ビール酵母とは何?ビール酵母に含まれる栄養と身体への働きについて解説!

ビールを製造する過程で使用されるビール酵母には、健康をサポートするさまざまな栄養が含まれています。

今回はビール酵母の特徴や働き、ビール酵母に含まれる栄養、ビール酵母がおすすめの人について詳しく解説します。

 

そもそもビール酵母とは何?

ビール酵母はビールの製造過程で使用される酵母(微生物の一種)のことです。

ビール酵母は直径5〜10μmの球形または卵型で、硬い細胞壁に覆われており、糖質をアルコールと炭酸ガスに分解する「発酵」という働きがあります。

 

また、発酵する過程で​​栄養分を吸収するのもビール酵母の特徴のひとつです。

ビールは麦汁にビール酵母を加えて発酵させて、熟成したものを濾過して作られます。

濾過したあとに残ったビール酵母には、麦汁の栄養成分が豊富に含まれています

そのため、ビール作りの副産物として生まれた栄養たっぷりのビール酵母を乾燥して加工し、栄養補助食品や整腸薬などの原材料として活用されています。

 

ビール酵母に含まれる栄養

ビール酵母には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などさまざまな栄養素が含まれています。

これらの栄養素には、身体を作ったり身体の調子を整えたりするなどそれぞれ違う働きがあります。

ビール酵母に含まれる栄養素と主な働きを確認してみましょう。

 

ビタミン

ビール酵母には、主にビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)が含まれています。

私たちは脂質、糖質、タンパク質といった3つの栄養素によって、エネルギーを産生していますが、これらの栄養素を得るだけではエネルギーとして使うことができません。

ビタミンB群は、栄養素からエネルギーを生成するエネルギー代謝を行う酵素の働きを補酵素として助ける役割があります。

脳や皮膚、神経などの健康維持に役立つ栄養素ですので、積極的に取り入れましょう。

 

ミネラル

ビール酵母には骨や歯の構成成分となるカルシウムやリン、血圧を正常に保つ働きがあるカリウム、血液の構成成分となる鉄などのミネラルも含まれています。

体内に占めるミネラルの割合は少ないですが、身体の構成や生理機能の維持、調節にも関わっていることから生命活動を維持するために必要不可欠な栄養素です。

また、ミネラルは互いに影響し合っているため、特定のものだけではなくバランスよく摂取することが大切です。

 

アミノ酸

アミノ酸はタンパク質を構成する栄養素です。

タンパク質は筋肉や消化器官、内臓、髪、皮膚などの組織を作ったり、エネルギーになって身体を動かしたりする働きがあり、人の身体には欠かせません

アミノ酸は20種類あり、すべてのアミノ酸が組み合わさってタンパク質を構成していますが、20種類のうち9種類は体内で作ることができない栄養素です。

ビール酵母にはアミノ酸が豊富でイソロイシン、スレオニン、トリプトファンなど、身体で作れない必須アミノ酸も含まれています。

 

食物繊維

ビール酵母には食物繊維が含まれているのも特徴のひとつです。

食物繊維は、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されており、体内には吸収されません。

しかし、食物繊維は消化吸収されずに大腸まで届くことで、腸内環境を整えたり血糖値やコレステロール値の上昇を抑えたりする働きがあります。

健康を維持するために必要な栄養素ですが、日本人は食物繊維の摂取量が減少傾向にあります。

出典:厚生労働省Webページ

 

核酸

ビール酵母には核酸も含まれています。

核酸は遺伝情報を持つDNAとたんぱく質の合成に関わるRNAがあり、細胞核の中に存在しています。

核酸は新しい細胞を作り、若々しい身体を維持するために必要な成分です。

核酸によって新陳代謝が活発になることで、肥満や貧血予防、美肌、美髪、免疫力アップなどさまざまな効果が期待できます。

 

ビタミン、ミネラルをはじめとした栄養素は、身体で作ることができないものも多くあります。

そのため、普段の食事やビール酵母などから積極的に摂取するように心がけましょう。

 

ビール酵母の働きとは?

