陰部(デリケートゾーン)がかゆくて困っていても、人には相談できず、病院に行くほどのことでもなさそうなので、我慢してしまう女性は多いのではないでしょうか。
場所が場所だけにかゆくても掻けず、つらい思いをしている方もいるはずです。
デリケートゾーンのかゆみの原因には膣カンジダが有名ですが、それ以外の病気の可能性も潜んでいます。
今回は、デリケートゾーンのかゆみの主な原因とセルフチェックのポイントをご紹介します。
間違った対処法で症状を悪化させないように、まずはどのような可能性があるのかチェックしてみましょう。
陰部(デリケートゾーン)のかゆみに悩んでいる女性は多い
陰部(デリケートゾーン)のトラブルに悩んでいる女性は少なくありません。
デリケートゾーンの悩みについて女性に尋ねたアンケート調査では、以下のような結果が出ています。
※わかもと製薬アンケート調査:2021年7月実施(n=7958)
「かゆみ」のグラフを見ると、非常に悩んでいる・悩んでいる・少し悩んでいる方が、全体の約4割を占めているのがわかります。
「におい」の次に「かゆみ」に悩んでいる人が多いのです。
※わかもと製薬アンケート調査:2021年7月実施(n=7958)
かゆみの症状に悩んでいる人を年齢層別に見てみると、非常に悩んでいる・悩んでいる・少し悩んでいると答えた割合が高かったのは20代でした。
20歳〜24歳は65.1%、25歳〜29歳は68.5%と、20代女性の約7割がかゆみに悩んでいます。
30代女性および40代前半の女性の約5割がかゆみのトラブルを抱えています。
※わかもと製薬アンケート調査:2021年7月実施(n=3061)※かゆみに悩んでいると答えた方
※上記3つのアンケート調査のパーセンテージは、小数点2位以下を四捨五入しているため合計が100%以上や100%に至らない項目があります。ご了承ください。
こちらのグラフを見ると、デリケートゾーンのかゆみについて悩みが大きい人ほど、根本から対策したいと考えていることがわかります。
それでは、陰部がかゆくなる原因にはどのようなものがあるのか確認していきましょう。
陰部がかゆい!主な原因をセルフチェック
女性器周辺にかゆみを伴う主な疾患の特徴は、以下の通りです。
接触性皮膚炎(かぶれ) | 性器ヘルペス(外陰部ヘルペス) | 尖圭コンジローマ | 外陰膣カンジダ症 | 膣トリコモナス症 | |
女性器周辺かゆみ | かゆみ | かゆみ | かゆみを伴う場合もある | 激しいかゆみ | 激しいかゆみ |
おりもの | 変化なし | 変化なし | 量が増える場合もある | 白い塊が混ざりポロポロとしている | 量が増える・黄色く悪臭を伴う |
女性器周辺の痛み | ヒリヒリとした痛み | 激しい痛み・排尿痛 | 痛みを伴う場合もある | ヒリヒリとした痛み・排尿痛・性交痛 | 排尿痛・性交痛 |
主な原因 | アレルギー・刺激性接触 | 性行為 | 性行為 | 抗菌剤の服用 | 性行為 |
同じようにかゆみが起こる疾患でも、主な原因や具体的な症状は異なります。
それぞれの疾患の具体的な特徴をご紹介するので、セルフチェックしてみましょう。
接触性皮膚炎
「接触性皮膚炎(接触皮膚炎)」は刺激性接触やアレルギーが原因で生じる皮膚炎のことで、一般的に「かぶれ」と呼ばれています。
生理ナプキンや、通気性の悪い下着による蒸れ、石鹸成分などが皮膚への刺激となって、かゆみが起こります。
かゆみのほか、赤み、ブツブツなどが現れ、掻いてしまうと水ぶくれになるのが特徴です。
- 対処法
接触皮膚炎は、原因となっているものを避ける(触れない)こと、デリケートゾーンを清潔に保つこと、掻かないことが大切です。
- ステロイド剤は避ける
症状が軽い場合は、下着かぶれなどに使えるデリケートゾーン用の市販外用薬を使って様子を見てもよいでしょう。
ただ、ステロイド配合の市販薬は注意が必要です。
デリケートゾーンはステロイド成分を吸収しやすく、もしも接触性皮膚炎ではなく感染症だった場合、症状が悪化するリスクがあるからです。
そのため、ステロイド配合の治療薬は医師の診断のもと処方を受けることをおすすめします。
- 改善しない場合は早めに婦人科や皮膚科を受診
上記の対処を行っても症状の改善が見られない場合は、接触性皮膚炎ではない可能性があります。
正しい処置をするために、早めに婦人科や皮膚科を受診しましょう。
性器ヘルペスウイルス感染症(外陰部ヘルペス)
性器ヘルペスウイルス感染症は、主に感染者との性交渉が原因で、性器や口唇が単純ヘルペスウイルスに感染して発症する性感染症です。
女性が発症すると外陰部などに不快感やかゆみが生じます。
後に強い痛みが伴う小さな水ぶくれができ、リンパ節の腫れや発熱、倦怠感などの症状が現れます。
