おならが臭い原因はコレだった!腸に良いと思っていたものがニオイの原因かも?!

おならのニオイの原因は、主に腸内細菌の乱れです。

しかし、体質によっては腸に良いといわれている食品が原因になる可能性もあります。

今回は、おならのニオイが気になる人に向けて、おならが出るメカニズム、おならが臭い原因、臭いおならの改善方法について詳しく紹介します。

 

おならとは?おならが出るメカニズム

私たち人間は食事をしているときに、食べものと一緒に空気を飲み込みます。

飲み込んだ空気が腸に運ばれると、腸内細菌が食べ物を分解するときに発生したガスや、血液から腸粘膜を通って出てきたガスと混ざります。

空気と体内のガスが混ざったものが直腸を通り、肛門から体外へ排出されたものが「おならです。

成人の場合1日0.5〜1.5リットル程度のおならが作られており、約85%は血液中に吸収され、残りの約15%が約5〜20回に分けて肛門から排出されています。

ちなみに、胃や腸に運ばれた空気が逆流して口から排出されたものが「げっぷ」です。

 

<おならのニオイの正体>

おならは飲み込んだ空気が約7割、血液から腸の粘膜を通って出てきたガスが2割、腸内細菌の働きによって発生したガスが約1割を占めています。

飲み込んだ空気や血液から腸の粘膜を通って出てきたガスはほぼ無臭です。

おならのニオイの正体は腸内細菌が食物を分解するときに発生するガスの成分です。

摂取した食べ物によって発生するガスの種類は異なり、おならのニオイの成分には硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、インドール、スカトールなどがあります。

ニオイの成分ニオイの種類
硫化水素卵の腐ったようなニオイ
二酸化硫黄マッチをすったときのような刺激臭
二硫化炭素独特の不快臭
インドール大便臭
スカトール大便臭

硫黄分が多い食べ物(玉ねぎ、ニラ、にんにくなど)、動物性たんぱく質が多い食べ物(魚・肉・卵など)を過剰摂取すると、これらのニオイ成分が発生しておならが臭くなる原因になります。

 

おならが臭い主な原因は『腸内細菌の乱れ』

【画像・左】腸内環境の良い状態  画像・右】腸内環境の悪い状態

腸内には約100兆個・約1,000種類の細菌が棲みついており、腸内細菌の種類は以下の3つのグループに分けられます。

出典:腸内細菌と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)清水 純

善玉菌悪玉菌日和見菌
主な菌種・乳酸菌

・ビフィズス菌

・大腸菌(有毒株)

・ウェルシュ菌

・ブドウ球菌

・バクテロイデス

・大腸菌(無毒株)

・連鎖球菌

主な働き・悪玉菌の侵入や増殖を抑える

・腸のぜん動運動を促す

・有害物質を発生させる

・腸内の腐敗を促進させる

・善玉菌が多いときは大人しい

・悪玉菌が多いときは悪玉菌と同じ働きをする

体に良い働きをする善玉菌は、糖質や食物繊維をエサにして増殖します。

善玉菌によって糖質や食物繊維が分解されるときには、メタンや水素、二酸化炭素といったほとんど無臭のガスが発生します。

一方、悪玉菌は動物性たんぱく質や脂質をエサにして増殖します。

悪玉菌が動物性たんぱく質を分解するときに発生するのが、硫化水素やスカトール、インドールなどのニオイのあるガスです。

 

そのため、臭いおならが出るときは、悪玉菌が増えているサインといえます。

腸内細菌の理想的なバランスは、「善玉菌:2・悪玉菌:1・日和見菌:7」の割合です。

臭いおならが出るときは、「バランスの取れた食生活」「適度な運動」「良質な睡眠」を意識した腸活を行い、善玉菌優勢の腸内環境を目指すようにしましょう。

 

\腸活についてより詳しく知りたい人はこちら/

腸内環境を整えたい!効果のある食べ物や三種の菌とは?腸内環境改善のメリット

 

<胃腸機能のトラブルがおならの原因になる場合も>

消化不良や胃腸のぜん動運動の低下といったトラブルがあるときも、おならが出ることがあります。

 

