カルシウムは、骨や歯を丈夫にする働きがある身体にとって重要なミネラルのひとつです。
カルシウム不足になるとカラダに不調が起きたり、骨粗しょう症のリスクが高まったりするので、毎日の食事で上手に摂取することが大切です。
しかし、日本人のカルシウム平均摂取量は、推奨量に比べて不足しているのが現実です。
そこで今回は、カルシウムを多く含む食品ランキングと、効率よく摂取できる方法・手軽に作れる簡単レシピについて紹介します。
カルシウムが多く含まれる食品一覧
カルシウムは、どのような食品に含まれているのでしょうか。
カルシウムが多く含まれる食品を、食品群ごとにランキングで紹介します。
カルシウムが多く含まれる魚介類
骨ごと食べられる小魚や、水分がなくなり体積が小さくなった干物は、効率よくカルシウムを摂取することができる食材です。
良質なタンパク質や脂質も一緒に摂取できるので、積極的に食事に取り入れましょう。
カルシウムが多く含まれる野菜類
野菜からはカルシウムだけでなく、食物繊維や豊富なビタミンを摂取することができます。
葉もの野菜にカルシウムが多く含まれるので、お浸しやお味噌汁の具材として毎日の食卓に取り入れるのがおすすめです。
カルシウムが多く含まれる大豆食品
大豆食品からは、カルシウムとともに良質なタンパク質を摂取することができます。
冷奴やお味噌汁の具としてなど、調理も比較的手間がかからないので、積極的に食卓に取り入れましょう。
カルシウムが多く含まれる乳製品
乳製品はカルシウム含有量が多く、一度に多くのカルシウムを摂取することができます。
食事や間食に取り入れて、効率的にカルシウムを摂取しましょう。
カルシウムを多く含む食品TOP10
カルシウムは、魚介類・野菜類・大豆食品・乳製品などに多く含まれています。
焼き魚、冷奴、お味噌汁といった和食中心の食生活にすることで、カルシウムを自然に摂取することができます。
自炊するのが難しい人は、コンビニでも手に入りやすい牛乳やチーズなどを間食に取り入てみると良いでしょう。
カルシウムの効率的な摂り方のポイント
ここからは、カルシウムの効率的な摂り方のポイントについて紹介します。
3食バランスよく食べる
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、カルシウムの1日の推奨量を以下のように定めています。
【カルシウム推奨量】
年齢 | 男性(mg/1日) | 女性(mg/1日) |
1〜2歳 | 450 | 400 |
3〜5歳 | 600 | 550 |
6〜7歳 | 600 | 550 |
8〜9歳 | 650 | 750 |
10〜11歳 | 700 | 750 |
12〜14歳 | 1,000 | 800 |
15〜17歳 | 800 | 650 |
18〜29歳 | 800 | 650 |
30〜49歳 | 750 | 650 |
50〜64歳 | 750 | 650 |
65〜74歳 | 750 | 650 |
75歳以上 | 700 | 600 |
注意点は、一度で体内に吸収できるカルシウムの量には限りがあること。
一度の食事で摂取しようとせず、3食の食事からバランスよくカルシウムを摂取するようにしましょう。
カルシウムの吸収率を高める「ビタミンD」と一緒に摂取する
カルシウムは吸収されにくい栄養素で、食品によって吸収率は異なります。
食品別のカルシウム吸収率は、野菜が19%、小魚が33%なのに対して、牛乳は40%※です。
※カルシウムの吸収率比較試験
対象:健康な成人女性9名
実験方法:出納法による食品および食品別のカルシウム吸収比較試験
そのため、カルシウムをしっかり摂取しているつもりでも、実際に体内に吸収されるカルシウム量は想定よりも低くなってしまうのです。
そこで活躍するのが、脂溶性ビタミンである「ビタミンD」です。
口から摂取したカルシウムは、ビタミンDのサポートによって腸で吸収され、血液中に入って全身に運ばれていきます。
そのため、カルシウムを効率よく摂取するには、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDが欠かせません。
【ビタミンDが多く含まれる食品】
- 鮭
- さんま
- まあじ
- しらす干し
- 乾燥キクラゲ
- 干し椎茸
- 鶏卵
ビタミンDは、魚介類、キノコ類、卵類、乳類に多く含まれています。
カルシウムが多く含まれる食品と組み合わせて食事を摂るよう心がけましょう。
ちなみに、ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でも合成されます。
外出をする機会が少ない人は、意識的に太陽光を浴びてビタミンDの体内合成を促すよう心がけましょう。
カルシウムを骨に定着させる「ビタミンK」と一緒に摂取する
脂溶性ビタミンの「ビタミンK」は体内の腸内細菌によって合成されているビタミンで、さまざまな食品からも摂取できます。
ビタミンKはカルシウムを骨に定着させる働きがあり、骨粗しょう症の治療薬にも使用されています。
