「ちょっとしたことですぐに疲れてしまう」「なんだかだるくて気力が湧かない」など、体の疲れを感じている人もいるのではないでしょうか。
すぐに疲れてしまうのは生活習慣や食生活が関係している場合もあれば、病気の症状として現れている場合もあります。
今回は、疲れやすさの原因や対処法、病院へ行くべき症状について詳しく紹介します。
【内臓疲労】体がすぐに疲れてしまうのは胃腸の疲れが原因かも!
体が疲れる原因のひとつとして内臓疲労によるものと考えられます。
詳しく確認していきましょう。
胃腸と疲労の関係性
体がすぐに疲れてしまうときは、胃腸の疲れが関係しているかもしれません。
胃腸には食べ物を消化して栄養を取り込み、老廃物を排泄する働きがあります。
胃腸が疲労すると、胃腸の機能低下を招いて胃もたれや下痢、便秘といった不調を引き起こしやすくなります。
さらに、胃腸の機能が低下すると食べ物の消化や吸収が十分に行えなくなり、エネルギー不足となって全身のだるさや倦怠感につながることがあるのです。
胃腸の機能が低下する原因
胃腸の疲れは、食べ過ぎ、飲み過ぎ、睡眠不足、過労、過度なダイエット、ストレスなどが原因とされています。
ストレスに関してはそれ自体が疲れの直接的な原因にもなり得ますが、ストレスによって自律神経や腸内細菌のバランスが乱れることで、胃腸の機能が低下して全身の疲れを招くといったこともあります。
また、極端なダイエットをしている人は、食事の量が少なくなっていることで胃腸機能が低下して全身の疲れを引き起こしている可能性もあるでしょう。
【活動】疲れやすさを引き起こしている原因かも
疲れやすいときは、不規則な生活や活動の少なさが影響している場合があります。
ここでは、疲れやすさを引き起こしている原因を紹介します。
外出不足
外出不足で日光を浴びる時間が少ないことが、疲れやすい原因になっている場合があります。
日光を浴びると、脳内で神経伝達物質の「セロトニン」の分泌が促されたり、体内で「ビタミンD」が生成されたりします。
特に「セロトニン」は精神を安定させる働きがあり、不足すると慢性的なストレス、疲労、不眠、意欲低下、イライラ感、うつなどの症状を引き起こします。
「ビタミンD」は「セロトニン」の生成と調節をサポートする働きがあるホルモンですので、不足すると、意欲の低下や疲れやすさにつながることがあります。
また、日光を浴びないと体内時計がズレてしまい、疲れやすい、食欲不振、不眠などの不調を招くこともあるのです。
人との交流不足
人との交流が少ないと孤独感に陥り、心身に影響を与えることが少なくありません。
人と関わる機会が少ないことで円滑なコミュニケーションを取りづらくなり、人間関係の悩みが増えて不調につながる場合もあります。
疲れているときは、人と関わりたくないと感じることもあるでしょう。
しかし、家族や友達など親しい人と話をすると、気分転換やリラックスすることができます。
また、楽しく会話をすることで、脳内では「ドーパミン」や「オキシトシン」といった神経伝達物質が分泌されます。
これらの神経伝達物質は幸福感を与え、ストレスを軽減したり意欲を高めたりする働きがあります。
運動不足
運動不足によって代謝が下がると血流が悪くなり、疲労物質を排出しにくくなります。
特に、デスクワークなど同じ姿勢をとることが多い人は、筋肉のコリによって血液の流れが悪くなる傾向があるため、慢性的な疲労を感じやすいとされています。
【食事】疲れやすい体は栄養素の不足が原因の可能性も!
