おりものが水っぽいのはなぜ?原因(生理周期・妊娠・病気)や尿漏れとの違い

水っぽいおりものが出ていて、原因や対処法がわからずに不安になっている女性もいるのではないでしょうか。

おりものが水っぽくなるのは正常な場合もありますが、病気が関わっていることもあるので注意が必要です。

今回は水っぽいおりものが出る原因や対処法、よくある質問と回答を紹介します。

水っぽいおりものと尿漏れの違いも紹介しますので、どちらかわからない人は確認してみましょう。

 

水っぽいおりものに悩む女性の声

おりものは専門用語で帯下(たいげ)と呼ばれ、子宮・膣からはがれ落ちた古い細胞や分泌物などが混ざったものです。

おりものには細菌などが膣内へ侵入することを防ぐ働きがあり、また排卵日近くに分泌されるおりものには受精を助ける働きがあります。

おりものは女性の体にとって必要なものですが、水っぽいおりものが出ることで悩んでいる女性もいます。

膣やおりものに関するインタビュー調査で、水っぽいおりものに関する悩みがあると回答した女性の声を確認してみましょう。

 

膣やおりものの悩みについて、現在、日常生活であなたが困っていること(我慢していること、わずらわしいこと、本当はしたくないのにしていることなど)を具体的に教えてください。
・酸っぱいような臭いが気になるのと、水状のおりものが出てショーツが濡れてしまうことがあります。(40代女性)
・生理は既に来なくなり10年近くになるが、水っぽいおりものが多いので、下着からボトムスに染み出してくるのではないかとまで不安を感じている。肌が弱くパットはかぶれたりするので使用しておらず、下着の他に綿製品の肌着を着用の上ボトムスを着用。これから暑くなると余計に蒸れて大変です。(50代女性)
・おりものの悩みについては異常におりものが出る時など尿みたいな感じで出てきて困った事はあります。パンティーライナー的なものをつけなくちゃいけなかったり、ねばついたりするので困ります。(40代女性)

(21年5月・6月実施、わかもとインタビュー調査より)

水っぽいおりものがあると下着やボトムスに染み込むことが心配になったり、通常のおりものよりも対策が必要になったりすることを煩わしく感じる人が多いようです。

おりものが水っぽくなるのはさまざまな原因があるため、日常生活に支障が生じている場合は原因に合わせて適切な対処法を行うのがおすすめです。

 

おりものが水っぽいのはなぜ?

おりものが水っぽくなるのは、生理周期・妊娠・病気の3つの原因が考えられます。

原因別に、水っぽいおりものが出る理由を確認してみましょう。

 

【原因①】生理周期による一時的な水っぽいおりものは正常

おりものは女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)と関わりがあり、生理周期によっておりものの状態は変化します。

特に、生理後と排卵日前後に水っぽいおりものが出る傾向があります。

 

【生理後】少量の水っぽいおりものが出やすい

生理後は、水っぽくてさらさらとしたおりものが出やすい時期です。

量が少なく、経血の残りが混ざって茶色っぽくなることもあります。

 

【排卵日前後】多量の水っぽいおりものが出やすい

排卵日前後は多量の水っぽいおりものが出やすくなります

透明で無臭に近く、よく伸びるおりものが出ることもあります。

このように生理周期によっておりものの状態は変化するため、生理後・排卵日前後に水っぽいおりものが出ている場合は正常の範囲といえるでしょう。

 

【原因②】妊娠初期に水っぽいおりものが出ることもある

妊娠すると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増えるため、おりものの量が増えます。

また、さらさらとした水っぽいおりものになることが多いようです。

おりものの変化は妊娠初期症状のひとつで、おりものからいつもより酸っぱいニオイがしたり、着床出血した血液が混ざることでピンク色や茶色っぽい色のおりものになったりすることがあります。

 

おりものの変化の他にも、妊娠初期には以下のような症状が起こることがあります。

微熱・胸の張り・腰痛・倦怠感・生理痛より軽い腹痛など

おりものの変化や上記のような症状があり、生理予定日から1週間以上経っても生理が来ない場合は婦人科・産婦人科で受診することをおすすめします。

 

