デリケートゾーンのケアはニオイやかゆみといったトラブルの予防につながり、健康的な状態に保つことに役立ちます。
しかし、デリケートゾーンのケアについて、「正しい洗い方がわからない」「どんなケアが必要か知らない」という女性は少なくありません。
そこで今回は、デリケートゾーンをケアするメリット、デリケートゾーンの洗い方、保湿の仕方について解説します。
※デリケートゾーンとは、女性の陰部周辺の、下着で隠れる部位のこと
デリケートゾーンのお手入れは大切
デリケートゾーンを健やかな環境に保つには、きちんとお手入れをすることが大切です。
デリケートゾーンケアを行うことで、どのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
デリケートゾーンのトラブルに悩む女性は多い
デリケートゾーンは皮膚が薄くて刺激を受けやすく、下着や生理用ナプキンなどによる擦れや蒸れが起きやすい部位です。
そのため、デリケートゾーンには、さまざまなトラブルが起きることがあります。
デリケートゾーンの悩みに関するアンケート調査では、以下のような結果が出ています。
※わかもと製薬アンケート調査:2021年7月実施(n=7958)
※上記調査のパーセンテージは、小数点2位以下を四捨五入しているため合計が100%以上になる、もしくは100%に至らない項目があります。ご了承ください。
調査結果によると、ニオイに対して非常に悩んでいる・悩んでいる・少し悩んでいるという女性が43.8%と全体の4割を超えています。
かゆみ、おりものに悩んでいる女性も全体の3割を超えており、多くの女性がデリケートゾーンの悩みを抱えていることがわかります。
また、デリケートゾーンの悩みで困っていることを尋ねたインタビュー調査では、以下のような回答があります。
Q.膣やおりものの悩みがあることで、現在、日常生活であなたが困っていること(我慢していること、わずらわしいこと、本当はしたくないのにしていることなど)を具体的に教えてください。
- 日常生活で困っていることは、おりものが多い時は下着のニオイや汚れ、膣の気持ち悪さに困っています(30代女性)
- ニオイが気になり、集中できないのが悩みです(50代女性)
- おりものシートを利用していますが、夏場は暑いので、どうしても蒸れてしまうのが煩わしいです(30代女性)
(2021年5月実施、わかもとインタビュー調査より)
このように、デリケートゾーンのニオイや汚れ、蒸れによる不快感があることで、日常生活に支障が出ている女性もいます。
デリケートゾーンの悩みを解消するには、洗浄・保湿といった日頃のケアが大切です。
デリケートゾーンをケアするメリット
デリケートゾーンをケアすると、以下のようなメリットがあります。
【ニオイの予防】
デリケートゾーンは汗や尿、生理時の経血、おりものなどで汚れやすく、下着や生理用ナプキンなどで蒸れるとニオイが発生することがあります。
また、デリケートゾーンの汗や皮脂は雑菌のエサになり、雑菌が汗や皮脂を分解するときに不快なニオイを発生させます。
エサとなる汗や皮脂が豊富にあると、雑菌が増殖してさらにニオイが発生しやすくなるため、デリケートゾーンをケアして清潔に保つとニオイ予防になるでしょう。
【乾燥によるかゆみ・痛みの予防】
「デリケートゾーンを洗うとヒリヒリして痛い」「デリケートゾーンがカサついている」という場合、皮膚表面が乾燥している可能性があります。
デリケートゾーンが乾燥すると皮膚のバリア機能が低下して、かゆみや痛みといったトラブルが起きやすくなります。
デリケートゾーンが乾燥する原因は、加齢、疾病、体質、陰毛の脱毛などさまざまです。
デリケートゾーンが乾燥する場合、保湿することで乾燥によるトラブルの減少が期待できます。
【黒ずみ予防】
強い刺激を受けると、デリケートゾーンは色素沈着を起こして黒ずみができてしまうことがあります。
ゴシゴシ洗いや乾燥は色素沈着の原因となるため、正しいケア方法を身につけることで黒ずみを防ぐことができます。
デリケートゾーンの洗い方のポイント
デリケートゾーンのケアは、丁寧に洗って清潔に保つことが基本です。
ここでは、デリケートゾーンの洗い方のポイントを3つ紹介します。
ぬるま湯を使う
デリケートゾーンの皮膚は薄いため、熱いお湯で洗うと刺激を与えてしまいます。
必要な皮脂まで洗い流して乾燥を招く原因にもなるので、ぬるま湯で洗うようにしましょう。
また、デリケートゾーンはお湯だけで洗うのが基本で、ソープで洗うことは必須ではありません。
一般的なボディソープや石鹸はアルカリ性で洗浄力が高いものが多いため、デリケートゾーンに使用すると刺激となることがあります。
シャワーのお湯(ぬるま湯)で洗うだけでも十分ですが、ソープを使う場合は弱酸性で肌に優しいものを選びましょう。
膣まで洗わない
デリケートゾーンを洗うときは、膣まで洗わないようにしましょう。
健康な膣には乳酸桿菌(乳酸菌の一種)が住みついていています。
この乳酸桿菌はデーデルライン桿菌と呼ばれることもあります。
デーデルライン桿菌の働きにより膣の環境はpH3.8〜4.5の酸性に保たれ、雑菌が増殖しにくい環境になっています(膣の自浄作用)。
膣まで洗ってしまうと、膣の自浄作用が弱くなって雑菌が異常増殖してしまい、おりものの異常、陰部のかゆみ、陰部の悪臭などのトラブルが起きることがあると考えられています。
前から後ろへ洗う
