫歯や歯周病の予防効果が期待できる成分が配合されたものを選ぶとより良いでしょう。
なお、アルコールが配合されている商品は口内炎がある方にとっては刺激が強いので避けることをおすすめします。
さらに、使い過ぎるとアルコールのせいで口内が乾燥し、口臭の原因になるので気をつけましょう。
マウスウォッシュは歯磨き粉の代わりに使うデンタルリンスとは異なる商品です。
歯磨きをした後に使うものなので勘違いしないようにしましょう。
持ち運びに便利な100mlほどのコンパクトな商品や、小分けの使い切りタイプもあるので、外出が多く、人と会う機会も多い人にとっては便利です。
【香りでニオイを上書き】タブレット・サプリ
口臭を抑えるタブレットにも、さまざまなものがあります。
コンビニのお菓子売り場に売られているようなタブレットは、気になるニオイを強い香りで上書きする「マスキング効果」を狙ったものです。
消臭力があるわけではなく、効果が持続するわけでもありません。
飲み込むタイプの口臭サプリもありますが、こちらもニンニクやお酒による口臭を一時的に防ぐ効果になります。
【根本的な原因をケア】乳酸菌配合のサプリ
一時しのぎの対策ではなく、継続的に摂取して、口臭が発生するそもそもの原因となる「細菌(悪玉菌)」を抑制するタイプもあります。
それは、WB21といった乳酸菌を配合している口臭サプリです。
善玉菌である生きた乳酸菌を摂取することで、口内に留まって悪玉菌の割合を減らし、口内環境が整います。
そうすることで、口臭の原因となる悪玉菌の増殖をケアすることが可能です。
インターネット限定で購入できる商品もあるので、調べてみることをおすすめします。
口臭の原因の6割は舌にある!
口臭の原因はさまざまですが、その87%は口腔内にあるといわれています。
そして、6割は舌にあることがわかっているのです。
舌に由来する口臭は「舌苔(ぜったい)」が原因です。
舌苔とはどういうものなのか見ていきましょう。
口臭の原因になる舌苔とは
舌苔(ぜったい)は、舌の表面の凹凸に以下のようなものが溜まることで形成されます。
- 食べかす
- 口内の皮膚細胞が剥がれてできた垢
- 細菌
- 唾液成分
舌苔が舌に付くと、通常の淡い赤色ではなく、白や黄色の苔が舌に生えたようになるのが特徴です。
舌苔はたんぱく質でできているので、それをエサとする細菌が集まります。
この細菌が、たんぱく質を分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)という物質を生成します。
これが口臭の主な原因です。
揮発性硫黄化合物には、
- 硫化水素(卵が腐ったようなニオイ)
- メチルメルカプタン(野菜が腐ったような生臭いニオイ)
- ジメチルサルファイド(生ごみ臭)
このような成分が該当します。
硫化水素よりもメチルメルカプタンの方が臭気が強いです。
舌苔がつきやすい人の特徴
舌苔がつきやすい人は以下に当てはまる可能性が高いです。
- 口呼吸になりがち
- ストレスを溜めやすい
- 暴飲暴食をしがち
口内が乾燥すると、舌苔が乾いて落ちにくくなり、細菌が増殖しやすくなります。
口内が乾燥する原因のひとつに口呼吸があります。
寝てる間に口呼吸をしている人は、朝起きたときの口臭が鼻呼吸の人よりも強いはずです。
また、ストレスを溜めがちな人は、前述の通り、交感神経が優位になるので、唾液の分泌量が減ってしまいます。
すると、舌苔の原因となる、食べかすや細菌を洗い流すことができず、ますます舌苔が厚くなります。
脂っこいものや辛いもの、お酒を好み、暴飲暴食気味で、消化器系にトラブルを起こしている方は黄色い舌苔が付きがちです。
なお、抗生物質を長い期間飲み続ける人は、黒い舌苔が付くようになります。
舌苔が付かないようにするには、生活習慣を見直す必要があります。
普段から鼻呼吸をすることを意識し、ストレス解消を心がけ、暴飲暴食を避けるようにしましょう。
口臭がひどくなり、そのせいでストレスを溜めると、さらに口臭が悪化してしまう悪循環に陥ります。
正しい舌苔の取り方は?舌を綺麗にする方法
口臭対策として、舌苔を厚くしないように舌ケアをすることは有効な方法です。
舌ブラシには種類があります。
- ヘラタイプ
ゴム製のヘラ。
