生理になると、下腹部痛・腰痛・吐き気・下痢といった体調不良が起こる女性は少なくありません。
生理中に起こる症状は一時的なものであることが多いですが、女性特有の病気が関係している可能性もあるため注意が必要です。
今回は、生理中に起こりやすい症状一覧、生理中のつらい症状の原因・対処・対策、生理痛がひどいときに考えられる病気をまとめて紹介します。
生理中に起こりやすい症状一覧
生理中は、心身にさまざまな不調が起こりやすくなります。
生理中に起こりやすい主な症状は以下の通りです。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 頭痛
- 吐き気
- 下痢
- 貧血
- めまい
- 倦怠感
- 気分の落ち込み
- イライラ
生理中に起こる症状には個人差がありますが、下腹部痛・腰痛・吐き気・下痢といった不調を感じる人が多くいます。
また、生理前から生理中にかけて、イライラ・気分の落ち込みなど精神的な症状が現れることもあり、これは月経周期にともなうホルモンバランスの変化に関係して起こる場合が多いです。
【症状別】生理中のつらい症状の原因と対処・対策
生理中に体調不良を感じたら、原因に合わせた対処・対策をとることが大切です。
ここでは、生理中のつらい症状別に原因と対処・対策を紹介します。
下腹部痛・腰痛・吐き気・下痢
生理中に、下腹部痛・腰痛などの痛みや、吐き気・下痢などの症状が起こるのは、プロスタグランジンという物質が原因です。
プロスタグランジンは、子宮を収縮させて経血の排出を促したり、胃腸を収縮させたりする作用があります。
生理中に、下腹部痛・腰痛・吐き気・下痢の症状があるときは、以下の対処法を試してみましょう。下腹部痛・腰痛
・カイロ・ひざ掛けなどでお腹を温める
・入浴をする
・軽い運動をする
・睡眠不足・疲労などによるストレスを溜めない吐き気
・消化の良いものを食べる下痢
・アルコール・カフェインなど刺激の強いものは避ける
また、生理痛がつらいときは、早めに鎮痛薬(痛み止め)を服用するのも対処法のひとつです。
プロスタグランジンの生成を抑える作用のある、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用すると、生理痛をやわらげる効果が期待できます。
非ステロイド性抗炎症薬としては、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどがあります。
ただし、15歳未満の場合、非ステロイド性抗炎症薬の取り扱いは慎重になるべきです。
また、体質によって服用に注意が必要な場合もあるため、鎮痛薬を選ぶ際は、医師や薬剤師などにも相談しましょう。
頭痛
生理前から生理中にかけて起こる片頭痛は、女性ホルモンのひとつである、卵胞ホルモン(エストロゲン)の減少が原因です。
卵胞ホルモンが減少すると、脳内物質のセロトニンの分泌量が減少します。
セロトニンには血管収縮作用があるため、分泌量が減ることで脳の血管が広がり、片頭痛が起こりやすくなります。
生理にともない頭痛の症状があるときは、以下の対処法を試してみましょう。・頭を冷やす
・痛みのある部分を圧迫する
・入浴・マッサージ・運動などは控える
・暗く静かな場所で安静にする
・カフェインを摂取する
上記を試しても痛みがある場合、無理をせず医師や薬剤師に相談の上、鎮痛剤(痛み止め)を服用するのがおすすめです。
貧血・めまい
生理中の貧血は、経血の排出とともに鉄分が失われることが原因で起こるため、鉄欠乏性貧血とも言われます。
鉄分は、赤血球に含まれるヘモグロビンを作るために必要な成分です。ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割があるため、鉄分が足りなくなることで体の組織・臓器などが酸欠状態になります。
鉄欠乏性貧血になると、めまい・頭痛・動悸・耳鳴り・味覚異常などさまざまな症状が現れます。
生理中の貧血・めまいを防ぐには、意識的に鉄分を摂取することが大切です。
鉄分には、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品・牛乳・卵に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。生理中の貧血・めまいを防ぐには、腸からの吸収率が高いヘム鉄を積極的に摂取しましょう。非ヘム鉄はヘム鉄よりも腸からの吸収率が低いですが、ビタミンC・動物性たんぱく質・クエン酸などの果実酸と一緒に摂ると吸収率が上がります。