【原因③】水っぽいおりものが出る病気に注意

生理周期や妊娠によっておりものに変化が起こるのは正常なことですが、病気によって水っぽいおりものが出ている場合もあります。

ここでは、水っぽいおりものが出る代表的な病気を紹介します。

ただし、症状には個人差があり、ここで挙げる病気がすべてではありません。

自己判断せずに、気になる症状がある場合は婦人科・産婦人科で受診しましょう。

 

水っぽいおりもので生臭い「細菌性膣症」かも

細菌性膣症は、膣内の常在菌のバランスが乱れ、膣内で雑菌がたくさん増えてしまうことで症状が出る感染症です。

自覚症状がない場合も多いですが、細菌性膣症では、灰色や白色の水っぽいおりものが出ることがあります。

おりものや陰部から魚のような生臭いニオイがすることもあります。

また、下腹部痛・不正出血といった、おりもの以外の症状が現れる場合もあります。

 

細菌性膣症になるきっかけはさまざまですが、次のことがきっかけとなることがあると考えられています。

  • 子宮内避妊器具(IUD)の使用
  • コンドームを使用しない性行為
  • 複数のまたは新しいパートナーとの性行為
  • 過度または不衛生な性行為
  • オーラルセックス
  • ストレスや風邪などによる免疫力の低下
  • 膣の自己洗浄

細菌性膣症となった場合、膣で増殖した雑菌が子宮頸管を通過すると、子宮内膜炎・卵管炎・骨盤腹膜炎が引き起こされることもあります。

 

水っぽいおりもの+痛み「性器クラミジア感染症」かも

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌が原因の性感染症です。

クラミジア・トラコマチスは、主に性行為により感染します。

自覚症状がない場合が多いですが、女性が感染するとおりものが水っぽくなったり、おりものの量が増えたりすることがあります。

 

治療せずに放っておくと卵管炎・腹膜炎・異所性妊娠(子宮外妊娠)・不妊などの原因になることがあり、妊娠している場合は流産・早産の恐れもあるので注意が必要です。

また、性行為によってパートナーに感染している場合は、自分自身が治療をしてもパートナーが治療をしないと再び感染することがあります。

お互いに繰り返しうつしあうピンポン感染が起こることもあるため、性器クラミジア感染症と診断された場合はパートナーにも検査を受けてもらうようにしましょう。

 

水っぽいおりもの+不正出血「悪性腫瘍」かも

子宮頸がん・子宮体がん・卵管がん・卵巣がんといった悪性腫瘍では、症状として水っぽいおりものが出ることがあります。

また、症状のひとつに不正出血があり、茶色いおりものが出る場合もあります。

悪性腫瘍は進行すると他の部位に転移する恐れがあり、命に関わることがあるので早期発見・早期治療が大切です。

悪性腫瘍の疑いがある場合は、早めに婦人科・産婦人科で受診しましょう。

 

水っぽいおりものが出るときの対処法

水っぽいおりものが出るときはさまざまな原因が考えられます。

病気の疑いがある場合は、まずは婦人科・産婦人科で受診するようにしましょう。

水っぽいおりものの不快感を解消したいときは、なるべく快適に過ごせるように対策をとるのがおすすめです。

ここでは、水っぽいおりものが出るときに日常生活でできる対処法を紹介します。

 

おりものシートをこまめに替える

水っぽいおりものが出るときは、おりものシートを活用してみましょう。

おりものシートを使うと、下着やボトムスにおりものがつくのを防ぐことができます。

おりものシートはおりものや汗を吸収するため、ベタつきを軽減してデリケートゾーンを清潔に保ちやすくなるメリットもあります。

 

ただし、おりものシートを長時間つけているとおりものシートで雑菌が繁殖してしまうため、汚れていなくてもこまめに替えることが大切です。

トイレに行く度に毎回取り替えるか、最低でも日中に2〜3回は取り替えるようにしましょう。

デリケートゾーンに直接触れるものなので、通気性が良く肌に優しい素材の商品を選ぶのがおすすめです。

 

