わけもなく悲しくなるのは、秋のせいだった!
気温の差が激しくなる今の季節。わけもなく気持ちが沈んだり、センチメンタルなモードになってしまうという人は、少なくありません。じつは、これは自然の摂理だとか。季節が人間のこころに及ぼす影響や、うつ症状の意外なサイン、気分が落ち込んだ時の対処法を、メンタルケア・コンサルタントで公認心理師である大美賀直子さんにお伺いしました。
季節とメンタルのつながり
気分が晴れないのはなぜ? 冬に向けて日が短くなることが影響
秋も深まるころからメンタルが不調になる「季節性うつ」(冬季うつ病)。大美賀さんによると、その原因は冬に向けて日が短くなることにあるそう。人間は、太陽の光をあびると、通称「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン神経が働き、気持ちが安定しやすくなります。晩秋から冬にかけては、日が差す時間が短くなる時期なので、気分が落ち込みがちになるのは、むしろ当たり前のことなのです。
秋は人間も実りを収穫した後の小休止の時期
また、秋は実りを終えた植物が収穫されて、木々が枯れる季節。この自然のサイクルに、人の気持ちも呼応していると大美賀さん。春や初夏の頃までは、1年の目標を胸にポジティブに活動し、秋頃には何かしらを形にでき、小さな成果を実感している人も多いでしょう。心身ともに収穫を終え小休止するタイミングに、日が短くなることで、物憂げな気持ちになったり、ちょっとしたことで落ち込んだり、こころに隙間風が吹いてしまうのです。
そもそも人間は、環境や季節とシンクロしながら生きていると、こころにとめておくだけでも、少し気持ちは軽くなりそうです。
誰もがなりうる「秋うつ」とは?
過食と過眠!それは秋のメンタル不調かも
秋冬のメンタル不調は、逆に眠り過ぎてしまったり、食べ過ぎてしまうという症状があるそう。これは盲点!
季節の味覚を楽しむのは元気な証拠ですが、うつ状態になると脳が糖分を過剰に欲するため、菓子パンなどの炭水化物を好むようになったり、甘いものだけをひたすら食べたくなるなど食生活がワンパターン化する傾向も。「食欲の秋だから仕方ない…」と思いがちですが、以前と比べて偏った食欲や不規則な過眠など変化を感じたら要注意です。
また、メンタルの不調がわかる意外なチェックポイントは、クローゼットの中にもあるとか。
気分が落ち込んでくると、黒やベージュ、ダークブラウンなど暗いカラーを選びやすいと大美賀さんは指摘します。近頃、身に着ける服が地味色ばかりなってないか、ぜひチェックしてみて。
物事を深刻に考えがちな人は注意!
大美賀さんいわく、物事を深刻に考えやすかったり、人に相談することが苦手な人は、季節に関係なくメンタルの不調を感じやすいそう。
一般的なうつ症状は、気分転換をしてもすぐに気持ちがふさいでしまう、人と会いたくない、未来への不安が強い、イライラがおさまらない…といった気持ちの落ち込みとあわせ、大きなサインになるのは、不眠と食欲不振と言われています。
自分の機嫌をとるためのN・H・K
過眠による時差ぼけ状態は、快適な眠りで正常運転に
では、晩秋から始まる冬季うつにならないためには、どんな対策をとれば良いのでしょうか。
メンタルを保つ三つのキーワードは、「N・H・K」と、大美賀さん。
まず「N」は、よく眠ること。
日中も眠りすぎてしまうという人は、就寝時間、起床時間を決めて、「時差ぼけ状態」にならないことが大切です。リラックスして眠れるよう環境を整え、寝る前のお酒やカフェインは控えめに。寝る直前までスマホを見たり、明るい光に照らされていると、メラトニンが分泌されにくくなり入眠のさまたげになるので、眠りにつく1時間ぐらい前から、照明を暗めに落とすようにしましょう。良質な睡眠が得られることで、メンタルも安定しやすくなりますよ。
こころに寄り添い傾聴してくれる人に話をしよう
つづいて「H」。自分の気持ちを人に話すこと。
もやもやしたり憂鬱な気分から抜けられなかったら、まずは誰かに話してみること。話すことで、抱え込んでいたフラストレーションが発散でき、気持ちが楽になるのはもちろん、自分の気持ちが整理できたり、話した相手から今後とるべきアクションにつながるアイデアを、もらえることもあるでしょう。ここで大切なのは、誰に話すかということ。
良い・悪いをジャッジしたり、こうすべきだと行動を促してくる人ではなく、じっくり寄り添いながら話を聞いてくれる人がおすすめと大美賀さんは言います。秋の夜長、ゆっくり誰かとオンラインでつながり、好きな飲み物を飲みながら“リモートスナック”を企画するのも良いでしょう。まずは無駄話や雑談をするだけでもこころに風穴が空きそう
秋こそ、新たな趣味で気分をチェンジ!
そして「K」は、気分転換。
仕事場の机まわりを少し変えてみたり、公園を散歩してみたり、行ったことのないカフェを訪れたり。ふだんと違うことをほんの少し取り入れるだけでも、気持ちは大きく変わると大美賀さんは勧めます。秋は、音楽祭や美術展、スポーツイベントなど催しも盛りだくさん。芸術や文化やスポーツに触れ、新たな趣味を始めるのにも最適な季節です。まずは一歩、家の外に出て、街並みや自然の景色を眺めるだけでもリフレッシュできるはずです。
色のチカラで気分がアガる!
色でこころは変わる。さあ、今日は何色気分?
大美賀先生によると、色にはわたしたちの気分を変えるチカラがあるそう。「プチカラーセラピー」を取り入れてみましょう。
たとえば、今日はちょっぴり攻めモードで行きたいという日は、赤。フレンドリーな気分でいたいときは、黄色。ほっと癒されたい時は、グリーン。実りの秋から元気をもらいたいときはオレンジ色、などなど。
全身をワンカラーでコーディネイトするのが難しくても、ミニスカーフやアクセサリー、バッグにつけるチャームなど、ファッションに差し色を取り入れるだけで、その日の気分は不思議なことに大きく変わります。色のチカラをぜひ試してみて!
大美賀先生より*
メンタル不調を改善するための工夫をする気にならない、試みても状況があまり変わらないという人は、医療の助けが必要な可能性もあります。早めに専門医に相談しましょう。
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