満面の笑みにこぼれる白い歯はとても魅力的です。
しかし、コーヒーを飲んだりタバコを吸ったりといった生活習慣が原因で、歯が黄ばんでしまうことがあります。
しかも歯が黄ばむのは着色汚れだけが原因とは限りません。
このページでは歯が黄ばんでしまう原因や取り方、予防対策をまとめます。
歯が黄ばむ原因【内因性】
歯の黄ばみの原因は内因性と外因性の2種類に大別されます。
まずは、歯の内部が何らかの原因で黄ばんでいて、それが透けて見えることで起こる内因性の黄ばみについて見てみましょう。
遺伝・生まれつきの色
歯が黄ばむ原因のひとつは遺伝の影響です。
そもそも日本人の歯は真っ白ではなく、クリーム色に近い色味なので、生まれつき黄ばんで見えがちなのです。
歯は黄色い象牙質と、その周りを覆う白いエナメル質とで構成されており、エナメル質が厚いと白く、薄いと象牙質が透けて黄ばんで見えます。
欧米人と比べて日本人はエナメル質が薄いため、黄色がかった色味になるのです。
加齢
歯は加齢によっても黄ばみます。
これは歳と共に歯の表面を覆うエナメル質が磨り減って薄くなり、内側の黄色い象牙質が透けて見えやすくなるためです。
歯が黄ばむ原因【外因性】
歯の黄ばみには歯の表面についた着色成分が原因で起こる外因性の黄ばみもあります。
外因性の黄ばみが引き起こされる原因を見ていきましょう。
飲食物による着色汚れ
コーヒーや紅茶に含まれる成分や着色料によって歯が黄ばむことは珍しくありません。
飲食物による着色汚れを引き起こす主な成分としてはポリフェノールが挙げられます。
植物に多く含まれているポリフェノールには抗酸化作用があり、生活習慣病の予防にも効果的です。
しかし、タンパク質を主成分とし、歯のエナメル質を覆うペリクルという成分と結びつくと、ステインと呼ばれる着色汚れになってしまいます。
ポリフェノールは次のようなものに含まれています。
※カッコ内はポリフェノール成分の名称です。
- コーヒー(クロロゲン酸など)
- チョコレート(カカオポリフェノール)
- 緑茶(カテキン)
- 紅茶(テアフラビン類・テアルビジンなど)
- 赤ワイン(アントシアニンなど)
- カレー(クルクミン)
タバコによる着色汚れ
タバコによる着色汚れも歯が黄ばむ原因になります。
ペリクルは、タバコのタール(ヤニ)とも結びつきやすいため、喫煙によってヤニ汚れが歯についてしまうのです。
付着直後であれば歯磨きで落とすことができますが、半日〜1日ほど放置すると歯にこびりついてしまうため、簡単に落とすことは難しくなります。
磨き残しによる歯の黄ばみ
汚れが残るような不十分な歯磨きは、歯が黄ばむ原因になります。
磨き残しがあると歯が黄ばむメカニズムについて見ていきましょう。
磨き残した歯垢が歯石になり付着
せっかく歯を磨いても、磨き残しがあると歯についた食べかすをエサに細菌が増殖してしまいます。
この細菌が塊になったものを歯垢(プラーク)といい、歯垢が唾液に含まれるカルシウムやリンなどの無機質や細菌の働きによって石灰化したものを歯石といいます。
歯石は色がつく場合があるため、歯が黄ばんで見えるのは歯石が原因かもしれません。
また、食事のたびに歯面のエナメル質が溶ける脱灰(だっかい)という現象が起こりますが、唾液の再石灰化により修復されるため、歯の健康を脅かすことはありません。
しかし、歯垢が残った状態では再石灰化は十分に行われず、エナメル質が溶けて黄ばんで見える原因となってしまいます。
虫歯の進行
虫歯菌は、食べ物に含まれる糖分をエサにして歯垢を作り出し、歯垢に棲みつきながら数を増やして、酸を産生します。
この酸が歯を溶かすと虫歯になるのです。
そのため、きちんと歯磨きをせず、食べ物や歯垢が残っている状態にすると虫歯の原因になります。
虫歯が進行すると歯が黄ばんでいき、悪化すれば茶色くなったり黒くなったりすることもあるのです。
また、銀歯などが劣化してイオンが溶け出すことで、歯の黄ばみや黒ずみを引き起こすケースもあります。
虫歯が悪化すると神経を抜く根管治療が必要となりますが、神経がなくなると新陳代謝が起きなくなり、歯が黄ばんだり黒ずんだりしてしまいます。
虫歯予防は黄ばみ予防にもなるため、歯磨きを怠らず、常に口腔内を綺麗に保つよう心がけましょう。
自宅で可能な歯の黄ばみを取る方法(市販品を含む)
黄ばんだ歯を白くするにはどのような方法があるのでしょうか。
市販品を使って自宅でできる、歯の黄ばみの取り方について見ていきましょう。
着色汚れを落とせる歯磨き粉で磨く
黄ばみは、自宅のセルフケアで落としやすい着色汚れです。
着色汚れなら、ある程度は歯磨き粉で落とせます。
歯の表面に付いたステインを落とす作用のあるポリリン酸ナトリウムを含む商品や清掃剤が入った商品でブラッシングすると効率的に落とせるでしょう。
