近年、口内環境ケアへの関心が高まっていることから、口臭を気にする人が増えています。
エチケットとしてはもちろん、歯周病や身体の病気が関わっている可能性もあるので、口臭が気になっているなら、いち早く対応したほうが良いでしょう。
この記事では、口臭のセルフチェック方法から、気になるニオイの原因や効果的な対策方法について紹介していきます。
マスク生活で自分の口臭が気になり始めたという人は、ぜひチェックしてみてください。
1.【セルフチェック】自分の口臭を確認する6つの方法
まずは、自分自身で口臭を確認するための方法を6つの項目で紹介します。
なお、「唾液チェック」はできるだけ同じ条件・タイミングで行うことが重要です。
前提条件がずれてしまうと、その時々によってニオイが変わってしまうからです。
おすすめは「起床後の歯を磨く前」のタイミング。
このタイミングであれば、他の条件に左右されずに唾液のニオイを確認することができるでしょう。
1-1.唾液のニオイを嗅ぐ
口臭がある人は唾液自体にニオイがあることが多いです。
手を清潔にしたあとに、指で歯や歯ぐきの間、舌の上などを触ってみてください。
その後、指についた唾液のニオイをチェックし、臭うようであれば口臭がある可能性が高いでしょう。
1-2.舌の色・状態を確認する
舌の色・状態を確認して、白〜黄色っぽいコケのようなものがついていたら口臭がある可能性が高いです。
このコケのようなものは「舌苔」と呼ばれ、口内の食べカスや粘膜、細菌、などで構成されており、堆積することで口臭の原因になります。
歯磨きの習慣が少ない人、ストレスの溜まっている人、口呼吸の人などは舌苔が溜まりやすい傾向があります。
1-3.ビニール袋やコップに息を吹き込む
自分の口臭が知りたいなら、ビニール袋やコップに息を吹き込んで一旦閉じたあとに、ニオイを嗅いでみましょう。
もし不快なニオイを感じたら、それは口臭の可能性が高いです。
なるべく正確にニオイをチェックするためにも、使用するビニール袋やコップは清潔で無臭のものを使ってください。
1-4.デンタルフロスのニオイを嗅ぐ
使用後のデンタルフロスが臭うようであれば口臭の可能性が高いです。
普段からデンタルフロスを使っているのであれば、簡単にチェックできる方法なので一度試してみることをおすすめします。
1-5.市販の口臭チェッカーを使用する
客観的にニオイの度合いを知りたい場合は、市販の口臭チェッカーを利用するという方法があります。
口臭チェッカーは、息を吹き込むことで口臭の原因物質である「揮発性硫黄化合物」を測定し、ニオイの度合いを数値化・表示してくれます。
家電量販店やドラッグストアで購入できるので、自分の口臭をチェックしたい人は試してみると良いでしょう。
2.口臭の80%以上は口の中に原因がある
口臭を引き起こす要因はさまざまですが、実は80%以上が口の中に原因があると考えられます。
内臓の病気、鼻や喉の疾患が関わっていることもありますが、割合としては少なく他に症状がないのなら、基本的には口自体からのニオイと考えて良いでしょう。
そもそも人間の口内にはたくさんのニオイ物質が存在しており、その中でも「揮発性硫黄化合物」の濃度が高まると口臭を感じやすくなります。
揮発性硫黄化合物に分類される主な成分は「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の3つであり、それぞれが強烈なニオイをもっているのです。
硫化水素 | 腐った卵のニオイ |
メチルメルカプタン | 腐った魚・腐った野菜のニオイ |
ジメチルサルファイド | 生ごみのニオイ |
これらの揮発性硫黄化合物を作り出しているのは、口内に存在する悪玉菌である嫌気性菌(生育に酸素を必要としない菌)です。
嫌気性菌が口の中のタンパク質を分解・腐敗させることで、揮発性硫黄化合物であるニオイの元が発生します。
とくに嫌気性菌は以下の場所で増殖しやすく、これらの部位に汚れが溜まることで、口臭がより強くなるのです。
- 歯垢(プラーク)
- 虫歯
- 歯周ポケット
- 舌苔
- 唾液が少ない口腔粘膜
中でも、虫歯や歯周病で広がった歯周ポケットのエリアは嫌気性菌の密度が高く、そのため虫歯の人や、歯周病のある人の口臭は臭くなりやすいといえます。
また、緊張やストレスで唾液が少なくなっている口も嫌気性菌が増殖しやすくなります。
そのため、口臭を抑えるには「口の中に善玉菌を増やして清潔に保つこと」と「唾液量を増やすこと」が重要な対策となるでしょう。
3.口臭が臭くなる4つの原因と正しい対処法
続いては、口が臭くなる具体的な原因と正しい対処法について紹介していきます。