ビール酵母にはさまざまな栄養が含まれているため、摂取することで身体

に良い働きをしてくれます。

ここでは、ビール酵母の働きを3つ紹介します。

 

ビール酵母で栄養補給ができる

ビール酵母はビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維など豊富な栄養が含まれているため、健康な身体を維持するために必要な栄養を補給できます。

普段の食事で不足しがちな栄養を補えるほか、胃腸が弱っているときや食欲がないときなどの栄養補給にもおすすめです。

 

ビール酵母で便通を整えてくれる

ビール酵母に含まれている食物繊維は、腸内にいる善玉菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境を改善する働きがあります。

また、消化されなかった食べかすや体内に不要な物質を吸着して体外に排出したり、腸を刺激してぜん動運動を促したりする働きもあり、便通を整える効果が期待できます。

 

ビール酵母で胃の働きを助けてくれる

ビール酵母は糖質をアルコールと炭酸ガスに分解する働きがあり、糖質を分解して消化・吸収を促進します。

そのため、胃もたれ、消化不良、食欲不振といった症状が現れた際に、胃の機能をサポートしてくれる効果が期待できます。

 

ビール酵母がおすすめの人

ビール酵母は栄養価が高く便通や胃腸の調子を良くする働きがあるため、以下のような人におすすめです。

 

便秘に悩んでいる人

ビール酵母には便通を整える効果が期待できることから、便秘に悩んでいる人にもおすすめです。

便秘は食物繊維不足、過度なダイエットによる食事量不足、水分不足、運動不足、腹筋力の低下、ストレスなどさまざまな原因があります。

慢性的な便秘は腹痛、食欲不振、肌荒れ、めまい、血便、肩こりなど全身の症状につながり、生活習慣病や大腸がんの原因にもなることもあるので注意が必要です。

食事や生活習慣(ストレス解消方法を見つけたり、運動をしたり、過度なダイエットを控えたりするなど)に気をつけながら、ビール酵母を腸内環境の改善に活用してみましょう。

 

胃もたれに悩んでいる人

胃もたれは、慢性的なストレスや加齢などにより胃腸機能が低下した時、脂っこい食事や消化に悪い食べ物を摂取した時、暴飲暴食をした時などにおこります。

症状は、胃もたれに加え食欲不振や膨満感です。

対処法としては、食べ物や食べ方を工夫し、胃に負担をかける刺激物を避けるという方法がおすすめです。

前述した通り、ビール酵母には胃の働きを助ける作用があるため、症状緩和に役立つことが期待できるのであわせて試してみてもよいでしょう。

 

疲れやすくて悩んでいる人

身体が疲れやすいと感じる時は、ビタミンB群や鉄分、タンパク質などの栄養不足、内臓疲労といった全身の不調が原因の可能性があります。

内臓疲労とは暴飲暴食、睡眠不足、ストレス、過度なダイエットなどが原因で胃腸の働きが低下することが原因で起きる、胃もたれや便秘といった症状のことです。

これにより、全身の疲れを感じてしまいます。

ビール酵母を摂取すると胃腸への負担を抑えるだけでなく栄養をしっかりと補給できるので、疲れやすさに悩んでいる人にはおすすめです。

 

偏った食事が増えて悩んでいる人

  • 食事時間が不規則なため間食ばかりしてしまう
  • インスタント食品やジャンクフードを食べることが多い
  • 食べ物の好き嫌いが多い

など、偏った食事が増えるとビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養が不足しがちです。

体に必要な栄養が不足すると、疲れやすくなったりさまざまな病気を引き起こしたりすることがあります。

偏った食事が増えて悩んでいる人は、ビール酵母で不足しやすい栄養を補ってみましょう。

また、栄養は食事から摂るのが基本なので、主菜・副菜・主菜を揃えて栄養バランスのとれた食事を意識することも大切です。

 

妊娠中の人

妊娠中は食欲不振や吐き気などのつわり症状によって、食べ物が食べられなくなり栄養が不足しがちです。

また、妊娠中はお腹の胎児の為にもたんぱく質、葉酸、カルシウム、鉄分を摂取することが重要。

ビール酵母にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、不足している栄養補給に役立ちます。

また、つわりによる食事量や水分量の低下、ホルモンバランスの変化、子宮が大きくなることによる胃腸への圧迫といった原因で、妊娠中は便秘になる場合も少なくありません。

そのような場合も、ビール酵母に含まれている食物繊維で便秘を予防できる可能性があります

 