私たちの体は食事から摂取した栄養によって作られているため、疲れやすいと感じるときは栄養不足が関係していることもあります。
ここでは、不足すると疲れやすくなる栄養素について紹介します。
糖質不足
糖質(炭水化物)は体内でブドウ糖などに分解され、血液で細胞に運ばれてエネルギーになります。
過剰摂取は肥満につながりますが、不足すると活動するためのエネルギーも足りなくなり、少し動くだけで疲れを感じやすくなります。
鉄分不足
鉄分は全身の細胞に酸素を運ぶ働きがあります。
不足すると貧血を招き、疲労感、倦怠感、無力感、息切れ、食欲不振といった症状を引き起こします。
女性の場合は生理の経血により鉄分を失いやすいため、男性よりも不足しがちな栄養素です。
タンパク質不足
タンパク質は筋肉や骨、臓器、血液など、身体を作るために必要な栄養素ですので、身体を維持する上で欠かせないものです。
不足すると筋肉量の減少や筋力の低下、貧血を引き起こして、疲れやすくなることがあります。
他にも、「ドーパミン」や「セロトニン」など脳内の神経伝達物質も作り出せなくなります。
「ドーパミン」は意欲や学習能力に関係し、「セロトニン」は精神を安定させるという役割があるため、不足すると意欲低下から精神的に疲れを感じやすくなることがあります。
ビタミンB不足
ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質といった栄養素からエネルギーを産生するときに必要になります。
とくにビタミンB1、B2、B6は疲労回復に深く関わっているため、不足すると疲れやすさを感じやすいです。
それぞれのビタミンBの特徴は以下の通りです。
【ビタミンB1】
ビタミンB1は糖質の代謝に関わるものです。
不足すると糖質からエネルギーを作りにくくなり、疲れ、倦怠感、食欲不振などの不調を招くことがあります。
【ビタミンB2】
ビタミンB2は主に脂質の代謝に関わるものです。
不足すると疲れ、口内炎、肌荒れなどの不調を招くことがあります。
【ビタミンB6】
ビタミンB6は主にタンパク質の代謝に関わるものです。
赤血球の合成や「セロトニン」「ドーパミン」といった脳内の神経伝達物質の合成にも関わりがあり、不足すると疲れ、貧血、免疫力低下、うつ症状などを招くことがあります。
体が疲れやすい!疲れを解消するための対策方法
疲れやすさには普段の行為や食事が影響していることがあるため、体が疲れやすいと感じたときは生活習慣や食事内容を見直してみましょう。
ここでは、日常生活でできる疲れを解消するための対策方法を紹介します。
Step1:胃腸をしっかり休ませる
まずは、日頃から酷使してきた胃腸をしっかりと休ませることから始めてみましょう。
胃腸の疲れを解消するには、1〜2日ほど胃の負担が少ない食事を摂ることがおすすめです。
お粥や煮込みうどん、白身魚や鶏のささみなどは胃の負担が少ない食事や食材の例ですので試してみてください。
Step2:胃腸に負担のかからない食事法を心がける
胃腸の疲れを解消したいときは、普段から胃腸に負担のかからない食事法を心がけるようにしましょう。
脂肪分の高い食べ物は胃腸に負担をかけるため、揚げ物や脂肪分の多い肉類、乳製品、スナック菓子などは控えることがおすすめです。
魚や鶏むね肉、玄米などを意識的に摂取することで、胃腸の負担を減らすことができます。
また、食べ過ぎで胃に負担がかかっている場合は、食事量を調整することも大切です。
腹8分目を意識して、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
Step3:栄養素をしっかり摂取する
疲れやすいときは糖質、鉄分、タンパク質、ビタミンB群といった栄養素が不足しがちなので、栄養が偏らないようにさまざまな食べ物をバランスよく摂取することが大切です。
とくに、ビタミンB1、B2、B6を意識的に摂取すると、疲労回復に役立ちます。
ビタミンB1、B2、B6が豊富な食べ物は以下の通りです。
【ビタミンB1】
【ビタミンB2】
【ビタミンB6】
▶︎ビタミンBについて詳しく知りたい人はこちら
食事から摂取が難しい場合は、栄養補給の効果が期待できる市販薬を取り入れるのもおすすめです。
糖質、鉄分、タンパク質、ビタミンB群だけでなく体内で生成することが難しいミネラルや体の20%を占めるといわれているアミノ酸なども補給できるような商品が良いでしょう。
Step4:積極的に外出をする
胃腸をしっかり休ませ、普段の食事内容の見直しができたら、積極的に外出してみましょう。
日光を浴びて活動することで、セロトニンの分泌やビタミンDの生成を促してくれます。
体内時計がリセットされて疲れを解消しやすくなりますので、ぜひ取り入れてみてください。
また、買い物やレジャーに出かけたり、外で活動する趣味を作って楽しんだりすることもストレス解消に役立ちます。
人との交流が少ない人は、友達や家族を誘って出かけるのもおすすめです。
Step5:体に余裕が出てきたら軽い運動を取り入れる
運動不足によって疲れている人は、体を動かすことが効果的です。
ただし、運動習慣のない人は、急に運動量を増やすと負担を感じることがあります。
ちょっとした動作でも疲れを感じやすいため、いつもより多めに歩くようにするなど、日常生活の中で少しずつ体を動かす機会を増やしてみましょう。
体が慣れてきたら、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど軽めの有酸素運動を1日30分程度行うのがおすすめです。
自分に合う方法で、徐々に運動量を増やしていきましょう。
疲れやすい症状にはこんな病気が潜んでいる可能性!