広い範囲の舌苔を落とすことができます。
きれいに掃除しやすいですが、慣れるまで嘔吐反射(おうとはんしゃ)で、えづいてしまうかもしれません。
- ブラシタイプ
やわらかく細い毛が特徴。
舌苔をやさしく掻き出せます。
- ヘラとブラシが一緒になったタイプ
ヘラとブラシのハイブリッド。
両方のメリットを活かして磨けます。
舌ブラシなどで舌苔を除去することも手段のひとつですが、やり方を間違えると、かえって口臭がひどくなります。
では、正しい舌苔の取り方を確認しましょう。
- 鏡を見ながら舌を出します。思いっきり前に出すと、おえっとなる嘔吐反射を防げます。
- 舌苔がある部分の奥に舌ブラシを置きます。
- 軽い力で舌ブラシを手前に引きます。力を入れ過ぎると舌の粘膜や味を感知する味蕾(みらい)を傷つけます。
【注意】手前から奥へ舌ブラシを動かさないようにしましょう。舌苔に含まれる細菌が喉奥に入り込んでしまいます。
磨き方はこのように難しくありません。
また、舌磨きは朝だけで十分です。
口臭を防ぐためにも習慣にしましょう。
舌の磨き過ぎはダメ
白い部分を完全になくすのは難しいです。
舌苔を無理に取り切ろうとすると、舌がヒリヒリしますが、それは必要な舌の細胞まで削ぎ取っている可能性があります。
舌を傷つけてしまうと、細菌が増える原因になり、また、味を感じる味蕾を傷つけた場合は、味覚が狂ってしまう可能性があります。
舌苔をすべて取ろうとはしないようにしましょう。
舌苔対策にも乳酸菌
舌苔の根本原因も細菌(悪玉菌)です。
舌磨きをしても、ストレスをなかなか減らせず、舌苔が改善しないという方にも、善玉菌を増やして口内環境を整える乳酸菌での対策はおすすめです。
乳酸菌配合のタブレットを歯磨き・舌磨き後に摂取しましょう。
ストレスや緊張も口臭の原因になる
口臭の原因は、食べ物や飲み物、虫歯や歯周病に由来するものばかりではありません。
口臭と密接な関係がある唾液の分泌量を調整しているのは「自律神経」です。
リラックスしているときは副交感神経が優位になり、唾液の量が増えます。
反対に、ストレスがあるときや緊張しているときは、交感神経が優位になり、唾液の量が減ります。
唾液の分泌量が減ると口の中が乾燥するので、口臭の原因となることがあります。
緊張やストレスを軽減するおすすめの方法
緊張やストレスを完全に解消するのはなかなか難しいものです。
しかし、軽減することならある程度できるでしょう。
たとえば、次のようなことです。
- 睡眠をしっかりとる
- ご褒美に甘いものを食べる
- ストレッチをする
睡眠は自律神経を整える最良ともいえる方法です。
睡眠中は口の中が乾きやすいですが、口呼吸になっている場合は鼻呼吸に変えればある程度防げます。
枕が高過ぎると口呼吸になりがちなので、自分に合った枕を選んで快眠できるようにしましょう。
また、甘いものの食べ過ぎは虫歯の原因にもなりますが、ちょっとしたご褒美程度なら、幸せホルモンのセロトニンが分泌されるので、ストレスから少々解放されるでしょう。
座ったまま両腕を上げて伸びるようなストレッチをするだけでも、緊張でこわばった体がリラックスします。
あわせて、唾液を分泌する口の体操もするのがおすすめです。
【口の体操】
視線は上へ。舌を下へ思い切り出す。
上唇をさわるように舌先を上げたら、順番に口角をさわるように舌を右へ左へゆっくりと動かします。これを何回か繰り返します。
簡単な体操なので、仕事中に緊張したりストレスがたまったりで口の中が乾いてしまったら、トイレに行って心を落ち着かせがてら、思いっきり口の体操をしましょう。
まとめ
口臭は人に相談しにくい悩みです。だからこそ、自分でできる対策を知っておきたいところです。
口臭をケアする方法にはいろいろありますが、朝起きたときの口臭や舌苔による口臭を抑制するための最も有効な方法は口内の唾液が不足しないようにすることです。
口内が乾燥しないようにし、唾液の分泌量を増やすような習慣を身につけることが大切です。
その上で、口内の細菌を抑制するために乳酸菌といった善玉菌を増やすようにしたり、舌ブラシなどの口臭ケア用品を使って舌苔を取ったりすることも取り入れていきましょう。
食べ物などによる一時的な口臭を抑える対処法も知っておいて、口臭の悩みを減らしておくとより安心ですね。