水ぶくれが破れると、強い痛みによって排尿や歩行が困難になるケースもあるので、初期症状が出た時点で病院を受診することが望ましいです。
- 気になる症状があれば皮膚科・婦人科を受診
性器ヘルペスは抗ヘルペス薬による治療を行います。
当てはまる症状があれば、皮膚科もしくは婦人科を受診しましょう。
抗ヘルペス薬は、症状に合わせて点滴や飲み薬、塗り薬から選ばれます。
いずれも市販はされていません。
性器ヘルペスは、免疫力が落ちているときに再発しやすい疾患です。
再発の場合、一般的に初回と比べると気づかない人もいるほど症状は軽くなりますが、気になる場合は病院を受診しましょう。
尖圭コンジローマ
尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒトパピローマウイルスへの感染によって、性器周辺に小さなイボができる性感染症です。
主な原因は感染者との性行為で、感染すると尖っていて硬さのあるイボができ、成長するとカリフラワーや鶏のトサカのような形になります。
イボ以外の自覚症状がないことも多いですが、初期症状として、かゆみや痛み、おりものの増加などが起こる場合もあります。
- 気になる症状があれば婦人科を受診
尖圭コンジローマは放置するとイボが増殖し、治療が長引く場合があります。
また、再発する可能性が高い疾患です。
病院では症状に合わせて、塗り薬での治療や液体窒素・レーザーによる外科的治療を行います。
気になる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。
外陰膣カンジダ症(外陰部カンジダ症、膣カンジダ症)
外陰膣カンジダ症は女性の5人に1人が経験する身近な疾患です。
免疫力の低下やホルモンバランスの変化などによって、膣の中にいる常在菌であるカンジダ菌が異常増殖することで発症します。
外陰部や膣に激しいかゆみが生じ、おりものがカッテージチーズのような白いポロポロとした状態になるのが特徴です。
他にも外陰部や膣のヒリヒリ感や発疹、排尿痛、性交痛などが起こる場合もあります。
- 気になる症状があれば婦人科を受診
膣カンジダ症は抗真菌薬の膣錠などで治療します。
検査で症状の似ている疾患と区別をしたうえで、適切な治療を行う必要があるため、気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。
- 再発なら市販のカンジダ治療薬でケア
過去に外陰膣カンジダ症(外陰部カンジダ症、膣カンジダ症)と診断されたことがある人は、再発の場合、市販されている膣カンジダ用の治療薬(膣錠・塗り薬)を使ってケアすることができます。
膣トリコモナス症
膣トリコモナス症は、膣や子宮の入口周辺に寄生する膣トリコモナス原虫が病原体の性感染症です。
主な感染原因は性行為ですが、浴場やトイレなどでも感染することがあります。
女性が感染すると、おりものの量が増え、色は黄色く、悪臭を放つようになるのが特徴です。
また、陰部の激しいかゆみや痛み、排尿痛、性交渉時の痛みなどが起こる場合があります。
- 気になる症状があれば婦人科・性感染症内科を受診
膣トリコモナスの治療には、飲み薬や膣錠を使います。
再感染を防ぐためにも、感染がわかったらパートナーと一緒に治療を行う必要があります。
気になる症状があれば、婦人科や性感染症内科を受診しましょう。
陰部がかゆくなるその他の原因
ご紹介した疾患以外にも陰部(デリケートゾーン)がかゆくなる原因があります。
かゆみが起こる理由・症状の特徴を確認していきましょう。
陰毛同士の接触で感染・出血あり「ケジラミ症」
ケジラミ症は、吸血性昆虫のケジラミが病原体の性感染症です。
ケジラミは主に陰毛に寄生しますが、肛門周囲の毛、わき毛などの体毛に寄生することもあります。
陰毛の根本あたりに褐色〜白色の虫体や、産み付けられた卵が見えることもあります。
性行為によって感染するケースが多く、感染部に激しいかゆみが生じます。
治療法は寄生部位の剃毛、殺虫剤を含んだ専用シャンプー・パウダーの使用などです。
夜間眠れないほどかゆい「疥癬(かいせん)」
疥癬は、ヒゼンダニが病原体の皮膚疾患です。
肌と肌の接触や寝具の共有などで感染し、夜間になると眠れないほどの激しいかゆみが生じます。
湿疹やしこりが現れることもあります。
頭や首を除く全身に症状が出る可能性があるのも特徴です。
疥癬の症状がある場合は皮膚科を受診し、内服薬や塗り薬で治療を行いましょう。
ほかの人を感染させないように、タオルや寝具を共有・共用しない、長時間肌を触れ合わないなどの対策が必要です。
なお、通常疥癬のほかに、感染力が強い「角化型疥癬(重症型)」もあり、角質が増殖するのが主な特徴です。