【ビタミンKが多く含まれている食品】
- 納豆
- わかめ
- 海苔
- 小松菜
- ブロッコリー
- モロヘイヤ
- 大豆油
ビタミンKは腸内細菌によって作られるので、不足することはほとんどありません。
しかし、抗生物質を長期服用している人や加齢によって膵液や胆汁の分泌量が減少している人は、ビタミンKが不足する恐れがあります。
ビタミンKの1日の摂取目安量は成人男女ともに150㎍で、健康被害がみられないことから上限量は設定されていません。
ただし、血栓を防ぐ薬(ワ-ファリン)を服用している場合は、ビタミンKを多く含む食品を摂取すると薬の作用が低下することがあるので注意が必要です。
カルシウムの吸収を妨げる「リン酸」を避ける
食品内には「リン」というミネラルが含まれており、腸で吸収されるとほとんどがリン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして骨や歯の構成成分になります。
リン酸は骨や歯を作るのに必要な成分ですが、過剰に摂取するとカルシウムの吸収を阻害してしまうので注意が必要です。
リンは食品添加物としていろいろな食品に含まれているケースも多く、気づかないうちに摂りすぎている場合があります。
【リンが多く含まれる食品】
- 魚介類:煮干し・さくらえび素干し・しらす干し・ししゃも
- 豆類:納豆・きなこ・乾燥大豆
- 魚卵:たらこ・いくら
- 乳製品:牛乳・ヨーグルト
- 肉類:豚レバー・鶏レバー
【食品添加物としてリンが含まれている可能性がある食品】
- 加工食品:ハム・魚肉練り製品・缶詰・漬け物
- インスタント食品
- 冷凍食品
- 清涼飲料水
- 菓子
一般的な食品から摂取する分には問題ありませんが、加工食品を食べる機会が多い人は、過剰摂取になっている場合があるので気をつけましょう。
カルシウムが手軽に摂れる!おすすめ簡単レシピ
ここでは、カルシウムが手軽に摂れる簡単レシピを紹介します。
ビタミンDとビタミンKも一緒に摂取できるレシピなので、効率よく栄養補給をしたい人におすすめです。
高菜とじゃこのチャーハン
【調理時間】
10分
【栄養素】
ちりめんじゃこは、カルシウムとビタミンDが豊富で鶏卵にもビタミンDが含まれています。
高菜漬けは栄養価が高く、カルシウムやビタミンKの他にもβカロチン・ビタミンC・ビタミンB群・カリウム・鉄・乳酸菌などが摂取できます。
【材料(2人分)】
- 炊きたてごはん‥茶碗2杯分
- 鶏卵‥1個
- ちりめんじゃこ‥30g
- 高菜の漬け物‥30g
- 酒‥大さじ1
- しょうゆ‥小さじ1/2
- 顆粒チキンスープの素‥小さじ1/2
- 塩こしょう‥少々
- ゴマ油‥大さじ1
【作り方】
- 高菜漬けはみじん切り、たまごを溶きほぐしておく
- フライパンにごま油を入れて熱し、溶き卵を加える
- 半熟になったら、ちりめんじゃこ・高菜漬け・炊きたてごはんを加えて炒める
- 全体がなじんだら、酒・しょうゆ・顆粒チキンスープの素を加えて軽く炒める
- 塩こしょうで味をととのえて完成
【ポイント】
ビタミンD・ビタミンKなどの脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
そのため、油を使うチャーハンは脂溶性ビタミンの摂取に適した調理法です。
鮭と小松菜のシチュー
【調理時間】
20分
【栄養素】
牛乳を使うクリームシチューは、カルシウムを摂取したいときにぴったりのメニューです。
カルシウム・ビタミンKが豊富な小松菜と、ビタミンDが摂れる鮭・しめじを合わせるとカルシウムの吸収率を高めることができます。
【材料(4〜5人分)】
- シチュールウ‥1/2箱
- 生鮭‥2切れ(200g程度)
- 玉ねぎ‥中1個
- にんじん‥小1/2本
- 小松菜‥1束
- じゃがいも…小1個
- しめじ‥1パック
- 水‥500ml
- 牛乳‥100ml
- バター‥20g
【作り方】
- 生鮭を食べやすい大きさに切り、玉ねぎは薄切り、にんじんはいちょう切り、じゃがいもは乱切りにする
- 小松菜を洗って4〜5cm程度に切り、しめじは小房に分ける
- 鍋にバターを入れて熱し、生鮭・玉ねぎ・にんじん・じゃがいも・小松菜の茎部分を入れて炒める
- 軽く火が通ったら小松菜の葉部分・しめじを入れ、水を加えて具材が柔らかくなるまで煮込む
- 一旦火を止め、シチュールウを入れて溶かしたら弱火でとろみがつくまで煮込む
- 牛乳を入れて軽く煮込んだら完成
【ポイント】
脂溶性ビタミンのビタミンDが含まれる鮭やしめじを油で調理することで、栄養吸収率がアップします。
使用するルウによって分量は異なるため、パッケージに記載されている作り方を確認して調整してください。
小松菜から水分が出るので、記載されている水分量よりも少なくするのがおすすめです。
カルシウムにまつわるQ&A
ここからは、カルシウムが不足する原因、不足した時に起こる症状などカルシウムにまつわるQ&Aを紹介します。
Q.カルシウムが不足する原因はなんですか?