【消化不良】

食べすぎ、飲みすぎ、ストレスなどで消化不良が起きているときは、食べ物が十分に消化されないまま大腸に送られます。

未消化のままの食べ物が多いと悪玉菌が増殖して腐敗が進み、臭いおならが出ることがあります。

消化不良は腸のぜん動運動を活発にして、下痢を引き起こすこともあります。

 

【胃腸のぜん動運動の低下】

食事と共に飲み込んだ空気は、胃のぜん動運動によって口から排出されます。

しかし、加齢やストレス、病気などによって胃のぜん動運動が低下すると、口から空気を吐き出せなくなり腸に空気が送られます。

これにより、お腹が張りおならが出やすくなります。

この場合、悪玉菌による腐敗が起きているわけではないため、おならをしてもニオイは少ないのが特徴です。

 

腸活をしているのに便秘・下痢・おならのニオイが気になるならコレが原因かも!

腸活をしているのに便秘・下痢・おならのニオイが気になる場合、体質や病気が関わっている可能性があります。

ここでは、便秘・下痢・おならのニオイを招く原因を3つ紹介します。

 

乳糖不耐症

乳糖不耐症は、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を分解するラクターゼという消化酵素の分泌不足によって、下痢や腹痛などの症状が起こるものです。

小腸で消化しきれなかった乳糖が大腸に届くと、悪玉菌が分解して多量にガスを発生させ、お腹がゴロゴロと鳴ったり臭いおならが出たりすることがあります。

意識的に腸内環境によい食事をしているのに、臭いおならが出たりおなかの調子が優れないなら、乳糖不耐症の可能性があります。

症状が疑われる場合、3〜4週間乳製品を除いた食事を続けてみましょう。

 

その後乳製品を摂取した際に再び症状が再び現れる場合、乳糖不耐症である可能性が高いです。

判断が難しい場合や、心配な時は消化器内科を受診しましょう。

 

FODMAP食品

FODMAP(フォドマップ)は小腸内で消化吸収されにくく大腸で発酵しやすい4種類の糖質の総称で単語の頭文字から付けられたものです。

英語表記糖質の種類含まれる食品例
Oligosaccharidesオリゴ糖小麦

玉ねぎ

納豆

レンズ豆

ひよこ豆

Disaccharides二糖類乳糖

牛乳

ヨーグルト

Monosaccharides単糖類はちみつ

りんご

ドライフルーツ

Polyolsポリオールソルビトール

キシリトール

※その他の頭文字は『F:Fermentable(発酵性の〜)、A:and』という意味

FODMAPは短鎖炭水化物(たんさたんすいかぶつ)と言われ、小腸内で分解・吸収がされにくい糖類です。

FODMAPが多く含まれている「高FODMAP食品」を食べすぎると、消化吸収されなかったFODMAPが小腸内に留まります。

そうすると、浸透圧(水分を引きつける力)が高まって腸内の水分が多くなり、ぜん動運動が過剰になって下痢や腹痛の原因になります。

さらに、吸収されなかったFODMAPが大腸に届くと腸内細菌のエサになり、異常発酵を起こしてガスの発生、便秘、腹部膨満感といった症状を引き起こすことがあります。

 

ここで注意したいのは、FODMAP食品が悪いのではなく、体質に合わない人がいるということ。

とくに過敏性腸症候群の人が高FODMAP食品を食べると、腹痛や下痢・腹部膨満などの腹部症状が起こる可能性があります。

4種類のうち、どの糖質が体質に合わないのかは人それぞれなので、「低FODMAP食事法」で体質に合わないFODMAP食品を特定することが大切です。

 

【低FODMAP食事法】

  1. FODMAPを含まない食事をする(目安期間:3週間)
  2. FODMAPを1種類ずつ試す(目安期間:1週間ごと)

ただし、低FODMAP食事法は自己判断で行うと栄養バランスが偏ってしまう場合もあるため、医師や管理栄養士に相談してから進めてください。

 

消化器系の疾患・病気

以下のような消化器系の病気は、症状のひとつとして下痢や便秘、臭いおならが出るといったお腹の不調が現れることがあります。

 