疲れやすい症状があるときは、病気が潜んでいる場合もあります。
病気によって疲れやすい症状が現れているときは専門的な治療が必要になるため、上記の対策を行っても改善しない場合は早めに医療機関で医師に相談することが大切です。
ここでは、疲れやすい症状が現れる代表的な病気について紹介します。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は日常に支障が出るほどの強度の疲労を感じ、その状態が6か月以上続く病気です。
ストレスを感じる状況のあとに発症することが多く、それまで健康だった人に突然発症することがあります。
強い疲労感とともに、微熱、脱力感、集中力の低下、不眠、頭痛、筋肉痛、関節痛、腹痛、抑うつ症状などが現れることもあります。
慢性疲労症候群のはっきりとした原因はわかっておらず、明確な治療法はありません。
そのため、鎮痛剤、抗うつ薬、漢方薬など、現れている症状に合わせた治療が行われます。
糖尿病
糖尿病は膵臓から出るインスリンの働きが不十分になり、慢性的に血糖値が高くなる病気です。
糖尿病には、以下のような種類があります。
【1型糖尿病】
主な原因は自己免疫疾患と考えられており、インスリンがほとんど出なくなることで発症します。
【2型糖尿病】
40歳以上の人に多く、遺伝的な影響や運動不足、食べ過ぎ、飲み過ぎなどの生活習慣が原因です。
インスリンが分泌されても量が足りなかったり十分に作用しなかったりすることで発症します。
出典:厚生労働省Webページ
他にも妊娠中に起こる妊娠糖尿病や内分泌疾患、薬剤などから引き起こされる糖尿病もありますが、もっとも一般的なのは2型糖尿病です。
糖尿病の症状は疲れやすくなる以外に、喉の渇きや、頻尿などの症状が現れることがあります。
自律神経失調症
自律神経失調症は、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることで起こる症状の総称です。
主な原因は、不規則な生活、ストレス、過労、睡眠不足、ホルモン分泌量の低下などです。
自律神経は循環器に働きかけて血流をコントロールしています。
何らかの原因で自律神経のバランスが崩れて血液の流れが悪くなると、全身に栄養が行き渡りにくくなり、疲労物質が停滞して疲れやすい症状が現れることがあります。
また、自律神経は全身の器官の機能をコントロールしているため、バランスが崩れると以下のような症状が現れることがあります。
だるい、眠れない、イライラ、不安感、集中力の低下、口腔内の不快感、冷え、動悸、肩こり、関節痛、頭痛、息切れ、耳鳴り、めまい、立ちくらみ、下痢、便秘、生理不順、頻尿、発汗など |
症状の現れ方には個人差があり、複数の症状が現れる場合も珍しくありません。
改善するには症状に応じた治療を受け、生活習慣の見直しやストレスのコントロールをすることが大切です。
他にも、疲れやすいという症状が現れる病気は、以下のようなものがあります。
うつ病、適応障害、更年期障害、睡眠障害、機能性月経困難症、貧血、低ナトリウム血症、腎不全、脂肪肝、慢性肝炎、不整脈、甲状腺機能低下症、甲状腺腫瘍、膠原病など |
疲れやすいときはさまざまな原因が考えられるため、不安があるときは医師に相談しましょう。
まとめ
体がすぐに疲れてしまう原因は、胃腸の機能の低下によるものかもしれません。
疲れやすさを感じたら、生活の基本となる食生活を見直したり、休みなく動かしている胃腸を少し休ませたりしてみましょう。
運動不足といった生活習慣が関わっている場合もあるので、まずは上記Step1-5を参考にするなどして、少しずつ疲れにくい身体作りにチャレンジしてみてもいいかもしれません。
ただし、長期間にわたる身体的、精神的な疲労や異常を感じる疲れは、病気が関わっている可能性もあります。
疲れやすい症状があるときは、心療内科、精神科、内科などの診療科で医師に相談しましょう。
疲れやすい症状に伴って胃腸の異常もある場合は内科や消化器内科、生理不順といった不調もあるときは婦人科を選ぶとよいでしょう。
気になる症状がある人は早めに医師に相談し、原因に合わせた治療を受けましょう。