編集部が気になるあの人に突撃インタビュー
ブルーな日を、
とっておきのご褒美アイテムでハッピーに
美しいレースやフリルをふんだんに使用した優雅なデザインの吸水ショーツをはじめ、
「女性に寄り添うモノづくり」をコンセプトにしたアパレルブランド「ÉCRU(エクル)」の代表である鈴木美穂さん。自分の“価値づくり”をフェムテックの世界で形にしたいという思いが芽生えたことを前編でご紹介しました。生理でツラいブルーDayが少しでも自分をいたわるご褒美Dayになるような吸水ショーツは、誰もが「かわいい!」と思わず声に出してしまう女性らしいデザインに。そこに込めた思いとは?
鈴木美穂
宮城県気仙沼出身。仙台の専門学校を卒業後、上京。さまざまなデザイン職を経験し、40歳の時に独立、2022年にアパレルブランド「ÉCRU」を起業。生理の日がご褒美になる吸水ショーツから雨の日が楽しみになるレインドレス、リラックスできるご褒美ルームウェア、大切な衣類を長持ちさせる美容柔軟剤まで、モノづくりを通した価値づくりを続ける。
生理の日こそ、攻めた下着で気持ちをアゲる
過去に、女性の悩みを解消するような企画を考えたことは?
意識するようになったのは、フェムテックという分野を知ってからです。ある時、知人男性からパートナーについての話を伺ったんです。彼女は生理が重く、ふだんはオシャレな下着を身につけているけれど、生理中は大きな生理用吸水ショーツを使用している。それを見て「女性は辛い生理中に、下着も我慢しなければいけないのかな?」とおっしゃったのです。
それを聞いて、ハッとしました。機能を重視したサニタリーアイテムは、身につけると「ああ生理か…」と脳が再確認し、気持ちがブルーになってしまいます。辛い時こそ、メンタルケアができるファッショナブルな吸水ショーツが必要なのでは?と思ったのです。そこから、「ブルーDAYでも気持ちが上がる」「大人かわいい」「自分へのご褒美」というコンセプトの吸水ショーツの開発が始まりました。ようやく探していた“価値づくり”にたどり着いたわけです。
一番大切にしたいことは、誰かに見せるためではなく“自分のご褒美”になるアイテム。だからこそ、鏡に映る自分を見て気持ちを高められるよう、あえて攻めたデザインにしました。
多くの女性が子育てや仕事で、自分の時間が多くはありません。だからこそ、下着姿の自分を見て、「かわいい〜」と思う瞬間がすごく大事だと思うんです。
大人かわいいだけじゃない、黄金比率
見るだけで心躍るショーツです。どんなところにこだわりが?
遊びのあるウエストのフリルの幅、チュール部分と縁のレース、サイドのリボンも細さやマット感にもこだわって、華やかだけど上品になるようにこだわりました。吸水機能は防水布を巻き付けて止める“パイピング”構造で、経血をせき止めてくれます。こんな小さな世界に、ものすごく多くの部材が入っているんですよ。
これまで下着を作ったことがなく、すべてが未知の世界。仕様書(工場に、生地の種類や寸法など細かな指示を出す書類)の書き方もわからなかったので、メーカーさんのお力を借り、デザイン画を手に「ここはこうで、こうしたくて…」とお伝えし、ファーストサンプルから何度も調整を重ね完成しました。メーカーさんも「こんなデザインのものは作ったことない」と(笑)。
実際に使用した方の声は?
みなさん、「漏れがないし、テンションがあがる」「こんなかわいい吸水ショーツは見たことがない」と驚かれます。
シリーズの第二弾についても教えてください。
「ブルーDayを家でくつろぐご褒美デー」がテーマのルームウェアのセットアップです。一枚で履ける吸水ショーツとゆったりデザインのトップスで、お風呂上がりに、そのままソファにボン、さぁくつろご!という日に身につけてほしいアイテムです。ショーツは股下を少し長めにし、吸水体はお尻の上まであるので多い日に寝転がっても安心。トップスには女性が美しく見えるデコルテラインと、二の腕を隠すフリルをあしらって、非日常を感じられるようにしました。それでいてカップ付きなので楽に着られるし、宅急便が届いてもそのまま出られます(笑)。
トップスの生地は特別な素材を使用しているとか?
ずっと、着るだけでリラックスできるような、そんな夢のような素材の生地があったらなぁ…と思っていたのですが、ある展示会に行ったら、バシッと合う生地に出会えたんですよ。イタドリやヨモギ、柿の葉が糸に練り込まれていて、健康な人にリラックス効果や保湿効果、抗酸化作用に免疫力向上などが期待できる素材なんです。
実は来年2月頃に新作の吸水ショーツを発売予定なのですが、その消臭力には今まで以上にこだわりました。吸水体の4層のうち1層には制菌パイル、もう1層には銀イオン練り込んだ消臭シートを使用しました。そして、なんと全体に使用している表地にも消臭機能生地をつけ、トリプルで気になる臭いをブロックするハイブリッド吸水ショーツが誕生します。しかも、これまでの吸水ショーツには無いようなめちゃくちゃかわいいデザインなので、ご期待ください!
雨の日もハレの日に。そして、止まない雨はない
デザインにも機能にもこだわった、下着以外のアイテムがあるそうですが?
レインドレスです。雨の日はゆううつになるけど、可愛いレインウエアがあれば、「今日はこれが着られる♪」というハレの日に変わりますよね。だからレインコートじゃなくて“レインドレス”。撥水機能はもちろん、いろんな体型の人に着てほしいので、ウエストはAラインでゆったり着ることもできるし、絞るとドレスラインにもなるデザインです。身につけるもので、ブルーになりそうなお天気の日も気持ちが上がる一日にできたらなと。
ブルーな日をハッピーに転換するというコンセプトは、鈴木さんの過去の経験や体験がヒントになっているように思います。くじけそうになった時はどう心の切り替えを?
「あぁ、もうだめだ〜」という状況は、これまでゴマンとありましたね(編集部注:前編でたっぷりと語っていただきました)。でもピンチの時にはいつも、「止まない雨はない」「今、やれることをやろう」と言い聞かせてきたような気がします。今は、ピンチすら楽しめるように。「今回はこうきたか。よ〜し、やってやろう!」って。
頼もしいですね。今後、やってみたいことはありますか?
フェムケアに関しては、女性の年齢やライフステージに合わせた悩みに寄り添った吸水ショーツを作っていこうと思っています。生理を迎えるローティーンは多感な思春期ですし、40代後半から50代以降には尿漏れの悩みや更年期があります。展示会に出展した際、ご年配の方がすごく興味を持ってくださり、「かわいい! これなら履いてみたい!」と。吸水ショーツは、生理だけでなくもちろん尿もれにも対応できます。
女性は年齢に関係なく、ずっと女性です。かわいいと思うものを身につけることで、女性としての心が蘇ると思うんです。ゆくゆくは女性のライフステージに合った、さまざまな年齢層の方々に喜んでもらえるようなアイテムも作りたいです。
上京されて22年。一番変わったことは?
起業してから仕事に対する思いと責任感が180度変わりましたね。私にとっては会社が子どものようなもの。どうやったら人のためになれる子に育ってくれるかなと考えると、すべてのお仕事がありがたい毎日です。今、やっと楽しいです(笑)。
自身も、リラックスできて上品に見えるデザインが好きだという鈴木さん。自然体でいながら、ご自身が目指す方向に迷わず前進する毎日が伝わってきます。何歳になっても女性らしくいられる可愛い吸水ショーツの開発に期待します!