この場合、通常の感染対策以外に、シーツを毎日交換する、居室だけではなく寝具やマットもこまめに掃除機をかけるといった対策も必要となります。
エストロゲンの欠乏で起こる「萎縮性膣炎」
萎縮性膣炎は、加齢に伴う卵巣機能の低下や卵巣摘出による、女性ホルモンの一種・エストロゲンの欠乏に起因して萎縮性変化が起こる疾患です。
性器の乾燥や萎縮、かゆみ、熱感、性交痛などの症状が発生します。
黄色く悪臭のするおりものが出たり、不正出血が起こったりする場合もあります。
萎縮性膣炎になると、膣の自浄作用の低下により細菌性膣症を発症しやすくなります。
病院では、女性ホルモンの補充などの治療が行われています。
患部が白っぽく変色「硬化性萎縮性苔癬(こうかせいいしゅくせいたいせん)」
硬化性萎縮性苔癬は原因がよくわかっていない病気です。
陰部に生じると、かゆみを感じることがあります。
陰部の粘膜や皮膚が白っぽく変色するのも特徴です。
硬化性萎縮性苔癬はがん化することもあります。
外用薬の使用により改善を目指しますが、治療が難しい疾患です。
表皮内癌の一種「パジェット病」
表皮内癌の一種であるパジェット病がデリケートゾーンに発生すると、かゆみを感じることがあります。
また、デリケートゾーンに湿疹のようなものができて表面が赤くなっているケースが多いです。
悪化するとかさぶたやしこりができたり、リンパ節などに転移したりする恐れがあります。
かゆみがあると湿疹などと間違えられる場合もあるので注意が必要です。
ストレスなど精神的なもの
皮膚病などがない場合でも、ストレスや自律神経失調症などによって、外陰部症状としてかゆみを感じることがあります。
ストレスが原因の場合は、ストレスを減らすことで改善が目指せます。
規則正しい生活を送って、睡眠もきちんと取り、自分に合ったストレス解消法も見つけましょう。
ほか、性器クラミジア感染症もかゆみが出るケースがあります。
ご紹介した原因以外にも陰部のかゆみの原因はあるので、改善しないかゆみがある場合は病院を受診しましょう。
膣の健康は乳酸菌で守る
人に相談しにくい陰部(デリケートゾーン)の悩み。
その原因は、膣の健康状態にあるかもしれません。
近年は腸内環境だけではなく、膣内環境を乳酸菌で整えるということが知られてきています。
乳酸菌で膣の不調に働きかける
女性特有の不調には、膣の健康状態が関係していることがあります。
膣内は通常、乳酸菌の働きで酸性に保たれています。
しかし、ストレスや加齢などによるエストロゲンの減少など、何らかの原因により膣内の菌のバランスが崩れると、乳酸菌が減少し、膣内の酸性度が弱まります。
そうすると、ほかの細菌が増殖しやすい環境となり、細菌性膣症を引き起こす可能性が高まります。
細菌性膣症になると、おりもののニオイが魚のように生臭くなったり、外陰部にかゆみが生じたりすることが起こるのです。
膣の不調に働きかけるなら、乳酸菌を送り込み、膣内環境を整えるサポートをしてはいかがでしょうか。
女性のデリケートな問題の解決も期待できるでしょう。
乳酸菌で膣内環境を整えるならUREXがおすすめ
膣内環境を整えるなら、UREX※1(ユーレックス)という乳酸菌を摂取するのがおすすめです。
UREXはGR-1とRC-14※2という2種の乳酸菌を含みます。
このように、UREXは生きたまま膣まで届くのが特徴です。
また、UREXを5人、比較対象とする乳酸菌Aを5人それぞれの膣内に投与し、残存率を確認したところ、14日目で乳酸菌Aは膣内からいなくなりましたが、UREXは21日目でも3/5が残りました。
出典:Gardiner et al. Clin. Diagn. Lab. Immunol., 2002; 9: 92-96.
このようにUREXは生きたまま膣に届き、長く膣内に滞在して膣内環境を整えます。
新しい膣内のケアとして注目を集めているUREXを試してみませんか。
※1「UREX」はクリスチャン・ハンセン社の登録商標です。
※2 「GR-1」「RC-14」はクリスチャン・ハンセン社の商標です。
まとめ
陰部(デリケートゾーン)のかゆみは、人に相談しにくい悩みです。
とはいえ、治療をしないと改善しなかったり、原因となっている疾患が悪化したりする場合もあります。
病院に行くのはできれば避けたいと思う方も多いかもしれませんが、医師に相談するのが最善です。
今回ご紹介したセルフチェックを行ってみて、当てはまるものがあった場合は早めに病院を受診しましょう。
皮膚科を受診する場合、抵抗がある方は女性医師のいる病院を選ぶのがおすすめです。
原因の分からないかゆみの悩みを抱えていると、ストレスで症状が余計ひどくなる可能性もあります。
かゆみの原因を知り、的確な治療を受けましょう。
また、日頃から乳酸菌で膣内環境を整えることも、女性ならではの悩みの対策としておすすめです。