編集部が気になるあの人に突撃インタビュー
女性はキャリアアップと、心身の健康をセットで考えよう
実は34歳まで、産婦人科に行くのを避けていたという山田奈央子さん。ヘルスリテラシーのなさを悔やんだ日のお話から、自分の心身と向き合う毎日のルーティーン、そして「吸水ショーツ30枚」というご自身のフェムケアまで伺いました。
山田 奈央子さん
大手下着メーカーを経て、下着コンシェルジュとして独立。女性の健康と美に寄り添うものづくりを目指し、株式会社シルキースタイルを起業。2021年には一般社団法人日本フェムテック協会を立ち上げる。小学4年生と2年生の息子さんとの4人家族。
週4日の筋トレと五感が満ちる茶道
今、習慣にしている運動や趣味はありますか?
2年前から週4日、1回30分と決めて、ジムで筋肉づくりをしています。筋肉は40歳を超えるといっそう大事。お尻と胸が垂れてきた!?という悩みもありますし、やっぱり自分と向き合い運動している時は、あらゆるパフォーマンスに結びついていると感じます。
それからダンス。インドが好きで、ボリウッドダンスというノリの良いダンスをずっと続けていたのですが、最近また復帰して、インドフェスやタレントさんも出演するイベントなどにも出させてもらっているんですよ。これが、本当に楽しいんです。
陽気なあのインド映画の世界ですね。ほかにもお稽古ごとを?
「静」と「動」のバランスが大事だと思うんですが、「静」で言うと、息子と一緒に茶道に通っています。静寂の中で、五感を研ぎ澄ます時間ですね。お茶の香りやお茶釜の湯気の音。雫が落ちる音、お茶をたてる時のシャッシャッシャという茶筌の音。そういう無になる、空白になる時間があると、ふっと良いアイデアが自分のなかに降りてくるんですよね。
屋外での茶道産婦人科は「行くのが怖い場所」だった!?
心身ともに充実している現在の山田さんですが、健康を考えるきっかけとなる出来事が、30代、40代とあったそうですね。
そうなんです。会社を始める以前から、女性の健康に寄り添うものづくりをしようということは決めていました。美しく在りたいと思っても健康でなければ、下着でモチベーションを上げようという気持ちにはなりませんから。
ところが自分自身は、高齢出産ぎりぎりの34歳まで産婦人科に行ったことがなかったんです。
いつかは出産したいと思いながら、私が妊娠・出産すれば、会社がストップするんじゃないか、取引先が離れちゃうんじゃないかという恐怖感で、産婦人科は「行くのが怖い場所」だったんですよね。
ところが健康診断で指摘され、「子宮頸がんになる可能性があり、このままだと妊娠できないかもしれない」とお医者さんに言われて。はじめて通院し、結果的には1年後に妊娠はできたのですが、子どもは産みたいときに産めるものじゃないんだ、女性はキャリアと自分の体をセットで向き合わなくてはいけないんだと34歳で気づきました。
ヘルスリテラシーの大切さに気づき、協会の設立へ
4年前には卵巣嚢腫で病院に駆け込んだそうですね。
ある日、お腹がパンパンに膨らみ、痛みで歩けなくなって。お医者さんに、「破裂寸前です。どうしてここまで放っておいたんですか」と言われて。あの時こそ、自分のリテラシーの低さを悔やみました。
しばらく仕事を休まなくてはいけなかったので、いろんな方に話をしたら、「実は私は子宮がなくて」「卵巣を手術して」「乳がんで」と逆に聞くことができたのです。このままでは女性が生きたいように生きられないと思ったのが、日本フェムテック協会を立ち上げたきっかけです。
婦人科の先生は、「女性は初潮を迎えたら、まず婦人科に来て自分の体を知ってほしい」とおっしゃいます。女性は何もなくても病院に行くこと、そして男性も一緒にヘルスリテラシーを上げていってもらいたいと思います。
今、社内では生理痛などで辛いときはオープンに話すようにしています。チームでカバーし合えるし、一体感が出ますよね。また、男性も女性が辛そうな時、「何だかわからないけど何かが起こっているぞ…?」と気づいてはいるんですよ。「母親が50歳の頃、辛そうな顔をしてたけど、あれが更年期だったんですね」とか、「妻の機嫌が悪すぎて離婚しようと思ったけど、更年期と分かって。もっと優しくしてあげればと後悔…」なんて言う方もいて、ビックリしちゃいますよね(笑)。これから先、更年期の知識があれば、相手への声かけも変わってくるでしょう。
山田さんご自身は、辛い時はご主人にどのように伝えますか?
「今日は体調が悪いからごはんと洗濯、お願い!」とストレートかつ具体的に言うと、「わかったー」と。それだけでハートが2個くらいついちゃう(笑)。私からは感謝が生まれるし、最終的に夫婦仲や家族の幸せに行き着くと思うんです。
コミュニケーションがまずは第一。体のケアはどんなことを?
基本は温めること。毎朝、白湯を飲み、お風呂の湯船につかるようにしています。お腹、子宮、お股を温めるというのは韓国や中国では、古くから伝わる女性の習慣なのだそう。それを知り、お股を温めるショーツを自社で作ったのは、画期的だったかなと思います。最近は、フェミニンゾーンの乾燥が気になりはじめ、専用のソープで洗ってクリームでケアするようになったらとっても快適。お顔のスキンケアと同じなんですよね。
温活ショーツ吸水ショーツや、月経ディスクはいかがですか?
月経ディスクは、タンポンと同じで取り出すときに慣れないと…っていうのはありますが、快適さはあります。吸水ショーツは、先駆けである台湾の有名メーカーの吸水サニタリーショーツを友人が買ってきてくれた時に、とっても感動して。もともとナプキンがかぶれやすく苦手だったので、その煩わしさから解放されるんだ!と。今はあらゆるメーカーのものを30〜40枚も持っています。もはやコレクションですね(笑)。生理用ナプキンも、最近は肌当たりが良い竹素材のものが登場したり。昔から女性の活躍と生理グッズの進化は比例していると言われますから、今後はもっと思いもよらない商品が出てくるんじゃないかって思っています。
自分に能力がなくても、わがままでいいし、頼っていい
最後に、これからやってみたいことは?
女性が社内で悩みの相談・共有をできる人や場がなかなかないと聞くので、会社の垣根を超えて、働く女性が集うコミュニティを作りたいです。私も20代の頃、大学の先輩のコミュニティでアイデアをもらったり、他社の社内ベンチャーで起業して生き生きしている方々に出会えたりしたことで、とても刺激されました。
私自身、能力がある人や相談できる人が周囲にいたから現在があります。「自分には能力がないから起業できない」ではなく、周りの人を頼って、自分のやりたいことを追求すれば、なんでもできると思うんです。わがままでいい。自分にとって可能性が広がる心地よい場所づくりのお手伝いができたらと思っています。
仕事に真摯に向き合う山田さんですが、趣味はボリウッドダンスの他にも、家族と楽しむ釣りやアウトドア、そしてご主人と飲む「ビールが大好き」というチャーミングな一面も。自身の心地よさやハッピーな気持ちを大切にすることも、忘れてはいけない“ケア”かもしれません。
次回配信予定:2024/07/12(金)