編集部が気になるあの人に突撃インタビュー
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和気あいあいとしたチームで世に送り出す
“すべての女性に持ってもらいたい”デバイス
DMM.make PRODUCTSから発売された家庭用デリケートゾーン美容機器[Thaleia pitôn(以下、タレイア ピトン)]。繊細なデリケートゾーンケアの基本である【清潔に保つ・潤いを与える・ 鍛える】をサポートするアイテムです。前編ではこのアイテムの一般消費者への販売を後押しした合同会社DMM.comエナジー事業部Distributionグループ の今坂有里さんにお話を伺いました。後編では、製品として世に送り出したプロジェクトチームのみなさんに集まっていただきインタビュー。発売までの秘話、タレイア ピトンに携わったことで変化したフェムケアへの意識などについてお話しいただきました。
合同会社DMM.com エナジー事業部 Distributionグループ

会員数4,507万人(※)を誇る総合サービスサイト「DMM.com」を運営する合同会社DMM.comの事業部の一つ。世界中の家電・日用品の中から暮らしを心地よくするアイテムを厳選して届ける「DMM.make PRODUCTS」を展開。4K大型ディスプレイや、フランスの衣類スチーマーなどに続き、2024年7月25日、家庭用デリケートゾーン美容機器「Thaleia pitôn(タレイア ピトン)」の一般販売をスタートした。 ※2024年2月時点
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(右から)
藤田尊久さん:エナジー事業部 Distributionグループ 部長
∟本プロジェクトの責任者。フェムケアとは無縁だったが、今では誰よりも理解している男性の1人と自負している。
今坂有里さん:エナジー事業部 Distributionグループ
∟商品企画担当。本プロジェクトの発起人として、商品化を渋る藤田さんを熱意で説き伏せた。
吉村樹里さん:エナジー事業 Distributionグループ
∟広報・営業担当。当初はフェムケアに興味がなかったが、今では女性の健康に欠かせないものとして広報活動に励んでいる。
林 洋介さん:エナジー事業 Distributionグループ シニアマネージャー
∟営業担当。自身で体感できないデリケートな商品をどう売るべきか悩むも、新たな販路を拡大中。
参入したかった美容家電の世界
「DMM.make PRODUCTS」で、美容家電ブランド「タレイア」をはじめたきっかけはなんですか。
藤田:漠然と「美容家電にチャレンジしてみたい」と思っていたとき、今坂から「光美容器をやりたい」と言われたんです。でも、最初はその良さがわからなかったので反対したんですよ。脱毛に関しても「むしろ男性がやっている」と聞いて、そんなバカな!と思っていましたし。
今坂:男性、女性、高齢者それぞれの脱毛率を調べたデータがあったので、そのこともしっかり伝えましたね。
藤田:熱意に負けて参入を決めましたが、同時にやっと美容家電に一歩踏み込むことができる、とも思いましたね。ただ、その次の製品はどうしようか、というところも考えていかないといけないと思いました。ブランドのネーミングは、ギリシャ神話に出てくる女神から私が名付けました。美の女神・ヴィーナスには、その美のお手伝いをする女神が3人いて、そのうちの1人が「タレイア」なのです。お客さま(ヴィーナス)の美をお手伝いするブランドという意味合いです。
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美容家電を世に送り出し、「女性の美と健康」に深く関わられるようになりました。「フェムケア」という考え方がありますが、そもそもこの考えをご存じでしたか?
林:「フェムケア」という言葉の響きはなんとなく聞き覚えがありましたが、それが何かは正直よく分かっていませんでしたね。
藤田:僕は正直言うと、1年ほど前までは女性部下に「生理で体調が思わしくない」と言われると、いら立ちを感じていたタイプです。もちろん、漠然と大変なんだろうとは分かっていましたが、生理の重さや不調の具合は人それぞれとは知らなかったので「頑張れないの?」と思っていました。無知でしたよね。
林:僕は分かろうともしていなかったですね。それよりなんだか踏み込んではいけない領域というか。一歩間違えたらセクハラになってしまうと思っていましたし。
藤田:そうそう。だからついこの間まで「生理」という言葉を発することにも抵抗があって、恥ずかしかったですね。
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展示会「Femtech Tokyo」で意識に変化
今坂:でも藤田さん、展示会に行って変わりましたよね。藤田さんは展示会が好きだから、「Femtech Tokyo」にお誘いしたんですよ。
藤田:そもそも趣旨すらよく分かっていない状態で、半ば無理やり連れて行かれましたよ(苦笑)。会場に入った瞬間、女性しかいない空間で、もう帰りたくて……。でもその中にベネレさんの「ピトン」があったんです。僕はそれが何か分かりませんでしたが、今坂ともう一人の女性社員が、夢中で説明を聞いていて、二人のリアクションが大きかったことも印象的でした。その後、内容を聞いて、彼女たちからの猛プッシュもあり、OEMの話を進めることにしたんです。競合他社がどこも出していないケア製品というベネフィットも魅力でした。
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林さんや吉村さんは、この製品を最初、どのように感じましたか。
