寂しさに負けない! 健やかなこころをつくるセルフケア
出産直後の「マタニティー・ブルーズ」から、「産後うつ」、働き盛りの燃え尽き症候群から更年期のうつ症状など、女性がメンタル不調を感じる機会は、一生を通してあります。とくに秋冬は、季節性うつとの“ダブルうつ”にならないよう、備えておきたいところ。女性がうつになりやすい理由から、メンタルを乱される人間関係の対処法、こころを整える秘訣まで、前編に引き続き、メンタルケア・コンサルタントで公認心理師である大美賀直子さんにお伺いします。
女性はうつ病になりやすい?
女性ホルモンとこころの関係
女性と男性は、メンタルの好調不調には差があるのでしょうか? 大美賀さんによると、憂うつな気分になることは、男女関係なく誰にでもおこりうるもの。ただし、医療機関で「うつ病」と診断されるのは女性のほうが多いというデータがあり、その大きな理由の一つに、女性ホルモンの影響があると言われています。女性は生理周期に影響を受けるだけでなく、妊娠・出産、更年期などのさまざまなライフステージ、成長と老化に伴い女性ホルモンは激しく変動し、その都度、メンタルは影響を受けています。
幸せなはずなのに…。産後にうつ?
生理がある世代では、月経前症候群(PMS)で心身が不安定になる人も少なくありません。妊娠中は、ホルモンの大きな変動があり、不安が強くなる方も少なくありません。さらに、出産直後のマタニティ・ブルーズや、産後2週間から1ヵ月の頃に発症しがちな「産後うつ」に悩まされる人も。
とくに産後うつは、ホルモンバランスがまだ安定しない時期に家事と子育てに追われる中、深い孤独を感じ、回復に時間がかかるケースもあると大美賀さんは言います。
頑張り屋さんがあぶない! 更年期うつと燃え尽き症候群
そして、女性ホルモンが減少する40代から50代の更年期。
働いている女性であれば、目まぐるしく変わる社会の流れに合わせることに疲れと限界を感じたり、管理職になって部下をサポートする役どころに変わったことで、こころにぽっかり穴が空いたような気分になってしまったり。専業主婦や家庭を持つ人であれば、こどもの進学、親や義父母の介護、親戚付き合いなどストレスのタネが増える世代です。
いくつもの役割、いくつもの“顔”をこなすことで、頑張り屋さんほど燃え尽き症候群になってしまうと大美賀先生は懸念します。
こころを整えるコミュニケーション術
「他人と過去は変えられない」と唱える
そんな毎日の中で、心身ともに健やかな気持ちを保つカギを握るのはやはり人間関係。ママ友、仕事仲間、親類、ご近所さんなど、自分のメンタルを保つために、どんなことを心がけておけば良いのでしょうか。
大美賀さん曰く、他人から何かいやなことを言われたり、不本意なことをされた時は、「他人と過去は変えられない」と自分に言い聞かせること。当たり前ですが、他人の言動は操作も制御もできません。変えられるのは、自分のこころの持ちようだけ。
誰かにされた嫌な出来事は、すみやかにその場に置いておき、「次へいこう!」と気持ちを切り替え、自分がやるべきこと、やりたいことにフォーカスすることが大切と、大美賀さんからのアドバイスです。
会うたび、神経すり減ってない?
また、自分の神経をすり減らす人と過ごす時間はできる限り減らすことが重要。
大美賀さんが避けるべきタイプと指摘するのは、ハラスメントをしてくる人(いじめや嫌がらせをする人)はもちろん、一見友好的な態度でも他人をディスカウント(低く評価する)したり、マウンティングしたりする人。一方的に自分の話をし続けたり、その場の会話の主導権を握りたがる、自分のほうが価値が上だと自慢を巧みに挟んでくるような人とは、メールが来てもすぐに返信しないなど、お付き合いの温度を下げていくのが得策です。
逆に大切にしたいのは、共感できる相手。互いに「わかる、わかる」と話を打ち明け合える人が、人間関係の輪の中に一人いるだけで、こころは安心を得られます。
大キライなあの人は、菩薩様かも?
とはいえ秋の夜長。布団の中で今日のことを振り返り、ふつふつと怒りがぶり返してきたら、「逆縁の菩薩」という言葉が、怒りをやわらげてくれると大美賀さんは言います。
逆縁の菩薩とは、「人生で出会わずにいたかったと思うような憎らしい相手こそ、じつはありがたい菩薩になり得る」という意味を持ちます。その苦い出会いには、もしかしたら自分をより良くするヒントがあるかもしれない。たとえば、耳の痛いことを言われて腹が立っても、相手が鏡となって自分を照らし、あえて言ってくれたと思えば、あの一言が自分を変わるきっかけになったと捉えることもできるでしょう。そう考えると、その人との出会いに感謝ができるというわけです。
こころを穏やかにする実践!くらし術
休むと迷惑をかける…と思った時こそ、休みどき!
自分が燃え尽きてきたな、以前のような元気がなくなってきたと思った時、まずすべきことは、数日でも一旦休むことだと大美賀さん。
たとえば「こんなにつらいのは、そもそも自分がダメだからだ」…などと強く思いこむようになったら、それがすでにうつに近づいているサインなのかもしれません。うつっぽくなると視野が狭くなり、状況を打開できないのは自分に力がないからだと考えてしまいがちに。その「自責の念」こそ、不調のサイン。周囲の人に事情を話せば、予想に反し、打ち明けてくれたことに安堵し、力になりたいと願うもの。しんどいかも…と思ったら、迷わず、周囲の人に打ち明けサポートを得ましょう。
他人や過去の自分と比べない
メンタルを健やかに保つための秘訣は、仕事でも家庭でも、完璧主義になり過ぎないことと、何事に対しても、すぐ結果を出そうと焦らないこと。そして、何より人と比べないことが大切だと大美賀さんは言います。「人」とは、他人だけじゃなく「過去の自分」も含まれます。
「〇〇さんは成果を上げているのに自分は全然ダメ…」とか、「あの頃の私はもっとエネルギッシュに活躍できていたのに今の自分は…」とか。前述したように、他人も過去も変えられません。ただし、「今の自分」と「未来」は、変えることができると大美賀さん。頑張りすぎない「N・H・K」(前編参照)でこころがリフレッシュしたら、なりたい未来の自分をイメージし、小さな一歩を踏み出しましょう。秋は、あらたな扉を開くチャンスの季節でもあるのです!
大美賀先生より*
メンタル不調を改善するための工夫をする気にならない、試みても状況があまり変わらないという人は、医療の助けが必要な可能性もあります。早めに専門医に相談しましょう。
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