カンジダ菌の増殖によって起こる性器カンジダ症(女性に症状が現れた場合、外陰膣カンジダ症などと呼ばれます)は、男性が発症することは少ないといわれています。
しかし、自分が外陰膣カンジダ症になってしまったとき、パートナーへの感染や性交渉に不安を感じる女性もいるのではないでしょうか。
今回は、カンジダ菌が男性にうつる可能性・感染したことをパートナーに言うべきか・性交渉を再開するタイミングについて解説します。
1.カンジダ菌はうつる?
外陰膣カンジダ症になったとき、男性にカンジダ菌がうつることはあるのでしょうか。
カンジダ菌が感染する可能性について確認してみましょう。
1-1.カンジダ菌は性交渉でうつる
カンジダ菌は、真菌の一種です。
妊娠していない女性の約15%、妊娠している女性の約30%が膣内にカンジダ菌を保有しているといわれています(参考文献★)。カンジダ菌は、膣以外にも、口・皮膚・消化管に生息していることがあります。
★参考サイト:日性感染症会誌 Vol. 19, No.1 Suppl. 2008 / ガイドライン 2008 性器カンジダ症
外陰膣カンジダ症は、もともと体に常在していたカンジダ菌が抗菌薬の服用・ホルモンバランスの変化・免疫力低下などをきっかけとして異常増殖し発症することが多いのですが、性交渉でカンジダ菌がうつって発症することもあります。
外陰膣カンジダ症を発症しているときにオーラルセックスを含む性交渉を行うと、相手にカンジダ菌をうつす可能性があるため注意が必要です。
1-2.男性は感染しても症状が出ないことが多い
性交渉によって男性の体にカンジダ菌が付着しても、入浴やシャワーで洗い流せば感染確率は低下します。
また、男性はカンジダ菌に感染しても症状が出ないことが多いです。
ただし、性交渉でカンジダ菌がうつったあとに陰部を不衛生にしていると、性器カンジダ症の症状が現れることがあります。とくに、包茎の男性は、亀頭が包皮に覆われているため、その部分を清潔に保つことが難しかったり蒸れたりして、カンジダ菌に感染して症状が出る確率が高くなります。
また、抗菌薬を服用している人や糖尿病の人やステロイド剤を投与されている人なども、性器カンジダ症を発症しやすくなります。
1-3.タオルの共有でうつる可能性もある
カンジダ菌はタオルを介して他の人にうつる可能性があります。
外陰膣カンジダ症になったときは、他の人とタオルを共有しないようにしましょう。
また、お風呂椅子は、使用後はお湯で表面を洗い流すことをおすすめします。
2.外陰膣カンジダ症になったらパートナーに言うべき?
外陰膣カンジダ症になったとき、「彼氏に言うのが恥ずかしい」と思う人もいるのではないでしょうか。
外陰膣カンジダ症はパートナーにも影響を与える感染症のため、お互いの体のためにどうするべきか確認していきましょう。
2-1.感染の可能性があるため伝えよう
カンジダ菌に感染してから発症までの時間には個人差があり、いつ感染したのかはっきりとわかりません。
性交渉によって知らないうちにパートナーに感染している可能性があるため、外陰膣カンジダ症になったら、早めにパートナーに伝えましょう。
男性が性器カンジダ症を発症することは稀ですが、抗菌薬の服用や免疫力の低下などによって発症する可能性があることを伝え、体に不快な症状がないか確認するようにしましょう。
2-2.パートナー男性に症状があれば病院で受診するよう促す
男性が性器カンジダ症になった場合、亀頭包皮炎が起きることがあります。
亀頭包皮炎の主な症状は、以下の通りです。
- 亀頭や包皮のかゆみ・痛み・ただれ・赤み・紅斑・水疱
- 亀頭や包皮に白いカスが出る
男性の場合、性器カンジダ症になった場合、抗菌薬を含んだ外用剤(軟膏、クリームなど)を患部に塗って治療するのが一般的です。
性器カンジダ症の検査・治療は泌尿器科・性病科で受けられますので、パートナーの男性に症状があれば、早めに病院で受診するよう促しましょう。
3.性交渉はいつから再開できる?
外陰膣カンジダ症になったとき、性交渉はいつから再開できるのでしょうか。
性交渉再開のタイミングについて確認してみましょう。
3-1.治るまで性交渉は控える
外陰膣カンジダ症の症状があるうちは、パートナーにカンジダ菌がうつってしまう可能性があります。
そのため、外陰膣カンジダ症の症状が無くなるまで性交渉は控えるようにしましょう。
また、パートナーも発症している場合、自身の治療が終わってもパートナーから再び感染してしまう可能性があります。
パートナー同士で感染を繰り返すピンポン感染を防ぐために、お互いに治療が終わってから性交渉を再開しましょう。
3-2.外陰膣カンジダ症が治ったサイン
以下のような症状がなくなれば、外陰膣カンジダ症が治ったサインといえるでしょう。
カッテージチーズ状・ヨーグルト状・酒粕状のようなおりもの
性交痛
排尿時の痛み
3-3.性交時はコンドームを正しく使用する
コンドームは避妊以外にも、性感染症を予防する重要な役割があります。
オーラルセックスを含めて、性交時はコンドームを正しく使用しましょう。
コンドームを正しく使用することで、性感染症になる危険性を大幅に減らすことができます。また、性交渉の前に相手と自分の体をよく観察し、感染症の疑いがある場合、オーラルセックスを含む性交渉自体を控えましょう。
まとめ
カンジダ菌は、性交渉によってパートナーにうつる可能性があります。
外陰膣カンジダ症になったときはパートナーに伝え、疑わしい症状があれば病院で受診してもらいましょう。
お互いに性器カンジダ症の治療が終わるまでは性交渉を行わないことが大切です。
また、外陰膣カンジダ症は、睡眠不足や疲労などのストレスによる免疫力低下や陰部の蒸れ、膣の自己洗浄などで発症しやすくなります。
一度治っても体調不良によって再発することがあります。
そのため、
- 睡眠不足や疲れによるストレスを溜めない
- 陰部の蒸れを避ける
- 膣まで洗浄しない
これらの点に注意するようにしましょう。