最近では、市販品として歯を白くすると銘打つホワイトニング歯磨き粉も数多く販売されています。
しかし、日本国内の市販品は、歯の汚れを漂白するホワイトニング成分ではなく、ブラッシングを伴って汚れを落とすことで黄ばみを取る歯磨き粉になります。
歯のマニキュアを塗る
マニキュアといえば爪に塗るものですが、最近では歯のマニキュアも販売されています。
材料は爪用のマニキュアとは異なり、歯の詰め物に使う材料がベースとなっていて、口腔内でも安心して使えます。
使い方は簡単で、歯を磨いた後、水分を拭き取ってからマニキュアを塗布するだけです。
簡単に使えて即効性もあるマニキュアですが、剥がれやすく、それほど長持ちしないというデメリットがあります。
歯の消しゴムをかける
気になる箇所の黄ばみをピンポイントでケアしたいなら、歯の消しゴムが便利です。
歯の水分を拭き取って黄ばんでいるところに消しゴムをかけるだけなので、写真撮影の前などにぴったりです。
しかし、歯の消しゴムはシリコンゴムと研磨剤でできた、汚れを削って歯を白くするアイテムです。
強くこすれば歯の表面に傷が入ってしまうため、力の入れすぎに注意しましょう。
効果も人によって差があります。
ホームホワイトニングを受ける
市販品を使用する以外では、歯科医の指導のもと自宅で黄ばみ取りをする「ホームホワイトニング」という方法もあります。
最初に歯科医院で歯型をとり、マウスピースを作製してもらいます。
1週間程度で完成したマウスピースに、自宅でホワイトニングジェルを塗布し、毎日最大2時間ほど口にはめます。
自宅とはいえ医師の指導のもと行うので、市販品には配合できない「過酸化尿素」という漂白効果が期待できる成分が入ったジェルを使用できます。
この点がホームホワイトニングの大きなメリットです。
ただ、周囲の人が気づくほどの効果を実感できるようになるまでは2ヶ月程度かかるといわれていますので、気になる方は、早めにはじめる必要があります。
市販品に比べれば費用は高額になりますが、効果の違いは大きいです。
時間やお金がかかってもきちんと黄ばみを取り除きたい人は試してみましょう。
歯の黄ばみを予防するおすすめ対策
歯の黄ばみを防ぐには、汚れをつけないことが大切です。
黄ばみ予防におすすめの対策を見ていきましょう。
研磨剤不使用の歯磨き粉で隅々まで磨く
歯磨き粉の中には研磨剤入りの商品もありますが、着色汚れを落としやすい反面、歯の表面を強くこすることになります。
そのため歯を傷つけやすく、再着色しやすくなるばかりか、知覚過敏などの原因になることもあります。
そのため、研磨剤不使用で、清掃剤を配合しているような歯磨き粉がおすすめです。
清掃剤を使った歯磨き粉で隅々までブラッシングすることで、歯の表面を傷つけることなく、ステインや歯垢を落とす効果が期待できます。
中には、生きた乳酸菌を清掃剤として配合している商品もあります。
再石灰化を促す作用があるフッ素も配合した歯磨き粉なら、エナメル質を保護できるため、より歯が黄ばむのを防ぐことができるでしょう。
歯磨き粉には、ホワイトニングのほか口臭予防にもなる商品もあり、口臭対策に有効な薬用成分が配合された医薬部外品もあります。
いくつか試してみて実際の使用感などを確認して、自分に合ったものを選びましょう。
歯間ブラシで歯と歯の間も磨く
丁寧に歯磨きをしても歯の隙間に汚れや歯石の原因になる歯垢が残ってしまう場合もあります。
歯ブラシだけで落とせる歯垢は約6割※1ともいわれています。
歯磨きの後は歯間ブラシで歯と歯の間を磨きましょう。
歯間ブラシは歯間距離によって使い分けられるように、SSS・SS・S・Mの4種類に分かれているものが多いです。
最小サイズでも入らないようならデンタルフロスを使います。
サイズ選びに迷ったら歯科医院で相談してみましょう。
※1 日本歯科保存学雑誌,48,722(2005)
綿棒で歯の表面を磨く
歯の表面に付着した着色汚れを落とすには、歯ブラシだけでなく綿棒も使うことをおすすめします。
乾いたままの綿棒に歯磨き粉をつけて、歯の表面を縦方向に磨いていきましょう。
大事なのは表面を滑らせるように優しく磨くことです。
色が気になるからといって、何度も同じところをこすると、表面に傷が入ってしまうことがあります。
研磨剤入りの歯磨き粉も歯を傷つけるリスクがあるため使用は避けましょう。
着色しやすいものを摂ったら口をゆすぐ
歯の着色を避けるには、着色しやすいものを食べたり飲んだりしないことが本来は1番です。
しかし、好きなものをまったく食べない、飲まないのはストレスが溜まるものです。
そのため、歯に色が付く可能性のあるカレーを食べたり、紅茶を飲んだりしたときに、歯磨きできないなら水で口をゆすぐようにして、ステインの付着を抑えましょう。
唾液の分泌を促す