胃腸虚弱で悩んでいる人

生まれつき胃腸が弱い人は、胃がもたれる、食欲が湧かない、腹痛や下痢が起きやすいなど胃腸の不調が起こることが少なくありません。

また、胃腸の働きが弱い人は食べすぎると胃腸のトラブルが起きやすいので、食も細くなりがちです。

ビール酵母は胃腸の働きを助けてくれるだけでなく、栄養を補うこともできるので、胃腸のトラブルを抱える人の助けになります。

 

夏バテで悩んでいる人

身体がだるい、疲れやすい、食欲が湧かないなど、夏バテで悩んでいる人にもビール酵母はおすすめです。

夏バテは夏に続く暑さや室内・室外の寒暖差、強い紫外線などによって自律神経が乱れ、胃の働きを低下させるのが原因と考えられます。

また、疲労回復のビタミンといわれるビタミンB1不足が夏バテの原因になることもあります。

ビール酵母は、胃腸の働きの改善やビタミンB1の補給ができるので、夏バテの改善に役立つでしょう。

 

肌荒れに悩んでいる人

ビール酵母に含まれる核酸やビタミンB群は肌の新陳代謝に不可欠な成分です。

そのため、ビール酵母を取り入れることで、肌の古い細胞を取り除きシワを予防する効果が期待できます。

 

また、肌荒れは便秘とも深い関係があります。

便が出にくくなり大腸内に長時間滞在することで、便の腐敗が進んでしまい、悪玉菌が増加します。

この悪玉菌は腸内のタンパク質などを腐敗させるだけでなく、アンモニア、アミン、フェノールなどといった有害物質を生成する働きがあり、一度体内に吸収されたのち、血液を通じて全身をめぐり、血液の一部は汗となり肌表面へ排出されます。

その時、汗に含まれる有害物質が肌への刺激となってしまい、肌荒れに繋がってしまうのです。

ビール酵母を摂取することで便秘が解消され、美肌へと導いてくれる可能性があります。

 

ビール酵母を摂取する際の注意点

ビール酵母を摂取する際は下記の点に注意するようにしましょう。

  1. 大麦が含まれるためアレルギー反応の危険性がある
  2. プリン体が含まれるため高尿酸値の人は注意が必要

ビール酵母は大豆由来の酵母です。

大豆アレルギーの診断を受けた人、大豆アレルギーの疑いがある人は控えるようにしましょう。

アレルギー症状は主に湿疹、鼻炎、喘息などですので、ビール酵母を摂取した後にこれらの症状が表れたら、すぐに服用を中止し、医師に相談するようにしましょう。

 

また、ビール酵母にはプリン体が含まれています。

プリン体自体は身体に不可欠な成分であり、健康な人は尿酸として自然に体外へ排出することができます。

しかし、高尿酸値の人はプリン体を摂取することで痛風につながる可能性があるので注意が必要です。

痛風の症状としては足の親指の付け根や足の関節、足の甲が赤く腫れて痛くなったり、耳介に尿路結石ができたりしますので、高尿酸値の人は服用を控えるか医師に相談するようにしましょう。

 

まとめ

ビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維といった栄養素はそれぞれ重要な働きがあるため、バランスよく摂取することが身体の健康を保つポイントです。

ビール酵母は栄養豊富で、「栄養補給ができる」「便通を整えてくれる」「胃腸の働きを活発にしてくれる」といった効果が期待できます。

そのため、身体に必要な栄養を補給したい人や胃腸の調子を整えたい人は、ビール酵母が配合されている商品を取り入れてみましょう。

 

とくに、胃もたれ、便秘、疲れやすさ、偏った食事や妊娠中の栄養不足に悩んでいる人は、ビール酵母が配合されている胃腸薬を取り入れるのがおすすめです。

健康的な食事や生活習慣を心がけながら、栄養たっぷりのビール酵母を活用してみましょう。

ただし、身体の不調を感じるときは病気が原因となっている可能性もあるため、気になる症状が続く場合は早めに医師と相談することをおすすめします。