自分に当てはまる原因を探して、正しく対処することが「口臭改善」においてとても重要です。
3-1.生理的要因
口の中はどんな人であっても、ある程度ニオイがあるものです。
とくに、唾液の分泌量が減ってしまうと細菌が増えやすくなり、それに伴ってニオイの原因物質である揮発性硫黄化合物が発生し、結果として口内が臭くなってしまいます。
唾液量が減る理由としては、以下の生理的要因が挙げられます。
- 起床時
- 空腹時
- ダイエット時
- 緊張時
- ホルモンの変動
起床時や空腹時に、何となく口のニオイが気になったという経験は誰にでもあるでしょう。
また、女性の場合は妊娠期や生理の時期など、ホルモンバランスが大きく変動するときに唾液量が減るため、口臭が強くなることがあります。
これらの生理的要因は病気ではないため、病院での治療はとくに必要ありません。
代わりに、「唾液量を増やす」ことが効果的な対策方法となります。
噛む回数を増やす、唾液量を減らす嗜好品を摂らない、こまめな水分摂取などが唾液量を増やすのに有効です。
3-2.外因性要因
食事などの外因性要因によって、一時的に口臭がきつくなることがあります。
ネギやニンニクといった香りの強い食材を摂ったあとは口が臭くなりますが、食事による口臭は時間経過とともに解消されます。
どうしてもニオイが気になる場合は、歯磨き、デンタルフロス、デンタルリンスでケアすると良いでしょう。
3-3.病的要因
病的要因によっても口臭が発生することがあります。
主な病的要因は口の中のものとそれ以外に分けられ、それぞれ適切な処置をすることで口臭の改善が期待できます。
歯周病や虫歯といった口の中の病的要因は、口腔内の細菌を増やし口臭を発生させます。
ほとんどの口臭は口の中の病的要因・トラブルが関わっていることが多いです。
虫歯 | 虫歯の穴に溜まった食べかすが発酵して口臭の原因になる。 悪化した虫歯は歯の神経が死んで強烈なニオイを発する。 |
歯周病 | 食べかすや剥がれ落ちた粘膜などを嫌気性菌が分解することで揮発性硫黄化合物が発生する。 進行すると膿の混じったようなニオイがする。 |
歯垢(プラーク) | 歯垢は、歯についた細菌が繁殖したもの。 細菌が揮発性硫黄化合物を発するため強いニオイがする。 |
歯石 | 歯石は、歯に付着した「歯垢」が、唾液に含まれるカルシウムやリン酸と結合して石灰化したもの。 歯垢に含まれる細菌が揮発性硫黄化合物を発するため、強いニオイを生じる。 放置すると歯周病の原因となる。 |
舌苔(ぜったい) | 舌苔は舌についた細菌の塊や食べかすなどが含まれたもの。 嫌気性菌に分解されることで、ニオイの原因物質である揮発性硫黄化合物を発する。 |
歯垢が少しある程度であれば、毎日のケアを丁寧に行うことで改善する可能性があります。しかし、口内のトラブルは進行が早いため、口臭が気になるようであれば、一度歯医者で診てもらった方が良いでしょう。
とくに虫歯や歯周病は専門医による治療が必要です。
また、歯の被せ物や詰め物の接合部は歯垢(プラーク)が溜まりやすいので、歯科で正しいブラッシング指導を受けるのもおすすめです。
口の中の病的要因を取り除いたあとは、再び口臭が発生しないよう毎日のセルフケアを欠かさないようにしましょう。
まれではありますが、口以外の病気が原因で口臭が発生することがあります。
糖尿病 | アセトン臭(りんごが腐ったようなニオイ) |
肝疾患(肝硬変や肝臓ガンなど) | アンモニア臭 |
鼻疾患(副鼻腔炎・咽頭膿瘍など) | タンパク質の壊疽(えそ)臭 |
腎疾患(腎不全・トリメチルアミン尿症など) | 魚臭・アンモニア臭 |
全身疾患の場合、口の中の病的要因とは異なる独自のニオイがすることが多いです。
口臭の他にも気になる症状があるのなら、必要に応じて専門医へ相談することをおすすめします。
3-4.心因性要因
生理的要因や病的要因、食事といった原因が見当たらないにも関わらず、口臭が気になって仕方がない場合、心因性要因が考えられます。
このケースは、実際には口臭がないのに、本人だけが口のニオイを気にしている場合が多いです。
原因がわからないのにどうしても口臭が気になるのなら、まずは歯科医院で口臭の有無を検査してもらいましょう。
それでも改善されない場合は、心療内科や専門の医療機関で相談してみることをおすすめします。
4.【口臭対策】毎日の正しいセルフケア
口臭対策には、自分で行う毎日のケアが重要です。
ここでは、口のニオイが気になる人におすすめのセルフケア方法を紹介していきます。
4-1.舌専用ブラシで舌苔を落とす