歯の着色を防ぐには、唾液の分泌を促進させることも大切です。
唾液には食べかすを洗い流し、細菌の増殖を防ぐ働きがあり、口腔内を清潔に保ってくれます。
食後に口をゆすぐことができない場合は、ガムを噛むだけでも唾液が分泌されるので効果が見込めます。
また、噛み応えのあるものを食べると、咀嚼回数が増えて、唾液の分泌量が増加するのでおすすめです。
また、耳下腺・顎下腺・絶下線といった唾液腺をマッサージすることで、唾液の分泌を促すことができます。
水分不足は唾液の分泌量の減少にもつながるため、こまめに水分を摂ることも大切です。
おすすめできない歯の黄ばみ取り
歯を白くするさまざまな方法が口コミで広まっていますが、中にはやってはいけないものもあります。
逆効果になりかねない歯の黄ばみ取り方法を見ていきましょう。
重曹で磨く
歯を重曹で磨くと白くなるという話をよく耳にします。
しかし、重曹を使うと汚れだけでなく、歯の表面も削られてしまいます。
歯が傷つくと歯垢が溜まりやすくなるので、逆に黄ばみの原因になることも考えられるのです。
歯磨き粉に重曹を混ぜて磨いたり、重曹を歯に塗ってからアルミホイルでパックしたりする方法が紹介されていることもありますが、どちらも歯に良いとはいえません。
塩で磨く
歯を塩で磨くのも推奨しません。
確かに昔は塩で歯磨きをしていました。
しかし、現代では歯の健康をケアする成分が配合された歯磨き粉が数多く販売されています。
そのため、今はあえて塩だけで磨くメリットはありません。
それどころか、塩の硬い粒が歯の表面を傷つけて黄ばみの原因になる可能性もあります。
塩だけで磨くのはやめた方がいいでしょう。
強い酸で磨く
歯を強い酸で磨くと白くなるといわれていますが、それは歯のエナメル質が汚れごと酸に溶けるからです。
一時的に白くなったように感じても、虫歯が悪化したり知覚過敏を引き起こしたりと、歯の健康を損ねてしまうため、酸を使うのはやめましょう。
お酢は体にいいといいますが、強い酸性の食べ物を長時間口の中に含んでいると、酸によって歯が溶ける酸蝕歯(さんしょくし)になってしまいます。
酸性のものを食べた際もすぐに口をゆすぐなどして、歯に酸がついたままにならないように気をつけましょう。
台所用メラミンスポンジで磨く
湯飲みの茶渋を落とせる台所用メラミンスポンジなら、歯の黄ばみ取りもできるのではと考えてしまいます。
しかし、メラミンスポンジは表面を削って汚れを落とすアイテムなので、歯に使うと表面のエナメル質まで削られてしまいます。
歯の黄ばみ取りに使うのはやめましょう。
歯科医院での歯の黄ばみの取り方
本格的に黄ばみを取って白い歯を目指したいなら、歯科医院で施術を受けることをおすすめします。
クリーニング
歯科医院では専門家によるクリーニングも受けることができます。
国家資格のある医療従事者が専用の機材を使って施術するため、1度で着色汚れを除去することが可能です。
歯周病を引き起こす歯石除去もしてくれるので、歯周病予防も期待できます。
オフィスホワイトニング
自宅で可能な歯の黄ばみ取りとしてホームホワイトニングをご紹介しましたが、歯科医院で行うオフィスホワイトニングという方法もあります。
ホームホワイトニングで使う過酸化尿素よりも漂白力が強い、過酸化水素入りのホワイトニング剤を塗布し、照射機で光を当てます。
30分から1時間程度で終わるため、時間が取れない人に特におすすめです。
デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングとは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを並行して行う施術法です。
あわせて行うことで、より早くホワイトニング効果を実感できるようになり、ホームホワイトニングよりも白い歯にできる可能性もあります。
少しでも早い歯の黄ばみ取り、より白い歯を望む人におすすめです。
セラミック治療という手もある
薬や病気が原因で歯が変色している場合は、セラミック治療という手もあります。
歯に近い自然な白さを持つセラミックを歯に被せたり、付け爪のような薄いセラミックを歯の表面に貼り付けたりして白く見せる方法です。
まとめ
飲食物による汚れや歯垢、タバコのヤニなどを放置することは、歯を黄ばませる原因になります。
飲食をしたりタバコを吸ったりした後は、なるべくすぐに歯を磨いて汚れを取り除くようにしましょう。
歯磨きが難しい時はガムを噛むなどして唾液の分泌を促すのがおすすめです。
ついてしまった歯の黄ばみ取りの方法はいろいろありますが、ネットなどでは歯を傷つけてしまう方法が紹介されていることもあるので注意が必要です。
歯の黄ばみ取りは自宅でも歯科医院でもできるので、自分の歯の状態に合った方法を選んで、正しくケアしましょう。