吸水型サニタリーショーツを使う

「おりものシートを使いたくない」という場合は、吸水型サニタリーショーツを使うこともできます。

吸水型サニタリーショーツは吸水性・防水性のある布を使用しており、生理時の経血やおりものといった水分を吸収してくれるアイテムです。

生理用ナプキンやおりものシートは基本的に必要なく、洗って繰り返し使えるので環境に優しく経済的なところが人気を集めています。

 

膣内は洗わない

デリケートゾーンにおりものがついたまま放置すると不快感があるだけでなく、ニオイやかゆみ、炎症などを引き起こしやすくなります。

そのため、おりものが出るときは、デリケートゾーンを優しく洗ったり、拭き取ったりして、清潔に保つようにしましょう。

ただし、洗うのは外陰部までで、粘膜や膣内は洗わないのがポイントです。

膣には自浄作用があり、雑菌が膣に侵入すること防いだり、雑菌が膣で増殖することを防いだりして、膣内環境を良好に保つための仕組みがあります。

 

しかし、おりものをなくそうとして自分で膣内まで洗ってしまうと、膣内環境を乱してしまうことがあります。

膣内環境が乱れるとニオイやかゆみ、おりものの異常といったトラブルを引き起こしやすくなります。

また、ビデの使いすぎにも注意が必要です。

 

【Q&A】水っぽいおりものに関するよくある質問

ここでは、水っぽいおりものに関するよくある質問と回答を紹介します。

 

Q.水っぽいおりものと尿漏れの見分け方はありますか?

A.尿漏れにはさまざまな種類がありますが、女性に多くみられるのは「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」です。

 

腹圧性尿失禁

加齢・出産・肥満・運動不足などで骨盤底筋や尿道括約筋が弱くなるのが原因で、お腹に力がかかったときに尿が漏れるのが特徴です。

くしゃみや咳をする、笑う、スポーツなどで体を動かす、重いものを持ち上げるなどの行動を起こしたときに下着が湿っている場合は、腹圧性尿失禁の可能性があるでしょう。

 

切迫性尿失禁

突然強い尿意を感じ(尿意切迫感)、トイレに行く前に尿が漏れてしまうのが特徴です。

トイレが近くなった、我慢できない尿意があるといったときに下着が湿っている場合は、切迫性尿失禁の可能性があります。

切迫性尿失禁は脳血管障害や骨盤臓器脱などが原因となりますが、原因がはっきりしないこともあります。

腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁どちらの症状にも当てはまらない場合は、水っぽいおりものが出ていると言えるでしょう。

 

Q.水っぽいおりものが出ているときに性交渉をしても大丈夫ですか?

A.生理周期による一時的な水っぽいおりものであれば、性交渉をしても問題はないでしょう。

しかし、生理周期に関係なく水っぽいおりものが出ていたり、生理周期によるいつもの水っぽいおりものとは色・ニオイ・量などが違う場合は、感染症や他の病気、妊娠の可能性があるため、性交渉を避け、早めに婦人科・産婦人科で受診することをおすすめします。

 

Q.ズボンに染みるほど大量の水っぽいおりものが出て心配です。受診するべきですか?

A.おりものの量には個人差があるため、正しい量の基準はありません。

しかし、ズボンに染みるほど大量の水っぽいおりものが出ている場合は、体に何かしらの異変が起きている可能性があります。

おりものが急に増え、生理周期に関わりなく大量のおりものが続いている場合も注意が必要です。

おりものに異変を感じたら、早めに婦人科・産婦人科で受診しましょう。

 

まとめ

水っぽいおりものは下着が汚れたり蒸れによって肌荒れが起きたりすることがあり、不快に感じやすいものです。

生理後と排卵日前後には水っぽいおりものが出る傾向があるため、時期が来るたびに対処するのは面倒に感じることもあるかもしれません。

しかし、おりものには膣の自浄作用や受精をサポートする役割があります。

おりものシートや吸水型サニタリーショーツを活用する、デリケートゾーンを清潔に保つといった対処法を実践して、うまく付き合っていくのがおすすめです。

 

ただし、水っぽいおりものには、感染症や悪性腫瘍といった病気が関わっている場合もあります。

おりものの変化に気づくには、普段から自分のおりものの色・ニオイ・量を確認しておくことが大切です。

おりものの状態に異常を感じたら、早めに病院で受診しましょう。