吉村:私は元々フェムケアにあまり興味がなかったので、単純に「売れないよ!」と思いました。
林:僕もフェムケアをよく分かっていないし、だからこそ売り方も分からない。単価も高いし、どこにどうやって売っていったらいいのか、ピンと来ない、イメージがつきませんでした。
藤田:二人に説明する前、フェムケアについていろいろ勉強した結果、「ここまで女性の味方になってくれる製品は全女性が持つべきだ」と思ったんです。ビジネスの可能性も感じていため、二人(林さん・吉村さん)を説得しましたね。
では、販路にはどのように乗せましたか。
林:女性のデリケートな部分に直接アプローチするものを扱ったことがなかったため、家電量販店ではなく、タッチポイントが作りやすい百貨店や個別のショップなどから徐々に広げていきました。つまり、広告よりも、直接PRすることに重きを置きました。
吉村:当初の私のように、そもそもフェムケアを知らない、興味がないと思っている女性が、実はたくさんいらっしゃいます。まずはそういう人にフェムケアの大切さを広げていこうと思いました。正直、この製品はフェムケアという山の頂上にあります。だから単に「フェムケアは大事」と伝えるのではなく、「デリケートゾーンは酸性だから専用のソープで洗った方がいい」とか、「皮膚が薄いから保湿しないと萎縮してしまう」など、裾野から一歩ずつ山を登っていくように、理屈を積み上げながらケアの重要性を伝えることにしました。だから直接、対面でお話する機会をいっぱい増やしていきたいと思っています。
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「もう年だから、私はやる必要ない」といった中高年の方には、商品の良さを伝えるためにどのようなアプローチをされていますか。
吉村:年齢を重ねた方にはいつまでも女性らしくあるための方法のひとつとして、ケアのメリットをお伝えしています。女性は、年齢に応じて心や体に変調を起こしやすいじゃないですか。その変調をタレイア ピトンのケアで少しでも緩やかにすることで、よりハッピーな生活につながると思います。
今坂:日本の女性は、「もう年だから仕方ない…」と女性であることを諦める年齢が本当に早すぎるんです。フランス女性は、いくつになってもおしゃれも恋愛も諦めず、女性であることを楽しんでいるからか、おむつ率がとても低いんですよ!なぜならちゃんと自身の心身のケアをしているから。男性も女性も「生涯現役」と思って自分磨きをしているから、結果的におむつの人が少なくなるんです。生涯女性らしくあろう、というマインドが健康にもつながっていると思います。
女性の体のことを“ごく当たり前に話せる社会”とは?
男性は、女性が生理などの話題を積極的にすることをどう思いますか。そして、どうすれば、この社会で女性はもっと生きやすくなると思いますか。
藤田:彼女でも、奥さんでも、話題に出すこと自体、昔は恥ずかしかったです。こちらからそういう話をしたことなんてゼロですし。でも、この製品と関わるようになった今は普通に女性の体の悩みなども聞くことができますね。
今坂:日本は女性の体や性の話はどこかタブーという雰囲気が根深いですよね。まずは、パートナーと話せるようにコミュニケーションを取った方がいいと思います。
——「フェムケア」に対する意識は変わりましたか。
吉村:この前、某メディアの編集長と話したとき「なるほど」と思ったのですが、以前のお肌のケアといえば化粧水と乳液でしたよね。でも、今はみんなブースター美容液を使っている。昔はなかったものや考え方でも、良いと分かれば浸透していくと言われたのです。私自身がフェムケアの大切さを理解し、大切だということを多くの人に伝えていきたいと実感しました。
藤田:僕は劇的に意識が変わりましたね。男性でこれだけ熱くフェムを語る人間はあまりいないらしいです(笑)。そういえば、ある百貨店で販売していたとき、女性二人組に一生懸命説明して、最後に「頑張って!」と応援してくれました。この経験で「より頑張ろう」と思いましたね。
林:僕も、女性が不調に感じているときの気持ちをもっと知ろうと思うようになりました。以前は知ろうとも思わなかったし、なんなら避けていましたが、なんだか懐が一気に広くなった気がします。
今坂:私は男性の友だちに、「普段から彼女の体調を気にかけてあげてる?」と聞いたりします。男性側もパートナーからうながされるより、女友だちの方が素直に耳を傾けると思うんですよね。それで、男性の意識が少し変化して、自身のパートナーにも配慮できるようになるといいなと思います。
藤田:男性は知る機会がないんですよ。学校で習うわけでもないし。1カ月の間に2週間もPMSなど生理の影響で何かしらあるなんて。人生の半分じゃないですか!僕らはせいぜい経血が出ている間ぐらいしか生理だと思っていませんから。そんな大変なこと、もっと早く知りたかったですね。
今坂:女性も自身の悩みを恥ずかしがらずに伝え、男性はそれを知識と共に受け止められるようになったら、互いにハッピーになれますよね!
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自身が理解できること、できないことをしっかりと意見交換しながら、互いに歩み寄って新たなプロジェクトに挑戦しているのが伝わってくるステキなチームでした。まだまだ発展中の「DMM.make PRODUCTS」ですが、今後の展開に要注目です!
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モノを通して価値づくりへと歩んだ20年
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新たな道を歩み始める
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