【過敏性腸症候群】

過敏性腸症候群は、腸に異常がないのに慢性的な腹部膨張感や腹痛、下痢、便秘、臭いおならが出るなどの症状が起こる状態のことです。

原因ははっきりしていませんが、ストレスや自律神経失調症などの影響で腸が刺激に過敏になり、症状が引き起こされると考えられています。

また、高FODMAP食品を食べすぎると症状が悪化するといわれています。

 

【大腸がん】

大腸がんは大腸(結腸、直腸)に発生するがんで、肉や乳製品を中心とした「食事の欧米化」が発症リスクを高める原因のひとつとされています。

大腸がんは早期段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると便に血が混ざる、便秘と下痢を繰り返す、お腹が張る、便が細くなるといった症状が現れることがあります。

大腸がんが発生して便秘気味になるとおならが臭くなることもあります。

上記の症状があり、心配な場合は、早めに病院(消化器内科)を受診しましょう。

 

臭いおならを改善する方法

臭いおならが出るときは、食事や生活習慣を見直してみましょう。

ここでは、日常生活でできる臭いおならを改善する方法を3つ紹介します。

 

動物性たんぱく質や高脂肪食品の摂取を控える

悪玉菌は、動物性たんぱく質や脂質をエサにして増えるため、動物性たんぱく質や高脂肪食品の量が多いとおならが臭くなります。

とくに、脂肪の多い肉類はおならのニオイが臭くなりやすいので、肉中心の食事が多い人は注意しましょう。

 

腸内環境を整える食品を摂取する

臭いおならを改善するには、善玉菌が優勢な腸内環境を目指すことが大切です。

腸内に善玉菌を補い、育てる働きをしてくれる以下の食品を意識的に摂取するようにしましょう。

 

①プロバイオティクス

腸内フローラのバランスを改善し、人間(宿主)の健康に良い影響を与える生きた微生物(善玉菌)です。

乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌、納豆菌、酪酸菌などが当てはまり、味噌、ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、甘酒といった発酵食品に含まれています。

 

②プレバイオティクス

腸内の善玉菌のエサになり、善玉菌を育てる難消化性食品成分のことを指します。

食物繊維・レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)・オリゴ糖などが当てはまり、冷えたご飯、海藻類、根菜類、大豆食品などに含まれます。

ただし、乳糖不耐症や過敏性腸症候群の疑いのある人は、これらの食品が体質に合わない場合もあるので注意しましょう。

 

\腸内環境を整える食事について詳しく知りたい人はこちら/

腸内環境を整えたい!効果のある食べ物や三種の菌とは?腸内環境改善のメリット

 

整腸薬を服用する

腸内環境は食事で改善するのが基本ですが、食事を見直しても改善しない場合や食事を見直すことが難しい場合は、整腸薬を服用することもひとつの方法です。

整腸薬選ぶ際には、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスと、食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスの両方が含まれる商品を選ぶことがおすすめです。

両方をバランスよく摂取することで、より効率的に腸を正常な状態に近づけてくれます。

食生活を急に変えることが難しい人は、整腸薬の活用もぜひ検討してみてください。

 

自律神経を整える

腸の動きには自律神経が深く関わっています。

自律神経とは、呼吸や血圧、代謝、内臓の働きなど体内の特定の機能をコントロールする神経のことです。

体と心を活動的にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経がバランスを取りながら私たちの体を支えています。

副交感神経が優位なときは腸の動きが活発になり、交感神経が優位なときは腸の動きが鈍くなります。

腸の動きが鈍くなると、腸内環境が乱れて臭いおならが出やすくなります

臭いおならが出ているときは、以下のような生活習慣を意識して自律神経を整えましょう。

 

<適度な運動をする>

ウォーキング、ストレッチ、ヨガなど適度な運動は、副交感神経を優位にする効果が期待できます。

一方で、激しい運動は交感神経を優位にさせてしまうので控えましょう。

 

<良質な睡眠をとる>

副交感神経は睡眠時に優位になるため、良質な睡眠をとると腸の動きが活発になります。

ぐっすりと眠れるように睡眠環境を整えて、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

具体的には、以下のような点に注意してください。

  • 寝室を快適に保つ(清潔さ・適切な温度・湿度・適切な暗さ)
  • 毎日規則正しい時刻に起床する
  • 就寝前の食事は避ける
  • 就寝前のたばこ、カフェイン、アルコールは避ける
  • 就寝する2〜3時間前に入浴する
  • 就寝前にスマホやパソコンを見ない

 

よくある質問

ここでは、おならに関するよくある質問と回答を紹介します。

 

便秘じゃないのにおならが臭いのはなぜですか?