肛門付近には雑菌や汚れが多いため、デリケートゾーンを洗うときは前(性器側)から後ろ(肛門側)へ洗いましょう。
また、外陰部は複雑な形をしているため、シャワーで軽く洗い流しただけでは汚れが残ってしまうことがあります。
大陰唇と小陰唇の間やしわの間も優しく丁寧に洗いましょう。
デリケートゾーンの洗い方
デリケートゾーンを洗う手順は以下の通りです。
- ソープを使う場合はよく泡立てる
- 外陰部を洗う
- 肛門を洗う
- ソープを使った場合はしっかり洗い流す
手順ごとのコツや注意点を確認してみましょう。
ソープを使う場合はよく泡立てる
ソープを使う場合は、適量を手に取ってよく泡立てます。
泡立てネットやスポンジ、ボディタオルを使い、洗面器などに泡を作っておく方法もあります。
泡が柔らかくて洗い心地の良いソープを選ぶと、刺激を抑えて優しく洗うことができます。
デリケートゾーン専用ソープには泡で出てくるタイプやリキッドタイプ、保湿成分を配合したタイプなどさまざまなものがあるので、自分に合う商品を選びましょう。
外陰部を洗う
最初に大陰唇、小陰唇の順に優しく洗っていきます。
アンダーヘアには尿や経血、汚れなどが付着しやすいので、丁寧に洗いましょう。
また、外陰部はとくに複雑な形状をしており、見えにくいところに「恥垢(ちこう)」と呼ばれる白いカスが溜まりやすいです。
恥垢は汗や皮脂、おりものなどが溜まってできたもので、放っておくと雑菌が繁殖してニオイやかゆみなどのトラブルの原因になります。
洗い残しがないように、大陰唇と小陰唇の間やしわの間も指の腹でなぞるように丁寧に洗いましょう。
なお、尿道口と膣口は粘膜部分なので、洗わないほうがいいでしょう。
肛門を洗う
最後に、肛門周辺を優しく指で洗います。
肛門を洗いすぎると皮脂膜がなくなって皮膚のバリア機能が低下し、肌トラブルの原因となります。
肛門をゴシゴシ洗ったり、肛門に熱いシャワーをあてたりすることは避けましょう。
ソープを使った場合は丁寧に洗い流す
洗い終わったら、前から後ろに向かってシャワーやかけ湯ですすいでいきます。
洗ったときと同じ順に、手指で撫でて丁寧に汚れを洗い流しましょう。
シャワーを真下から当てると膣の中にお湯が入ってしまう可能性があるので、シャワーを使うときは弱い水圧で上から流しかけるようにしましょう。
ソープを使った場合、すすぎ残しがあるとソープの残りから雑菌が繁殖してニオイやかゆみの原因になることがあります。
すすぎ残しがないか確認しながら、洗い流しましょう。
タオルで拭くときは、ゴシゴシ擦らずに優しくおさえて水分を吸い取ります。
デリケートゾーンの保湿の仕方
デリケートゾーンの乾燥が気になる場合、デリケートゾーンを洗った後に保湿ケアをしましょう。
洗い終わったらすぐに保湿する
お風呂上がりは乾燥が進みやすいため、洗い終わってタオルで水分を拭き取ったらすぐに保湿をしましょう。
保湿には、クリーム、軟膏、オイルなどの保湿剤を利用してみましょう。
いろいろな保湿剤があるので、自分に合うものを選んでみてください。
初めて使用する保湿剤の場合、肌トラブルが起きないかどうか事前に確認するため、パッチテストを行いましょう。
粘膜部分を避けて塗る
デリケートゾーンを保湿するときは、尿道口・膣口などの粘膜部分は避け、ショーツライン・大陰唇・肛門周辺に保湿剤を優しく塗っていきます。
【Q&A】デリケートゾーンの洗い方に関するよくある質問
ここでは、デリケートゾーンの洗い方に関するよくある質問と回答を紹介します。
Q.デリケートゾーンはどのくらいの頻度で洗うのがいいですか?
明確な基準はありません。
1日1回、毎日の入浴時に洗うようにするとよいでしょう。
どうしてもデリケートゾーンの汚れが気になるときは、デリケートゾーン専用シートで拭き取る方法もあります。
Q.デリケートゾーンを洗うのにビデは使わないほうがいいですか?
トイレのビデ洗浄機能を使用すると、デリケートゾーンに付着した経血や汚れを洗い流して清潔に保つことができます。
しかし、デリケートゾーンを洗いすぎると乾燥してトラブルが起きやすくなるため、ビデの使いすぎには注意が必要です。
また、かゆみがあるときに刺激を与えると、ヒスタミンなどのかゆみ物質が放出されてかゆみが増してしまいます。
デリケートゾーンに強い水圧を当てて洗うと一時的にかゆみが引いたと感じますが、さらにかゆくなるので弱い水圧にて短時間で外陰部を洗うようにしましょう。
ビデを使うときには、膣の中まで洗わないことも大切です。
ニオイやおりものが気になるからといってビデで膣の中まで洗うと、膣の自浄作用を弱めて膣内環境の悪化につながる可能性があります。
ビデの使いすぎには注意して、使うときは正しい使い方を守りましょう。
まとめ
不衛生な環境や乾燥はトラブルの原因となるため、洗浄や保湿といったデリケートゾーンの基本的なケアを行うことが大切です。
また、デリケートゾーンは目につきにくい部位のため、ケアを行う際に鏡でデリケートゾーンの状態を確認するのがおすすめです。
鏡で顔を見て肌の状態を確認するように、デリケートゾーンの確認を習慣づけると、トラブルに早く気づいて対策をとることができます。
- 汚れが残っていないか
- 肌トラブルがないか
など、ケアをするタイミングで毎日確認してみましょう。
日常的なケアをしてもニオイやかゆみなどの悩みが解消されない場合は、何らかの異常が起きている可能性もありますので、早めに病院で受診しましょう。