生理前・生理中になると、一日中寝てしまったり、眠気で日常生活や仕事に支障が出てしまったりすることがあります。
意識が飛ぶような異常な眠気に襲われることもあり、「生理前・生理中はなぜこんなに眠いの?」と不思議に思う女性もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、生理前や生理中に眠くなる原因、眠気対策&対処法、眠気を軽減する方法を詳しく紹介します。
PMS(月経前症候群)とは
生理前は、いつもより強く眠気を感じることがあります。
このような眠気はPMS(月経前症候群)の症状の1つです。
PMSとは、生理開始の3~10日前くらいから始まる精神的・身体的な症状で、生理が始まるとともに症状がおさまったり、軽くなったりするものをいいます(参考文献★)。
PMSの症状としては、眠気以外にも次のようなものがあります。
【身体的症状】
- のぼせ
- 下腹部膨満感
- 下腹痛
- 腰痛
- 頭が重く感じる
- 頭痛
- 乳房痛
【精神的症状】
- イライラ
- 怒りっぽくなる
- 落ち着かない
- 憂うつ
★参考サイト:日本産科婦人科学会/月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)2018年6月16日
いくら寝ても眠い…生理前・生理中の眠気の原因は?
生理前・生理中の眠気には、「プロゲステロンの分泌量の増加」「基礎体温の上昇」が関わっています。
それぞれの原因について確認してみましょう。
プロゲステロンの分泌量が増える
生理前に眠くなる原因は、女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン」の分泌量の増加が大きく関わっています。
女性ホルモンには「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」があり、約1ヶ月のサイクル(生理周期)で分泌量が変化します。
プロゲステロンの分泌量が増えるのは、排卵後から生理開始までの黄体期です。
プロゲステロンから、アロプレグナノロンという眠気を引き起こす物質がつくられます。
そのため、生理前になると眠気を感じることがあります。
基礎体温が上がる
黄体期になると、基礎体温が0.3〜0.5度程度上昇する高温期に入り、生理が始まるまでの12〜14日程度続きます。
私たちの体は体温が下がることで休息状態になり、良質な睡眠をとることができます。
しかし、高温期に入ると夜中になっても体温が下がりきりません。
そのため、寝つきが悪くなったり深い眠りにつけなかったりして、日中に眠気を感じることがあります。
眠すぎるときは寝た方がいいの?日中に眠くなった時の眠気対策&対処法
生理前・生理中に眠いときはどうすればいいのでしょうか?
ここでは、眠気対策&対処法を6つ紹介します。
無理せず仮眠をとる
眠気を我慢すると、集中力や注意力が低下して生活に影響が出てしまいます。
どうしても眠いときは無理せずに、仮眠をとることをおすすめします。
ただ、夕方以降の仮眠は夜の睡眠に影響を与えるため、仮眠をとるのは正午から14時までの時間帯が良いでしょう。
また、深い眠りに入るほど長く寝てしまうと、起きたときに眠気が残ってしまうことがあります。
仮眠は15〜30分程度の短時間でとるようにしましょう。
ストレッチをする
日中に眠気を感じるときは、副交感神経が優位になっています。
そのため、体を動かして刺激を与えることで、交感神経が優位になって眠気が覚めることがあります。
眠気に襲われて家事や仕事に集中できなくなったら、肩関節・背中・ふくらはぎ・足首などをストレッチしてみましょう。
コーヒーや紅茶を飲む
カフェインを含むコーヒー・紅茶などを飲むと、カフェインの作用により眠気が覚めやすくなります。
カフェインの効き目が出やすくなるタイミングの目安は、温かい飲み物でカフェインをとった場合は約30分後、冷たい飲み物でカフェインをとった場合は約1時間後です。
ゆっくり深呼吸を行う
脳に送られる酸素量が少なくなると、眠気が起きやすくなるといわれています。
そんなときは、ゆっくり深呼吸してみましょう。
多くの酸素を脳に送り込むことで、スッキリして眠気から覚める可能性があります。
また、部屋の酸素量を上げるために、部屋の換気もしてみましょう。
冷たい水で手首を洗う
日中の眠気を覚ましたいときは、冷たい水で手首を洗ってみましょう。
手を洗うことで気分もリフレッシュできるので、仕事や家事に積極的に取り組みやすくなるでしょう。
アロマオイルやハーブティーの香りをかぐ
アロマオイルやハーブティーの香りをかぐことも眠気対策になります。
眠気覚ましにおすすめのアロマオイルやハーブティーは、以下の通りです。
【アロマオイル】
- ローズマリー
- ペパーミント
- ユーカリ
- ティートリー
【ハーブティー】
- ローズマリー
- ペパーミント
- ユーカリ
- タイム
- レモングラス
日中の眠気が起きにくくする方法
ここでは、日常生活でできる生理前・生理中の眠気を軽減する方法を6つ紹介します。
朝日を浴びる
毎朝一定時刻に起きるようにして、朝目覚めたら、なるべく早く太陽の光をしっかりと浴びるようにしましょう。
朝日を浴びると、脳でセロトニンという物質が分泌され、体内時計がリセットされます。
毎朝一定時刻に体内時計がリセットされることで、睡眠と覚醒のリズムが整い、良い睡眠につながります。
適度に運動する
定期的に適度な有酸素運動をすると、寝つきが良くなり、深く眠りやすくなるでしょう。
有酸素運動の例としては、ウォーキング、ジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳などがあります。
運動をする時間帯は、夕方から夜(就寝の3時間前くらい)がおすすめです。
就寝直前に激しい運動をすると、交感神経が優位になって眠りにつきにくくなるので注意しましょう。
ぬるめの湯船にゆっくり浸かる
夜に寝つきが悪くて日中に眠気が起きてしまうときは、就寝の2時間から3時間前くらいに38度程度のぬるめの湯船に30分程浸かってみましょう。
湯船に浸かって一時的に上がった体温が、入浴後に下がることで入眠しやすくなります。
睡眠時間を十分にとる
生理前・生理中の眠気を軽減するには、睡眠時間を十分にとることも大切です。
眠気を感じやすい時期になったら、夜更かししないように心がけましょう。
必要な睡眠時間は人によって異なるため、自分に適切な睡眠時間も把握しておきましょう。
睡眠環境を整える
しっかりと眠って日中の眠気を感じにくくするには、睡眠環境を整えることも大事なポイントです。
睡眠環境を整えるには、以下のような対策方法があります。
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 就寝前はカフェインを摂取しない
- 就寝前は喫煙を控える
- 就寝前はテレビやスマホなどの強い光を浴びない
- 就寝時は照明を消す、または暗めにする
- 部屋の中を快適な温度・湿度に調整する(温度25℃前後、湿度50%前後が目安)
- 布団の中を快適な温度・湿度に調節する(温度33℃前後、湿度50%前後が目安)
まとめ
生理前・生理中は、人によっては睡眠薬と同じ程度の強い眠気を感じることもあります。
眠気を感じると普段通りの生活を送りにくくなるため、しっかり対策をして眠気を軽減してみましょう。
対策をしても改善されない場合は、病気がかかわっている可能性もあります。
不安があるときは、早めに病院で受診しましょう。