便秘ではなくても、肉類の食べ過ぎや自律神経の乱れなどで腸内環境が悪化しているとおならが臭くなります。

また、乳糖不耐症、FODMAP食品、病気などが原因となっている可能性もあります。

気になる症状がある時は早めに病院を受診することをおすすめします。

 

おならがたくさん出る原因は何ですか?

おならがたくさん出るのは、以下のようなことが関係している場合があります。

【食事の影響】

・食物繊維の食べ過ぎ

豆類・いも類・キャベツなど食物繊維の多い食べ物を過剰に摂取すると、腸内でガスが多く発生しておならが出やすくなります。

・動物性食品の食べ過ぎ

肉類や卵など動物性食品を食べすぎると、悪玉菌が増え、おならが出やすくなります。

・炭酸飲料の飲み過ぎ

炭酸は体内で二酸化炭素と水に分解されるため、ビールや炭酸入りジュースなどの発泡飲料を飲みすぎると体内のガス量が増えておならが出やすくなります。

・早食い

早食いをすると、食べ物と一緒に飲み込む空気が増えておならが出やすくなります。

 

【腸内環境の乱れ】

食生活の乱れやストレス、不規則な生活、便秘などにより腸内環境が乱れると、ガス量が増えておならが出やすくなります。

 

【禁煙】

禁煙するとプロテオバクテリアやバクテロイデスという腸内細菌が増えて腸内環境が変化し、食べ物が分解されやすくなります。

そのため、禁煙を始めてから2週間程度は食べ物を分解しすぎてガスが多く発生し、おならが出やすくなることがあります。

 

【病気】

過敏性腸症候群、クローン病、慢性胃炎などの病気により、おならが出やすくなることがあります。

また、ストレスや緊張などが原因で、日常的に空気を飲み込んでしまう吞気症(どんきしょう)もおならが出やすくなる病気のひとつです。

たくさん出るおならに悩んでいる場合は、食事内容を見直す、腸内環境を整える、ゆっくりよく噛んで食べることを意識しましょう。

ただし、おならがよく出るのは病気の可能性もあるため、気になるときは病院を受診しましょう。

 

おならが硫黄くさいのはなぜですか?

おならから卵の腐ったようなニオイがするときは、腸内で硫化水素が発生している可能性があります。

肉や卵などのたんぱく質、玉ねぎ、ニラ、にんにくなどの硫黄化合物の多い食べ物を食べると、おならのニオイの原因になります。

気になるときは普段の食事を見直して、原因となる食品を控えるのがおすすめです。

 

おならを我慢することは身体に悪いですか?

おならを我慢することは、身体によくありません。

おならを我慢すると腸内にガスが溜まり、周囲の臓器を圧迫して腹痛が起こることがあります。

また、腸の働きを悪化させて便秘を招き、最悪の場合は腸が詰まってしまう「腸閉塞」という病気を引き起こす可能性もあるので、おならは我慢しないようにしましょう。

 

ちなみに、おならを我慢すると腸内に溜まったガスは血液中に溶け込み、全身に運ばれて皮膚や呼気から排出されます。

そのため、おならを我慢しすぎると体臭や口臭が強くなる場合もあります。

おならを我慢するのではなく、腸内環境を整えて、ガスの量やニオイのあるガスを減らすことを目指しましょう。

 

まとめ

おならは生理現象なので、出ること自体は悪いことではありません

しかし、おならのニオイがきつく感じる場合は、腸内細菌の乱れにより腸内環境が悪化している可能性があります。

腸内環境の乱れは、不規則な生活や食事が影響している場合があるため、生活習慣の見直しや腸内環境を整える食品を取り入れてみましょう。

ただし、体質によっては腸内環境を整える効果のある食品が合わない人もいるため、自分の身体に合う方法を見つけることが大切です。

生活習慣や食習慣を改善したのに、思うような変化が見られない場合は医師に相談することをおすすめします。