膣や外陰部に不快な症状が現れ、日常生活に支障が出ることも多い性器カンジダ症(女性の場合、外陰膣カンジダ症などと呼ばれることもあります)。
今回は、「性器カンジダ症は自然治癒するの?」「放置したらどうなるの?」といった疑問を解消する情報を紹介します。
性器カンジダ症の主な原因・受診についても詳しく紹介しますので、性器カンジダ症の自覚症状がある人は確認してみましょう。
1.性器カンジダ症とは?
性器カンジダ症は、カンジダ菌(真菌の一種)によって引き起こされる感染症です。
原因菌となるカンジダ菌は数種類あり、もっとも多い原因菌は「カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)」です。
性器カンジダ症を発症すると、膣や外陰部に不快な症状が現れます。
はじめに、性器カンジダ症の症状や主な原因を確認してみましょう。
1-1.【セルフチェック】こんな症状ありませんか?
性器カンジダ症では、以下のような症状が現れます。
外陰部・膣がかゆくなる
外陰部にヒリヒリとした刺激を感じる
排尿時に痛みがある
性交時に痛みがある
1-2.性器カンジダ症になる主なきっかけ
カンジダ菌は膣内以外にも、皮膚・口内・腸内などに存在することがある常在菌です。
性器カンジダ症の症状がない健康な人でも、カンジダ菌を保有していることがあります。
健康な膣内には、デーデルライン桿菌(乳酸菌の一種)が常在しており、乳酸などを作り出しています。
この乳酸などは膣内を酸性に保つのに役立っており、膣内がpH3.8〜4.5の酸性に保たれることで、カンジダ菌が増殖しにくい環境になっています。
しかし、なんらかのきっかけで、膣内でカンジダ菌が増殖すると、性器カンジダ症を発症します。
また、カンジダ菌は高温多湿の環境を好むため、外陰部の蒸れも性器カンジダ症を引き起こす原因のひとつです。
具体的には、以下のようなことがきっかけとなり、性器でカンジダ菌が増殖し、性器カンジダ症の発症につながります。
睡眠不足・疲れなどによるストレス
糖尿病
HIV感染
生理前
妊娠
通気性の悪い下着の着用
生理用ナプキン・おりものシートの装着
抗菌薬(抗生物質)の服用
副腎皮質ホルモン剤の使用
抗がん剤の使用
2.性器カンジダ症は自然治癒するの?
性器カンジダ症の症状が軽い場合は自然治癒することもあります。
ただし、出産の際に産道を介してカンジダ菌が赤ちゃんに感染する可能性があるため、妊娠中の人は早めに病院で受診しましょう。
3.性器カンジダ症を放置するとどうなる?
性器カンジダ症は必ずしも自然治癒するとは限らず、放置すると、かゆみから掻いてしまい、傷ができて炎症が起きることもあります。
また、性器カンジダ症と思っていたら違う病気だったということもあります。
特に閉経後に長期にわたり性器にかゆみなどがある場合、悪性腫瘍の可能性もあるため、注意が必要です。
4.性器カンジダ症になったら受診しよう
初めて性器カンジダ症を疑う症状が現れたときは、自己判断せずに病院で受診することが大切です。
過去に膣カンジダ症と医師に診断され、治療を受けたことがある人が膣カンジダ症を再発した場合は、市販薬で対処することも可能です。
ここでは、病院での治療方法と市販薬について紹介します。
4-1.病院での治療方法
性器カンジダ症と診断された場合、膣内洗浄や抗菌薬で治療を行います。
性器カンジダ症の一般的な治療方法は、以下の通りです。
- 連日通院して、膣内洗浄後に膣坐薬(抗菌薬)を挿入してもらう
- 連日の通院が難しい場合、週に一回通院して、膣内洗浄後に膣坐薬を挿入してもらう
- 医師の指定による使用方法に従い、自分で外用薬(抗菌薬)を患部に塗布する
性器カンジダ症の治療に使用される一般的な抗菌薬は、クロトリマゾール・ミコナゾール・オキシコナゾール・イソコナゾールなどです。
症状に合わせて、膣内に挿入する膣坐薬、内服薬、外陰部に塗る外用薬(軟膏・クリーム・ゲル・液状など)が処方されることもあります。
4-2.市販薬で対処できるのは再発のときだけ
性器カンジダ症が再発した場合は、婦人科で受診する以外にドラッグストアで購入できる市販薬(第1類医薬品)で対処することもできます。
性器カンジダ症の市販薬には塗り薬と膣錠があります。第1類医薬品の販売には薬剤師による情報提供が義務付けられています。
市販薬を購入できるのは、過去に医師に性器カンジダ症と診断され、治療を受けたことがある人です。
5.【Q&A】性器カンジダ症に関するよくある質問
ここでは、性器カンジダ症に関するよくある質問と答えを紹介します。
自分自身が性器カンジダ症になっているときは、パートナーにうつす可能性があるため、性行為(オーラルセックスを含む)を控えるようにしましょう。
また、カンジダ菌は使用したタオルを介してうつることもあります。
性器カンジダ症になっているときは、タオルの共有は避けましょう。
まとめ
性器カンジダ症は症状の程度によって自然治癒する可能性もありますが、放置すると、かゆみから掻いてしまい、傷ができて炎症が起きることもあるので注意が必要です。
性器カンジダ症の自覚症状があるときは、早めに受診して、適切な治療を受けることをおすすめします。
また、性器カンジダ症は治療をしても、なんらかのきっかけで再発する場合があります。
ストレスを減らす・陰部の蒸れを避けるなどの対策をとり、膣内環境を整えて性器カンジダ症の再発を予防しましょう。