日本の水のほとんどが軟水のためカルシウム含有量が少なく、火山灰地が多い日本の土壌もカルシウムがあまり含まれていません。
日本人がカルシウム不足傾向にあるのは、カルシウム含有量が少ない水や土壌で育った野菜を食べていたり、軟水を飲料水として摂取していたりすることが原因としてあげられます。
また、和食には煮干しやひじきの煮物などカルシウムを含む料理もありますが、カルシウムの吸収率が良い牛乳や乳製品は基本的に使いません。
そのため、食生活でカルシウムを摂取する機会が少ないことも、不足する原因といえます。
Q.カルシウムが不足した時に起こる症状はなんですか?
カルシウムが不足すると、以下のような症状が起きる可能性があります。
- 筋肉や全身のけいれん
- 体のしびれ
- 疲れやすい
- 皮膚の乾燥
- 骨折
- 記憶障害
- 虫歯
さらに、慢性的にカルシウムが足りなくなると、以下のような病気を引き起こします。
- 骨粗鬆症
- 高血圧
- 動脈硬化
- 糖尿病
- アルツハイマー病
- 変形関節症
女性の場合、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下すると骨折しやすくなったり骨粗鬆症が発生しやすくなったりします。
これは、女性ホルモンに骨の形成をサポートする働きがあるからです。
そのため、女性ホルモンが減少し始める40代以降の女性や更年期の女性は、意識的にカルシウムを摂取することをおすすめします。
また、骨や歯の成長にカルシウムが関わっているため、子どもがカルシウム不足になると身長が伸びない・骨が弱くなるなど発達に支障をきたす可能性もあります。
Q.カルシウムを摂りすぎるとどうなりますか?
カルシウムを摂りすぎると、便秘になったり鉄や亜鉛などのミネラルの吸収が妨げられたりする恐れがあります。
また、カルシウムの過剰摂取は以下のような病気のリスクを高めます。
- 高カルシウム血症
- 高カルシウム尿症
- 前立腺がん
- 腎臓結石
- 尿路結石
カルシウムの耐容上限量は、成人男女ともに2,500mgと定められています。
通常の食事で耐容上限量を超えることはほとんどありませんが、サプリメントを使用する際は注意が必要です。
市販のカルシウムサプリは多く販売されており、吸収率を高めるビタミンDや他の栄養素が一緒に含まれている商品もあります。
不足しがちなカルシウムを補うにはサプリの活用は有効ですが、手軽に摂れることで過剰摂取になるリスクもあります。
そのため、カルシウムはなるべく食事から摂取するのがおすすめです。
サプリを使用する場合は、パッケージに表示されている摂取方法や目安量を守り、1日の耐容上限量を超えないようにしましょう。
まとめ
健康な身体を維持する上で、カルシウムは欠かせない栄養素です。
とくに成長期の子供や、女性ホルモンが減少し始める40代以降の女性は、カルシウムをしっかり摂取するよう心がけましょう。
カルシウムを効率よく摂取するには、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDや、カルシウムを骨に定着させてくれるビタミンKのサポートが重要です。
今回紹介した内容を参考にカルシウムを効率よく摂取して、健康的な身体を目指してください。