舌苔は口臭の主な原因のひとつですが、セルフケアで落とすことが可能です。
ドラッグストアなどで売っている「舌専用ブラシ」で、付着した舌苔を取り除くことをおすすめします。
歯磨き時に舌をチェックし、白っぽい汚れが付いていたらブラシでケアしてあげることを心がけましょう。
- 水や舌専用ジェルで舌を湿らせておく
- 鏡を見ながら舌をできるだけ突き出し、舌表面についた汚れをチェックする
- 濡らした舌ブラシで、舌の奥から手前へ向けて優しく磨く
- 最後にうがいをして、口内に残った汚れを流す
舌は非常に繊細なので、力を入れすぎないよう優しくブラッシングするのがコツです。
また、何度もブラッシングする必要なく1日に1回で十分です。
オススメのタイミングは、雑菌が増殖している起床後の歯磨き前に行うとよいでしょう。
4-2.歯磨きで歯の表面の汚れを落とす
食べかすや歯垢が歯に付着していると、口臭の原因物質が発生しやすくなります。
口臭を抑えるには、毎日の歯磨きでしっかり汚れを落とすことが重要です。
- 歯ブラシは、細かなところまで届きやすいヘッドの小さなものを使う
- 軽い力で歯ブラシを持ち、1本1本を20秒程度かけながら小刻みに磨いていく
- 全体を磨いたあと、歯垢がつきやすい歯が重なった部分や歯ぐきの境目を丁寧に磨く
- 歯磨きは1日3回、できれば毎食後行う
上記のポイントを押さえたうえで、毎日のブラッシングケアに取り組みましょう。
歯の表面の汚れをこまめに落としていれば、歯垢が堆積することなく歯石や歯周病の予防にもつながります。
4-3.フロスで歯垢を落とす
ブラッシングだけでは歯垢を十分に落とすことができません。
ブラシで歯を磨いた後は、必ずフロスで歯と歯の間のケアをすることをおすすめします。
- フロスは40cmほどの長さでカットし、左右の中指に2~3回ずつ巻き付け、間隔が10~15cmになるように持つ
- フロスをピンと張った状態になるよう支え、歯と歯の間にフロスを入れる
- 歯の表面に沿わせるようにフロスを前後にゆっくり動かす
- フロスの使用部分をずらし、隣の歯をケアする
歯ぐきを傷つけないよう、1本ずつゆっくり丁寧にフロスを通しましょう。
5.【口臭対策】唾液量を増やす習慣
口臭対策のもうひとつの柱として、口内の唾液量を増やすことが有効です。
ここでは、自分でできる唾液量を増やすための習慣を紹介していきます。
口の渇きや口臭が気になる、という人はぜひ試してみてください。
5-1.唾液腺マッサージをする
唾液腺をマッサージによって刺激すれば、唾液量を増やすことができます。
おすすめの唾液腺マッサージは以下の通りです。
両手の親指で顎の真下から上に10回程度押す。
このとき、舌の裏を上部に押し上げるように意識しましょう。
耳の下から顎までのラインを、5箇所くらいに分けて親指で押す。
耳たぶの下、奥歯のあたりを、円を描くように4本の指でマッサージする。
くるくると頬を回すように、10回程度行うと良いでしょう。
口の渇きが気になったとき、あるいは緊張で唾液が出ないときは、ぜひこれらのマッサージを試してみてください。
5-2.鼻呼吸を意識する
口呼吸は口が乾いてしまう一因です。
唾液量を増やしたいなら、普段から鼻呼吸を意識することをおすすめします。
鼻呼吸をすることで口が乾きづらくなり、口内細菌が増殖するのを防ぐことができます。
5-3.よく噛んで食べる
唾液量を増やすには、よく噛んで食べることが大切です。
しっかり咀嚼することで唾液量が増え、口内の乾燥を防ぐことができます。
ガムを噛むのもドライマウス予防におすすめです。
5-4.こまめに水分補給をする
口の渇きが気になるときは、こまめに水分補給をしましょう。
唾液量が少ない人は、体内の水分量も少なくなっている可能性が高いです。
意識的に水分を摂ることで、口腔内も潤うためニオイ予防につながります。
ただし、カフェインの入った飲み物やお酒には利尿作用があるため、飲むとかえって水分が奪われてしまいます。
水分補給には「水」を飲むようにしましょう。
5-5.唾液量を減らす嗜好品をやめる
毎日の嗜好品が唾液量を減らしている可能性もあります。
タバコに含まれるニコチンやタールは、血流を低下させ唾液の分泌にも影響を及ぼします。
そのため喫煙者は口が渇きやすく、口臭もきつくなりがちです。
また、継続的な喫煙は歯周病や脳卒中、心筋梗塞といった深刻な病気を引き起こす可能性もあります。
口臭予防だけでなく、末永く健康でいるためにも喫煙習慣を見直すことが大切です。
6.口臭についてよくある質問
最後に、口臭についてよくある質問にお答えしていきます。
6-1.自分の口臭のニオイが分からないのはなぜですか?