日頃から栄養バランスの良い食生活を心がけ、生理中は積極的に鉄分を摂取しましょう。
ただし、鉄分摂取に鉄剤やサプリメントを利用する場合、鉄分の過剰摂取に注意してください。
鉄分の過剰摂取は体に悪影響を及ぼします。
生理痛がひどいときは病気の可能性も
日常生活に支障があるほど生理痛がひどい場合、月経困難症かもしれません。
一度、病院を受診してみましょう。
医師の判断により治療薬を処方してもらえる場合があります。
また、病気がひそんでいる可能性もあります。
ここでは、生理痛が強くなる代表的な病気について紹介します。
※ここで挙げる病気がすべてではありません。また、痛みの強さ・症状には個人差があります。気になる症状があるときは早めに婦人科・産婦人科で受診するようにしましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のことです。
子宮筋腫の種類は大きく3つに分けられます。
【粘膜下筋腫】
子宮の内側にできる筋腫。
経血量が多くなるため、月経過多による貧血や不妊症の原因になることがあります。
【筋層内筋腫】
筋層内にできる筋腫。
大きくなると経血量が増えたり不妊の原因になったりすることがあります。
【漿膜下(しょうまくか)筋腫】
子宮壁のもっとも外側にできる筋腫。
大きくなると頻尿・便秘などの症状が起こることがあります。
腫瘍ができる場所によって症状は異なりますが、生理痛(下腹部痛)が強くなったり、経血量が多くなったりすることがあります。
他にも、以下の症状が現れる場合があります。
- 貧血
- 不正出血
- お腹の張り
- 性交時の痛み・不快感
- 生理期間以外の下腹部痛・腰痛
- 過長月経(生理が8日以上続く)
- 排尿障害
- 便秘
- 不妊
- 流産・早産
子宮内膜症
子宮内膜症は、卵巣・腹膜など子宮以外の部位に子宮内膜に似た組織ができる病気です。
子宮内膜症が卵巣に発生すると、卵巣チョコレート嚢胞といわれる腫瘤をつくります。
主な症状は強い生理痛(下腹部痛)で、進行に伴って生理痛が強くなっていくのが特徴です。
他にも、以下の症状が現れる場合があります。
- 吐き気
- お腹の張り
- 便秘・排便痛
- 性交時の痛み
- 生理期間以外の下腹部痛・腰痛
- 骨盤痛
- 不妊
- 血尿
- 排尿痛
- 下血
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮筋層に子宮内膜に似た組織ができる病気です。
子宮腺筋症では、生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜が増えるため、強い生理痛・過多月経といった症状が起こります。
他にも、以下の症状が現れる場合があります。
生理痛は進行に伴って強くなります。
- 貧血
- お腹の張り
- 性交時の痛み
- 腰痛
- 骨盤痛
- 不妊症
【セルフチェック】こんなときは病院で受診しよう!
生理のトラブルがあるときに、病院で受診した方が良い症状の目安は以下の通りです。
当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。
・過去に感じたことのない強い生理痛がある
・経血にレバー状のかたまりが混ざる
・経血量が多く、生理用ナプキンを1~2時間で交換しないと間に合わない
・経血量が少なく、もっとも多い日でも生理用ナプキンの交換が1日1~2回で済む
・生理が8日以上ダラダラと続く
・生理が1~2日で終わる
・生理周期が24日以下である
・生理周期が45日以上である
・生理不順である
症状には個人差があるため、上記はあくまでも目安です。
また、このような症状があっても、年齢、閉経又は個人差などが原因であって、病気ではない場合もあります。
しかし、病気を見逃さないよう、気になる症状があれば、早めに婦人科・産婦人科で受診しましょう。
まとめ
生理中に起こる症状が軽い場合、適切な対応をとることで症状を緩和できる可能性があります。
生理中に不調が起こりやすい人は、自分の症状に合った対処・対策を参考にしてみましょう。
ただし、症状が強くない場合でも病気が関係している場合があります。
生理のときは体調・経血量などを確認し、おかしいと感じたら早めに病院で受診することをおすすめします。