「あの人口臭がキツイけど、気付いてないのかな?」と思ったことはありませんか。
口臭のある人が、自身のニオイに無自覚なパターンは珍しくないものです。
なぜ自分の口臭のニオイは感じにくいのか、それは嗅覚の「順応」が関係しています。
ニオイのある食べ物でも、食べていると気にならなくなるように、鼻は同じニオイを嗅いでいるとそのうち「慣れて」しまいます。
口と鼻は繋がっているので、自分の口臭を常に嗅いでいることになります。
鼻が口のニオイに「順応」するので、自分では自分の口臭が分かりにくいのです。
もし、自分の口臭が気になるのであれば、前述したセルフチェックや口臭チェッカーなどで客観的に確認してみるのがおすすめです。
それでもよく分からない場合は、家族や正直に指摘してくれそうな友人に聞いてみるのもひとつの手です。
6-2.口臭予防に有効な食品や成分はありますか?
口臭予防には、善玉菌である「WB21」のような「生きた乳酸菌」が有効です。
「生きた乳酸菌」を取り込むことで、口臭の原因となる悪玉菌を抑制する効果があります。
悪玉菌が多ければ、口臭の原因となる「揮発性硫黄化合物」も発生しやすくなってしまいます。とくに舌苔が付きやすい、口にねばつきを感じるといった症状のある人は、悪玉菌が増えている口内環境である可能性が高いです。
歯磨きやフロスなどの毎日のセルフケアはもちろん、ぜひ「WB21」などの「生きた乳酸菌」の補給を口内ケアのひとつとして取り入れることをおすすめします。
6-3.口臭対策にデンタルリンスやマウスウォッシュは有効ですか?
デンタルリンス(液体歯磨)やマウスウォッシュ(洗口液)は、口の中を爽快にして口臭を防ぐ効果が期待できます。
しかし、デンタルリンスやマウスウォッシュは殺菌力が強く、使いすぎると口臭予防に有効な「善玉菌」まで減らしてしまう可能性があります。
そのため、デンタルリンスやマウスウォッシュは、必要なときだけにとどめて、使いすぎないことが大切です。
6-4.口臭がうんち臭いのですが原因はなんですか?
口臭がうんち臭い原因として、第一に考えられるのは「便秘」です。
便秘で排泄物が腸内に長くとどまると、腸内環境が乱れ悪玉菌が増えてしまいます。
悪玉菌が増えると、腸内ではメチルメルカプタン・硫化水素・アンモニアといった臭いニオイの原因となるガスが多く発生します。
体内に溜まったガスは腸壁から吸収、血液を通じて全身に運ばれ「肺」にも到達、そこから呼気として体外に排出されるのです。
ゆえに、便秘状態の人は呼気にガスが混じってしまうため、口臭がうんちのようなニオイになってしまうといわれています。
こうした原因・改善方法については次の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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まとめ
「口臭のニオイ」は、多くの人に共通する悩みです。
もし口臭が気になっているなら、まずはセルフチェックで確かめることをおすすめします。
口臭の多くの原因は、口内環境の悪化に伴う悪玉菌によるものです。
口内環境を整え、悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことが口臭の改善や予防につながります。
こまめな歯磨きやうがい、口の乾燥を防ぐ生活習慣などにプラスして、善玉菌である「WB21」のような「生きた乳酸菌」を取り入れることも有効な対策です。
口臭予防・改善を目指すなら、まずは口内環境を整えることからはじめてみましょう。